水戸黄門 天下の副編集長 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198641955

作品紹介・あらすじ

『国史』が未完に終われば、水戸徳川家は天下の笑いもの。遅々として進まぬ編修作業に業を煮やした光圀は、遅筆揃いの不届き執筆者たちの元へ、御自ら書物問屋のご隠居に身をやつし、直々に原稿の取り立てに。御老公の旅のお供は、水戸彰考館で国史の編纂に携わる、おなじみ覚さん介さんをはじめ、鬼机のお吟など名うての編修者。爆笑必至、痛快時代エンターテインメント登場!

感想・レビュー・書評

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  • 月村氏がこんな爆笑エンタメ作品も書けるとは。
    ご存知天下の副将軍・水戸光圀老公が、介さん・覚さん(テレビでは助さん・角さんだが)を引き連れて日本全国を行脚し、悪者たちを懲らしめるエンタメ時代劇の小説かと思いきや、国史編纂遅延に業を煮やして、直接執筆者の原稿催促に向かう奇想天外な爆笑時代劇。介さん・覚さんの非力ぶりも笑える。伊賀甲賀入り乱れ、おまけに真田昌幸の息女が登場し、豊臣寄りの国史編纂と対峙するなど、好き放題。まあ箸休め的な小説としては面白い。

  • 「執筆者は生かさず殺さずを以て旨とすべし」
    「執筆者に心を許すは戦場での油断と心得べし」
    「締切破りは天下の大逆と心得べし」

    鬼副編集長の水戸黄門が、原稿が遅滞している「国史」執筆者の元へ直々に取り立てに…!という予想外のエンターテイメント。
    やー、笑った!
    あくまでドラマとは全く別の設定だが、ドラマを見ているとより笑える。
    私は子供の頃、風車のあの方が大好きだったので嬉しかった!
    また、編集者と書き手のやり取りは、書いているのが普段編集者を(おそらく)泣かせている書き手ということで、そちらもニヤニヤしてしまう。
    完全に悪ノリ作品なので、好き嫌いは分かれそうだけど、私はこういうの好きよ!
    続編ないかなー。

  • 超楽しかった!こういうの好き。
    テレビのあのイメージを最大限利用して
    スランプの説明とか田中啓文みたいで
    土漠の花からの落差が…

  •  奈良時代に編纂された''日本書紀''に次ぐ国史の''大日本史''を編纂する為に水戸黄門自らが執筆者の下へ原稿催促に行く、側には覚さん・介さんも同行。TVドラマでお馴染みの水戸光圀の全国行脚の編集者版パロディです。

     大日本史は、光圀が始めた歴史書で水戸徳川家の財政の三分の一を投入したとも言われており、光圀が執筆し介さん・覚さんが全国の史料を集めて廻った。まるでTVドラマの全国行脚の様だ。

     3人のドタバタが面白い。下田では執筆者を探す為に介さんが賭場で張り込みをするがつい熱くなって手持ちの路銀をすってしまう。覚さんにたずねる''これは必要経費で落ちるのだろうか?'' 大笑い! TVドラマのイメージしか無いので背筋を伸ばしたクールで真面目な介さんが、お金の心配しかも経費で、、のっけから楽しみな小説です。

     ご存知と思いますが、TVドラマ版には風車の弥七とお吟も同道するのですがやはりこの物語りも同じで、御隠居が雇った編集デスクのお吟は甲賀の忍び、風車の男は伊賀の忍びです。また、ドラマと全く違うのは介さん・覚さんは武道は全くダメで何も出来ない。

     兎に角、お笑い要素たっぷりで面白い。内容は執筆者に叱咤激励の原稿取立てのみ。好色本執筆者、マゾの執筆者やライバル同士の恋愛等、一件落着は全て印籠の威光だ。ドラマと同じだがこんなに笑えるTVドラマ水戸黄門は知らない。

  • タイトル通りの水戸黄門のパロディ。国史編纂のための原稿集めの旅っていう設定は面白いけれど、展開が今一つ盛り上がり切れなかった印象。ライバルの真田家や甲賀忍者の後輩はいらなかったな。

  • クスリとする場面もあるし、民明書房みたいな記述があったりと面白いところもあるけど、徳川光圀が原稿催促に諸国漫遊するって設定のみの出オチみたいな話。真田幸村の落胤一味を出したことでストーリーが縛られたような。

  • 遅々として進まぬ『国史』編修作業に業を煮やした光圀公は、書物問屋のご隠居に身をやつし、『国史』原稿督促のため、全国を行脚する。
    旅の面々はご隠居、介さん覚さんくノ一お吟に、神出鬼没の風車の弥一郎。
    しかし督促先では不可解な事件に謎の陰謀が…?
    「ここにおわすをどなたと心得る!畏れ多くも前の水戸藩主、徳川光圀公にあらせられるぞ!」
    ……なんやこれ馬鹿じゃないの…大好きだ!
    完全にお茶の間時代劇「水戸黄門」のノリで進む編集行脚。こうなったら続編も出して、うっかり八兵衛にも出てきてほしいものです。

  • 設定はなかなか面白いと思ったが、TV版の水戸黄門のパロディでは程度が知れよう。まぁ、暇潰しには良いかも。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    『国史』(『大日本史』)が未完に終われば、水戸徳川家は天下の笑いもの。遅々として進まぬ編修(編集)に業を煮やした光圀公は、遅筆揃いの不届きな執筆者どもから直々に原稿を取り立てんものと、書物問屋の御隠居に身をやつし、御自ら原稿催促の旅に出た。お供を申しつけられたのは、水戸彰考館で国史の編纂に携わる、おなじみ覚さん介さん(実在)をはじめ、机(デスク)のお吟など名うての編修者。最初に訪れた下田では、目当ての学者の身辺で、なにやら不可解な陰謀が。爆笑必至、痛快時代エンターテインメント開幕!

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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