日&米堅調 EU&中国消滅: 世界はこう動く国際篇

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198641610

作品紹介・あらすじ

世界経済は好不況と完全に二分割された。好調の日米に引っ張られるのか不調のEU中国に飲み込まれるのか。今その瀬戸際に立たされている。経済の流れの読み方を誤ると手痛い打撃をこうむることになる。転ばぬ先の杖。ご一読をすすめる。

感想・レビュー・書評

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  • 今年(2016)6月頃に読んだ、長谷川慶太郎・田村秀男氏の二人の対談本で、世界経済の動きを予測した本です。書かれてから半年以上経過していて、その間に、英国のEU離脱の国民投票、トランプ氏の米国大統領選挙の勝利等、大きなニューズがありましたが、それらを踏まえて、このレビューを書きながら、ゆく年を振り返ってみようと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国はSDRへの採用が決まったので、ドルの外貨準備を大幅に取り崩す必要が生じた、でないと人民元をドルに替えたいという強い需要に応えられないから(p22)

    ・資産を海外に移そうとするのは、国有企業や党幹部のみで、多くは習近平政権の監視が及ばない、江沢民元国家主席グループの企業幹部や既得権者たちである(32)

    ・中国はバブルが弾けても、持てる者はお金を持て余している。彼らのお金が上海や北京などの大都市の不動産部門に入っていて、むしろ上がっている(p50)

    ・ドイツ銀行が1月28日に発表した2015年の決算では、過去最大の68億ユーロ(8600億円)の純損失、この要因の一つは、ギリシア関連の不良債権を抱えていること(p68)

    ・VWでは、VWおよびその傘下の、アウディとポルシェで、ディーゼルエンジン車の排ガス不正問題が浮上して、業績が落ちた。それを支援しているドイツ銀行の経営も影響した(p69)

    ・ドイツに来た難民は110万人にもなり、治安が乱れ始めて経済への悪影響も出た(p71)

    ・中国では共産党の命令が利くので、建物・機械・インフラへの固定資産投資が増えて、中国のGDPの5割程度になっている。固定資産投資を20%増やすと、GDPは10%増えることで、お金が回っていた(p83)

    ・中国の指導層に入る道は大きく二つある、1)太子党(高級幹部の子弟等)、2)中国各地の共青団から選抜されたもの(p85)

    ・中国は、共産主義ではない以上、崩壊するはずがない。ソ連には、まだスターリン主義とかレーニン主義という共産主義思想があった(p87)

    ・2012、2013年を合わせた中国のセメント生産量は、約45億トンで、アメリカの20世紀全体の生産量:44億トンよりも多い。それだけめちゃくちゃなセメントをたった2年間で作ってしまった(p92)

    ・日本が質への追求へと転換したのは、1973年の第一次オイルショックである。日本では1996年までの20年間かかった(p97、98)

    ・中国経済を立て直すには、少なくとも一度は、GDPを半分にしなければならない。中国鉄道貨物輸送量は、2012年を100とすると、2015年12月で50である(p100)

    ・中国が時間稼ぎができるとすれば、資本規制をするとともに人民元をSDR入りさせ、その人民元融資でAIIBを動かし、インフラ輸出を促進するというシナリオが考えられる(p103)

    ・中国での自動車保有台数は、一億数千万台、中間層の家族数は一億数千万、一家族三人として、中間層は三億人いると考えられる。なので、一億数千万人くらいは、まだ爆買いできるだろう(p106)

    ・中国で信用恐慌が起きないのは、中国の金融市場が国際化されていないから。中国共産党が中国の4大商業銀行を保護している(p107)

    ・ゴルバチョフが東ドイツを見捨ててベルリンの壁が崩れたのが1989年11月、それからわずか2年余りでソ連も崩壊した。(p111)

    ・中国は共産党が動かしている国家なので、習近平政権は、軍・中央銀行さえ押さえていればよい。持てる者たちである中間層以上は、現体制が崩れたら困るから民主主義に反対、貧しい農民工は権利なし、地方・地区ごとに分断され、統一した反抗運動を起こせない(p114)

    ・おそらく2020年まで中国はもたない、ソ連についても国際社会は潰れる瞬間まで大国として扱わなければならないとして、扱ってきた。中国も同じようになっていく(p117)

    ・ニューヨークは地下鉄を延長しないと需要に対応できなくなってきている。東京の地下鉄車両が全部で4000両なのに対して、ニューヨークは約6000両が走っている(p124)

    ・本来なら、リーマンショックでマネー経済は潰れるべきであった、しかし大量のドルによってマネー経済は潰れるどころか復活してしまった(p126)

    ・アメリカは軍事関係を除いて国立大学はなく、私立と州立。アメリカは国として大学教育にお金をあまり使っていない。サンダース氏の学費無料化という公約は、有権者にアピールしている(p136)

    ・12か国によるTPPは、世界のGDPの約4割(3100兆円)、八億人、世界貿易の三分の一を持つ、世界最大のFTAである。日本の自由化率は12か国中で最低の95%であるが、これまでに結んだどのFTAよりも自由化率が高い(p145)

    ・中国軍は、1950-1953まで続いた朝鮮戦争で、中国側は80万人もの死者が出ている(p167)

    ・中国人民解放軍の改革の狙いは、陸軍・海軍・空軍を組織上並列の扱いとし、これまでの陸軍を特別扱いする軍の在り方を是正するもの(p175)

    ・軍区から戦区への統廃合では、瀋陽・蘭州・済南の3つの軍区を廃止して、南京・成都・広州・北京の4つの戦区に吸収させる(p176)

    2016年12月31日作成

  • 2016/08/23:読了
    日&米堅調
     アメリカの人口が増加しているのは確か。
     日本は、人口減をどうにかせんと。
    EU&中国消滅
     中国は、よく分からない。
     ドイツは残るが、EUは仕切り直しだろうな

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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