たゆたいエマノン (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198643829

作品紹介・あらすじ

地球に生命が誕生して以来、原初からの記憶を全て持つ美少女エマノン。
彼女は、内線で混乱するアフリカや厳冬の北海道など、様々な土地を旅する。
それは、地球に住む生命の進化を見守る役目を担わされたためなのか?
そして、彼女とは違った役目を背負い、様々な時代を跳びながらエマノンと出会う美少女ヒカリ。
彼女たちの邂逅は、人類、そして生命にどんな未来をもたらすのか?
人気シリーズ最新作!

感想・レビュー・書評

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  • ヒカリの関係を中心に纏められていた。途切れることのないエマノンの時間にとって、なるほどヒカリは一つの救いなんだろう。

  •  久々のエマノンシリーズ。今回も一気に読まないで、じっくり舐めるように熟読しました。
     初っ端から「布川」の名前を見て、時間に弄ばれるヒカリは正に「親の因果が子に報い」という悲しい定め、時間の神様に逆らった者は末代まで祟られるのかなどと思いを馳せました。
     エマノン・シリーズは静かに時間が過ぎていくのが心地よい。今日の爽やかな風を全身に受けると、すぐ隣にエマノンがいるかもしれないなどと思わず隣を見てしまう自分がそこにいました。

  • 【感想】
    ・これがエマノンの最新作かな? まだ続けてくれる気はあるようなのでひと安心。

    【一行目】
     その時代、まだエマノンはヒトの形をしていなかった。

    【内容】
    ・エマノンはタイムトラベラーのヒカリと特別な縁を持っている。彼女は自分が生まれる前に亡くなった。
    ・北の島で診療所の医師をしている婚約者のところに嫁ぎに来た美波はエマノンと似ていた。オリジナルのエマノンが死にそうになったとき…
    ・小学生の俊悟はエマノンと出会い、再会の約束をゲット。
    ・さまざまな集団が入り乱れて戦うアフリカの地で研究施設のボノボたちを守ろうとしているモイーズを助けることを頼まれたエマノン。
    ・男子高校生四人の夢にエマノンが現れる。

    ▼エマノンについての簡単なメモ(一巻目からの累積)

    【アイオン】エマノンと同じくすべての記憶をもっている植物。「永遠の時」という意。エマノンの知り合い。
    【愛童園】荏口拓麻が幼少の時期を過ごした養護施設。
    【兄】常に女が一人しか生まれないのにある世代のエマノンに兄がいたことがある。
    【アマゾンの密林】意外に土地は痩せていて同じ種の樹は密集せず住み分けている。開発すると元には戻らない。焼畑ならなんとか共生できる。
    【アルヌー】レオポルド・アルヌー。マルティニーク島サン・ピエールの官公庁街ヴィクトル・ユーゴー通りでジャンに目をかけてくれていた公証人。
    【アレフ】ステフの飼い犬。
    【猪部一雄】肥乃国日報文化部芸能欄担当の記者。裏のない性格で飄々としている。
    【いい人】《私、いい人はわかるの。》「ジュルパリ」p.171
    【意味】《何か意味があるとは考えないほうがいい。偶然とは、どんなことだって起こりえることなんだから。》まろうどp.157
    【祝川/いわいがわ】高校の超常現象研究会の部員。マンガ研究会と同じ部室を使っている。
    【浦川アツシ】水野香澄が働いた寺の近くの老人ホーム「トマト苑」で暮らす老人。七十年前にエマノンから銀色のボトルを預かった。
    【荏口拓麻/えぐち・たくま】エマノンの双子の兄。これまでの歴史上一人しか存在しないきょうだい。美形、長身、頭脳明晰、超人的な身体能力。過去の記憶はない。児童養護施設で育った。荏原姓は引き取ってくれた里親のもの。他の人には感じられない移動する赤い光を身体内に抱えている。おそらくエマノンのいる方角を示しているのではないかと想像される。1951年に二、三歳で警察に保護された。その時点では双子の姉ないしは妹はいたが、愛童園に引き取られるまでにいなくなった。高校生のときエマノンと出会う。その翌年北爆中止、翌々年月面着陸。
    【荏口文恵/えぐち・ふみえ】拓麻を引き取った。大人に対するのと同じように接してくれた。笑顔を欠かさない人。元教師で厳しすぎも甘やかしすぎもしない懸命な人で自分の考えを押し付けもしなかった。
    【X―パウダー】米国がベトナム戦争で使うために開発していた化学兵器。
    【エド】サンデイの夫、トミーの父。
    【エマノン】だいたい粗編みのセーターとジーンズを身に付けナップザックを背負っている若い女。《私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ》「おもいでエマノン」p.18。そして記憶の重みにうんざりしている。最初の話の時点では昭和二十五年生まれの十七歳。両切りのたばこをすう。家事力は高い。超人的な肉体能力を持つ。可聴域も人間より広い。
    【エマノン・システム】地球の生命発生以来の記憶を受け継いでいる生命体。人間になってからは常に娘を産み記憶が受け継がれ元のエマノンには残らない。エマノンとしての個体の活動期間は二十年くらいと思われる。ビヒモスの話をヒントに考えると、地球上での最後の生命がエマノンで、そのギフトとして生命発生まで遡り代々の記憶を持つことになったのではなかろうか。要するに結果が原因を作った的な。
    【エマノンの生殖】時が来たら次代のエマノンを生む欲求が芽生えるのでそれとわかるそうだ。そして、エマノンが求めたら男が断ることはできない。
    【エマノンの名前】no nameの逆さ読みらしい。
    【エルムヘッド】米国、メイン州、何かがあって入ってはいけない場所。最近亡霊が出るとの噂。
    【縁】「縁があるとすれば」(中略)「また会えるのよ」うたかたp.50
    【邑上】九肥放送のVTR編集室勤務。大柄で繊細さとズボラが同居している男。「ワイドおはよう列島」というキー局発信の番組で鉈地英子と組むことになった。
    【お願い】《エマノンの願いを聞きますいれられない男なぞ、この世には存在しないのだ。》ゆきずりp.179。
    【おもいでエマノン】とある古本屋に置かれていて杜倉倫子が入手した売れそうにない本。表紙の絵がかつての級友のエマちゃんのようだった。

