赤毛のアンナ (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 337
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198640859

作品紹介・あらすじ

母を亡くし、施設に引き取られてきた少女・志場崎安那。彼女は持ち前の明るさで、辛い経験を持つ仲間たちを盛り上げていく。十五年後──。突然のニュースが舞いこむ。アンナが男を刺して逮捕された、と。何がアンナにあったのか。彼女と出会い、かけがえのない時をすごした仲間が集まり、奔走をはじめる。やがて、アンナがひた隠しにしていた過去が見えてくる……。著者自身も愛読した名作へのオマージュをこめた、感涙の青春サスペンス長篇!

感想・レビュー・書評

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  • 母親を自動車事故で亡くし、児童養護施設に引き取られた志場崎安那。
    安那は〝赤毛のアン〟に憧れていて、自分もアンの様に生きたいと、
    持ち前の明るさで仲間たちを盛り上げていく。
    15年後、彼女が男をさして逮捕されたとのニュースが舞い込む。
    アンナに何があったのか?仲間たちは奔走を始めるーー。

    アンナの事件のニュースを聞いて、施設での仲間や職員や学生時代の友人達。
    アンナと関わった、それぞれが卒業後アンナと疎遠になり、
    アンナの事を良く知らない事に気付かされる…。
    それぞれが、それぞれの思いを胸にアンナに何があったのか、
    真相を突き止めようと奔走する。
    アンナの過去…彼女を巡っては、様々な事件や出来事があった。
    それによって、彼女はあらぬ噂を立てられたり、辛い思いをして来た。
    それぞれの事件や出来事の真相が徐々に明らかになっていく。
    アンナは小さい頃からどんな時も、自分を犠牲にしてまで、
    人の幸せを考えていたという事がわかってくる。
    大人になったアンナは、誰にでも分けへだてなく誠実に接し、
    いつも全力で周囲に気遣い明るく振る舞う。
    アンナの生き様に涙が零れました。
    アンナ素敵すぎるよ。頑張り過ぎだよ…。
    それなのに、施設で育ったというだけで無理解な世間がある(。Ì _ í。)
    健気なアンナの姿が切なかった。
    持ち前の明るさなどではなかった。辛く悲しい現実を見ていたくないから、
    精一杯前向きな人になろうとしていたのだ…(*T^T)

    彼女を思う多くの人の存在は、彼女自身が素晴らしかったからこその存在。
    これからのアンナの人生が幸福に満ちたものになることを
    願わずにはいられなかった。
    彼女を思う多くの人がいるから、きっと明るい未来があるんだろうなぁ。

  • アンナ、なんて心配りのできる素敵な子なの〜。
    あんまりにもいい子すぎると、自分自身疲れたりしないのかね?
    心遣いができるのはすばらしいことだけれど、ほどほどに。
    やはり、何事もやり過ぎ、やりなさすぎという両極端なのはよろしくないよ。

  • 赤毛のアン…有名なのに読んだことなかった。
    という人でも、この作品を読み進めるのには問題はないかな。
    知っていると尚良いけど。

    施設で育った人、普通の家庭で育った人、両者はわかり合い混じり合うことはないのか。
    「同じ境遇ではないから」の一言で一蹴されたら、それ以上何も言えないし。

    過去に起きた様々な問題?、自分が庇うことで解決してきたアンナ…良い人過ぎ、立派過ぎ。
    ほどほどがいいのにって思ってしまう。

    アンナを助けようといろんな人達が繋がっていくが、終始アンナ目線で物事が進まないせいか、もやもやしながら読んでいた。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    母を亡くし、施設に引き取られてきた少女・志場崎安那。彼女は持ち前の明るさで、辛い経験を持つ仲間たちを盛り上げていく。十五年後―。突然のニュースが舞いこむ。アンナが男を刺して逮捕された、と。何がアンナにあったのか。彼女と出会い、かけがえのない時をすごした仲間が集まり、奔走をはじめる。やがて、アンナがひた隠しにしていた過去が見えてくる…。著者自身も愛読した名作へのオマージュをこめた、感動の物語。