    【カール】米国メイン州、初老の農夫。怖い何かに出遭う。
    【学生】名前はわからない。最初のエピソードでエマノンと出会った青年。SFが好き。ずっと後にエマノンと再会するが。
    【梶尾真治】『おもいでエマノン』という売れなさそうな本の著者。杜倉倫子は自分のかつての級友のエマちゃんを知って書いたのだろうと思った。カジオ貝印石油の社長さんでもある。
    【片岡雅子】九肥放送のアナウンザーだったがある日突然マイクの前でしゃべれなくなって今は資料室勤務。
    【かたはらきよし】ゆみの兄。たで小学校の五年生。
    【かたはらゆみ】浜辺でエマノンと出会ったたで小学校の一年生。
    【神月潮一郎】初めてエマノンと会ったときどういう者であるかをを看破した傲慢で酷薄な高校生。わかってしまう能力とケガをしてもすぐ治る肉体を持っている。
    【ガリオン】コンピュータ。意志が感じられる。
    【川にいた老人】「いくたびザナハラード」で死んだ川をよみがえらせようとしている老人。
    【記憶の引き継ぎ】エマノンに娘が生まれたらその娘に記憶は移行してしまい母には残らない。ということは「生命の記憶」そのものがエマノンという存在なのだろう。
    【菊池健太】御所船町の少年。康太とは双子。
    【菊池康太】御所船町の少年。健太とは双子。
    【傷つける】《本質的に彼女には、決定的に他人を傷つけることができないのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.119
    【ギョーム爺さん】ペレー山中腹で暮らす白人。名前からするとフランス人かと思ったが本名はアレックス・ギロール。外人部隊でアルジェリアに派遣されたことがあるらしい。90歳を越えているが筋骨逞しく動きも素早い。
    【禁忌区】→エルムヘッド
    【キンテーロ】フーリオの知人いい人。
    【倉田健一/くらた・けんいち】老人ホームで浦川老人の世話をしていた青年。
    【黒】ティラノサウルス。
    【黒羽島/くろうしま】稚内西北の島。人口二千八百人。ゴマフアザラシガ見られる。イメージ的には礼文島かな。
    【クロンカイト隕石】拓麻はその隕石にエマノンの危機を感じた。クロンカイト博士が発掘しその後消失した。完全な球体で鉄成分100%。
    【ケツアコアトル】その近縁種を絶滅前にエマノンがマルティニーク島に連れてきたようだ。恐鳥ティタニスの生き残りだったと思われる。
    【ゲプス】泥喰にいた男。松澤という男でもあるらしい。
    【毛谷村研一/けやむら・けんいち】会社が倒産し失業した男。したいこともなりたいものもなく空白のような存在。
    【健人/けんと】→深水健人
    【ゴーギャン】ポール・ゴーギャン。画家。マルティニーク島に行く船上でエマノンと出会う。まだゴッホと出会う前のようだ。千八百八十七年と思われるがマルティニーク島にはラフカディオ・ハーンも滞在したことがあるらしい。
    【御所船町】「ぼく」がエマノンを見た町。恐竜化石が有名な御船町がモデルかも?
    【コモナ・ムアンザ】ツォボ州立大学霊長類保護区(サンクチュアリ)の職員。大学院の学生。毒虫に刺され苦しんでいたエマノンを助けてくれた。

    【雑音】《そう雑音は複数の情報が輻輳したものなのよ。雑音の中には、宇宙の真理を始めとする総ての情報が入っている。》「ザナハラード」p.270
    【佐土原鄙子/さどはら・ひなこ】→マキ
    【ザナハラード】杜倉倫子とつながった存在。《私は、導くことは、しない。ただ、考えてもらいたいだけです。何故、この世に、人間が生まれたのか。それがいいことなのか。悪いことなのか。》「いくたびザナハラード」p.247-249
    【サロメ】アレフの孫。セントバーナードの突然変異種。
    【サンディ・ペイジ】新しい人生を送ろうとしている女。トミーという息子がいる。
    【サン・ピエール】マルティニーク島の首都。千九百二年の火砕流で壊滅的打撃を受け、首都は移転する。
    【思考】《必要以上のことをエマノンは考えない。》ゆきずりエマノンp.110
    【邪魔】としか言いようのない何かしらの存在らしい。いったん出現すると全てを食いつくすのだとか。
    【ジャン・ジャック・モリス】マルティニーク島の少年。千八百八十二年ペレー山中腹に「ゾンビの火」を見た。千九百二年に火砕流が起こるので、噴火の予兆だったのかもしれない?
    【終末装置】ザナハラードが杜倉倫子に作らせた機械。日用品だけを使い人類だけを滅ぼすことができる。どっかのギャクマンガでそんなのがあったような気がする。ぼくが作ってしまったらつい作動させるかもしれない?
    【ジュルパリ】精霊。
    【晶一】セラピーにかかっている瞳の大きな少年。出生前の記憶を持っている。両親が死んだ交通事故のときエマノンから輸血を受けた。《でも、晶一くんはほしになったんだわ。願いがなかったじゃない。》「さかしまエングラム」p.60。
    【ジョシア・カトレア】砂漠にも寒さにも耐える全天候型のカトレア。ステフの農場で生まれ、ステフの婚約者の名前を付けた。
    【ジョンのバー】米国、メイン州にある酒場。むさ苦しすぎで女性従業員は長続きしない。
    【白比丘尼】→八百比丘尼
    【菅原神社の夏祭り】
    【ステフ・ランズバーグ】崖から落下したエマノンを救った、遺伝子組み換えにより植物の品種改良をしている男。エルムヘッド出身。婚約者はジョシア。
    【ゾンビ】マルティニーク島に出没する怪異。姿は決まってない。巨大な犬だったり、巨大な焔だったり。

    【ダウジング】エマノン特殊能力のひとつ。道具なしでダウジングできる。砂漠で水を見つけるのも簡単!
    【田口】セラピスト。晶一を治療している。
    【田中和子】荏口拓麻の母と思われる女性。おそらく仮名。中央弥生公園近くの福寿荘というアパートで暮らしていた。
    【たばこ】エマノンはよくたばこをすっている。マルティニーク島でラフカディオ・ハーンにすすめられ初めて試し、「解放される」ことに気づいたらしい。以降、トレードマークとなる。
    【旅】《エマノンは記憶の原初からずっと、旅を続けているのだった。理由など見当たるはずもなかった。そらはエマノンにとって本能なのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.120。《旅することが私が生きてること》「まじろぎクリーチャー」p.78
    【丹下丈二】創業以来九肥放送勤務していたが取材中の事故で退職したらしい老人。今は酒びたりの日々。
    【ツチノコ】美郷健が高校教諭をしていたころのアダ名。ツチノコに似ているからとか。今はJ・K・インダストリィ傘下の企業をやっている。
    【トミー・ペイジ】サンディの息子。
    【泥喰】人里離れた土地。泥を喰うしかなくなるほど飢饉が続いたことがありそう呼ばれるようになった。