    生まれた町にも孤児院が有り、同じ学校に何人も通っていました。友達も居たので何度も遊びに行きましたが、楽しそうでも有り悲しそうでもあり。
    今思い出しても、子供の頃に親が居なくなることを想像しただけで、足元に何もなくなるような、真っ暗闇の中に放り込まれるような恐怖が沸きあがったものでした。
    恵まれた家とは言えませんでしたが、大人になるまで大過なく過ごし、親の愛情を疑う必要も無く生きてきたのは本当に幸運だったと感じます。

    親もおらず、あらぬ疑いで誹謗中傷受けながらも強く明るく生きてきたアンナが、最終的にポキリと折れたように罪を犯した時に、過去の友人たちが立ち上がり彼女の元へ集まる友情物語です。
    誰も頼らずに生きてきて、ようやっと孤独ではなくなると思えた時に、過去に足を引っ張られどうしても幸せをつかめないアンナ。そんなアンナの足跡を追う友人たちの前に現れる過去の彼女はいつも誰かを守る為に自分を犠牲にしている姿なのでした。

  • 赤毛のアンは読んだことはない。以前アニメでやっているのを見て、冒頭で無理だと思ってやめた。
    ミステリーということなので、最後まで何か裏がと疑っていた。それに友人皆が、主人公のために動くのも、なんだかリアリティが感じられなかった。
    この作家さん、以前読んだ作品は、詐欺師なのに善人だったなと、ちょっと納得。
    いつ裏が~と思いながら最後まで引っ張られました。

  • アンナの努力は報われます。だってこんなに沢山アンナのことを思う友がいるってだけですごい。
    大人になっても変わらない関係はどれだけ貴重か…それはひとえにアンナの努力の賜物。
    一生懸命生きなきゃいけない子供の話は苦しくなるけど、結末は希望に満ちてるので幸あれと願います。

  • #読了。
    「赤毛のアン」が大好きな少女志場埼安那は、母親を交通事故で亡くし施設に引き取られることに。明るく正義感の強いアンナは、皆に頼られる存在となっていく。そんなアンナが人を刺したとのニュースを聴き、離れ離れになっていた昔の仲間がアンナの為に立ち上がる。
    重たい過去を持った話ではあるが、悲壮感はない。それどころか、アンナの前向きな考え方には驚かされる。きれいな区切りでの終わり方ではないが、この先に希望が持てるラスト。

  • 孤児院で育ったアンナが大人になり
    傷害事件を起こしたと報道される。
    孤児院での仲間や職員、学生時代の友人、かつての恋人など
    アンナと関わったそれぞれが
    それぞれの想い出を胸に真相を突き止めようと奔走する。

    章のタイトルも「赤毛のアン」に寄せてあるが
    中身はしっかり真保ワールド。

    この物語の先が明るいことを祈りたい。

    【図書館・初読・4月13日読了】

  • 孤児院で育ったアンナ。まるで「赤毛のアン」のようにひたむきで明るい少女だった彼女が起こした事件。彼女に何があったのか、そして彼女のために何ができるのか。アンナの友人たちが真相を求めて奔走する、スリリングながらハートウォーミングな物語。
    親のいない、施設育ちの子供というと不幸で可哀想というイメージになるのはある程度仕方ないものかもしれないけれど。決してそうとは言い切れないはず。それなのに無理解な世間があるのも確かで。数々の苦難に立ち向かう健気なアンナの姿は応援したくなるのだけれど、痛々しい部分もかなりあって。だからこそ、彼女を思う多くの人の存在にはほっとさせられました。これからのアンナの人生が幸福に満ちたものになることをひたすら祈るばかりです。

  • 思春期の頃「赤毛のアン」読んでいたら、今の100倍面白かったかもしれない。
    真保さん、こんなお話も書くんですね。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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