    【直樹】→廣瀬直樹
    【鉈地英子】ローカル局、九肥放送報道局のアナウンサー。天草に行く途中のバスでエマノンと出会う。エマノンと同じE・Nというイニシャル。
    【ニョッキョ坊】少年。泥喰(どろばみ)で最も若い。通称「ニョン」。他者の心の中を少し覗くことができる。また、「束ねる」能力がある。さいたま市の小学生、志水彬(しみず・あきら)でもあるらしい。
    【人間】《天敵の存在しない生命というものは、自分で天敵を生産してしまわねばならないという思いあがった使命感を持ってでもいるのだろうか。》「まじろぎクリーチャー」p.82
    【ヌーミユ】泥喰にいた中年の女。
    【抜ける】泥喰にいる連中に起こる現象らしい。抜けている間は意志がなくなるようだ。
    【布川輝良/ぬのかわ・あきら】ヒカリの父。
    【ネム】泥喰で出会った「KITADA-DENKO」と縫いとりのある作業着の男。

    【ハーン】→ラフカディオ・ハーン
    【橋本】荏口拓麻が幼少期を過ごした愛童園の園長。人を見る目が達人の域に達したのでいまだ独身と言う。
    【濱洲庄一/はます・しょういち】母親が「御島/みしま」出身。
    【原田涼太/はらだ・りょうた】荏口拓麻の中学時代の友人。
    【春田俊悟/はるた・しゅんご】樫葉小学一年のときエマノンと出会った。
    【バレイロ】怪人。絶滅したはずのアラワクのタイノ族なんだとか。
    【ヒカリ】布川暉里。九州の樫葉村大字小崩(かしばむらおおあざこくえ)出身で墓もそこにある。エマノンが原初のかたちだった頃海中で出会った存在。タイムトラベラー。「たんぽぽ娘」かな。ヒカリがその時代から旅立っていくとエマノン以外は彼女の記憶を失ってしまう。リアルでは父親は亡くなっており記憶はあまり残っていない。母親とはリアルな時間を過ごすことがあるようだ。ヒカリは自分が生まれる前に亡くなりエマノンが墓をつくった。
    【光の輪】離れた時間を、あるいは異なる世界をつなぐ何か。
    【久屋裕介/ひさや・ゆうすけ】父子家庭の高校生。クラスメートでマンガ研究会の部長、梅野章(うめの・あきら)、そして北原健太、優等生タイプの吉永とともにエマノンの夢をみた。
    【ヒデノブ】予知能力者。ヨシフミと組んでいる。未来に起こることが全て書かれている一冊の本を持っている感じで読めばなんでもわかるが、決定された運命を自分がなぞるだけだと悟りヒデノブはなるべく読まないようにしている。エマノンとは真逆の方向の能力者。
    【人喰い】カリナゴ族(カリブ族)。バレイロたちアラワクのタイノ族と敵対している。
    【ビヒモス】人間からひどい目に遭い街で大暴れしている地球最後の象。常に警告している。かつて鼠のようなデリタリウムという小動物だった頃のエマノンたちを助けてくれた。なせ助けてくれたのかを知りたくてエマノンは会いにゆく。聖書やゲームでお馴染みの「ベヒーモス」のことだろう。《生命は憎むために生きているのではない。》「さすらいビヒモス」p.41。ビヒモスは最後の個体になったからか総てがわかるようになったと言った。ならエマノンの能力も似たようなものなのかもしれない? 最後の生命体エマノンに能力が発生し、逆算してそれ以前の総てのエマノンが能力を持ったと。受け継がれたのではなく「生命の滅び」という結果が先にあり、「生命の発生」という原因までつなげられたのかもしれない。
    【ヒョンミ】ペェ・ヒョンミ。韓国人。とある人物の運命の人。
    【廣瀬直樹/ひろせ・なおき】アポロ11号が月面着陸した日、御所船町でエマノンと出会った、当時少年。
    【廣瀬直樹の曾祖母】アポロ11号が月面着陸した日から夏休みの間直樹をあずかった。御所船町在住。
    【フーリオ】ブラジルの少年。バウパナ族。父は呪術師(魔法医)で兄のトルヒヨが後を継ぐと思われ自分はその予備に過ぎないと部族を飛び出してきた。フーリオはひとつだけ術を教わっている。今はアマゾン・インディオたちの「普通の生活」を観光客に見せる「俳優」。
    【フェル・ド・ランス/三角頭毒蛇】マルティニーク島にいる毒蛇。噛まれたところからボロボロ腐り骨から肉がはがれ落ち死に至る。
    【深水健人/ふかみ・けんと】黒羽診療所の医師。早稲美波の婚約者。幼い頃ヒカリを待っているエマノンと出会ってプロポーズしたらしい。
    【フチザキ化学】何にでも手を出す企業。
    【古橋】東阪石油の備蓄基地建設のための駐在員。いろいろ苦労している。
    【フレデリック・F・フリードマン】サンデイの父、トミーの祖父。「狂気の3F(ルナティック・スリーエフ)」と呼ばれた有名な研究者。宇宙生物学を研究していた。ガリオン・ラボを開いた。
    【分部島/ふんべじま】黒羽島の南東の島。島全体が分部富士と呼ばれる。イメージ的には利尻島かな。
    【ペッシー】かたはらゆみの飼い犬。
    【ホルネリア】赤潮。

    【マキ(仮称)】光の輪から落っこちてきた女の子。光の輪の向こうは炎の情景だったのでおそらく空襲でもあったのだろう。本を数冊持ってたので知的なタイプか。ストーリー的には直樹の幼い頃に亡くなった母ってところか?
    【マクトゥーヴ】「運命づけられたもの」とか「予定されたもの」といった意味。神月潮一郎が自分のことをそう評した。
    【ましら】猿のことかと思ったらそうではなくて曾祖母の畑仕事を手伝ってくれることもあるらしい山中に住む男のことらしい。ストⅡのブランカをひげもじゃにしたくらいのイメージ?
    【マム・ロベール】マルティニーク島で行商する中年女。不思議なところがある。いつも黒い服を身に付けている。ハーンに怪奇な話を聞かせてくれる。バス・ポアン出身。
    【マルティニーク島】カリブ海アンティル諸島にある島。いつも山頂が雲で覆われている火山ペレー山が威容を誇る。夜になったらゾンビが出る。
    【三沢淳子】荏口拓麻のことが好きな女子高生。姉が証券会社に勤めている。
    【三沢容子】淳子の姉。証券会社に勤めており拓麻の分析能力に関心を抱いて会ってみたら六歳歳上ではあったが男性として夢中になった。
    【御島/みしま】エマノンが何者かに呼ばれた島。天草の離島。以前は観光リス園などもあったりしたが今は無人。
    【水野香澄/みずの・かすみ】二十七年間、生きていることに辟易しているが自殺はできない女。他者の記憶が流れ込んでくる体質。
    【モイーズ】コモナの息子?
    【杜倉倫子/もりくら・のりこ】なんとなくで生きてきたとアラフォーの女性。1953年生まれ。未婚。他者に対して距離を置きがちであまり人づきあいせず生きてきた。デパートの婦人服売場店員→探偵社の事務→「医灯新聞」の事務→木庭(こば)内科医院の受付と医療事務を十三年間。「ザナハラード」という言葉が頭にこびりつく。中学生の頃「エマちゃん」というクラスメートがいて巫女の力があると言われたかも?

    【八百比丘尼】人魚の肉を食ったとかで不死に近くなった女性。正体はエマノンで、べつに人魚の肉を食べることはないそうだ。
    【約束】《約束をかわすというのは、人の生命の貴重な"時"を確保しあうことだもの。私は必ず守る》「まじろぎクリーチャー」p.79
    【UFO】光る物体。特に異星人とは関係なさそうだ。何かに迷っているらしい。
    【雄司】百八十センチの長身とたくましい肉体を持つメガネ男。とある漁港にある魚類養殖研究施設「マリン・コーラル」にいる。
    【裕介】→久屋裕介(ひさや・ゆうすけ)
    【由紀彦】父親が最後の象に殺され復讐しようとしている少年。コミュ障で読書好き。
    【ユニス・ランジュラン】ジャン・ジャック・モリスの玄孫。ジャンの母親にそっくり。
    【ヨシフミ】精神感応力者。元暴走族だがケガをしてオートバイの運転ができなくなり今はヒデノブと組んでいる。

    【ラフカディオ・ハーン】マルティニーク島でエマノンと出会う。千八百八十七年から八十九年の間と思われる。当時、ゴーギャンもこの島に滞在していたようだ。エマノンと出会い、日本に興味を抱いたもよう。蛇が苦手。
    【ラプラプ】泥喰で出会った老人。
    【リーバイ氏のズボン】マルティニーク島でハーンからもらったズボン。これ以降エマノンのトレードマークとなるジーンズ。
    【リュウ】泥喰でエマノンを待っていた若い男。なにかしら運命的な存在なようだ。本名は「リュウハルス」というらしい。発火能力を持ち、暑さ寒さを感じない。
    【龍骨台】御所船町で化石が採れる場所。直樹が貝の化石らしきものを発見した。
    【良三】五十間近の男。フリーのシナリオライター。1973年に記憶を失ったエマノン(荏麻/えま)に会い結婚した。その娘が荏衣子(えいこ)。
    【歴史】《歴史って、人類や生命全体の〝おもいで〟に違いないのよ》「おもいでエマノン」p.30
    【老人】良三が荏麻と名付けたエマノンの父親。

    【早稲美波/わせ・みなみ】婚約者の深水健人と暮らすため黒羽島に来た。途中のフェリーでエマノンと出会う。他者から見るとエマノンと似ているらしい。

    ■年表?
    1887年頃 ジャン、ゴーギャン、ハーンがマルティニーク島でエマノンと出会う。
    1902年 マルティニーク島のペレー山噴火による火砕流でサン・ピエールほぼ壊滅。
    1937年頃 凍死しかけたエマノンがユーゴスラビア人男性に救われ結婚し次代のエマノンを生む。
    1935年11月10日 ユーゴスラビア人が父親で八歳のエマノンがヒカリと会う。「ティナ」と呼ばれている。このエマノンが荏口拓麻の母だと思われる。
    1942年 ポルトガルのサンタレンでヒカリと出会う。この地で次代のエマノンに移る予感があった。そのとき双子としていつしょに生まれたのが荏口拓麻と思われる。
    1950年頃 エマノンの双子の兄、荏口拓麻幼少期。
    1953年 杜倉紀子誕生。クラスメートに「エマちゃん」がいた。
    1967年 「学生」がフェリーでエマノンと出会う。そのフェリーで三沢容子に見られたのかもしれない? 違うフェリーかもしれないが、荏口拓麻の双子のエマノンはこのエマノンだと思われる。
    1969年 夏。七月二十日、廣瀬直樹がエマノンと出会う。アポロ11号月面着陸。
    1973年 記憶を失ったエマノン(荏麻)が良三と結婚。「学生」がフェリーで出会ったエマノンだと思われる。二人の娘が後に再会したエマノンか。また、この年、ヒカリの父、布川輝良(あきら)が生まれている。
    1987年頃 小学一年生の春田俊悟が樫葉あたりでエマノンと出会う。
    1990年 ヒカリ没。エマノンが看取る。小学四年生前後の春田俊吾と二十年後に会う約束をする。
    1994年 ヒカリ、父親と暮らし始める。
    2002年以降でその頃 久屋裕介とそのクラスメートたちの夢にエマノンが現れる。
    2010年頃 春田俊吾、ヒカリおよび託児所にいた乳飲み子のエマノンと出会う。このエマノンは久屋裕介と先代エマノンの子どものようだ。
    2013年 ジャン来日。小泉八雲記念館来訪時エマノンが近くにいたもよう。

  • 久しぶりにエマノンが読めてうれしい。今作は、「おもいでエマノン」の中のお話”あしびきデイドリーム”に出てきたヒカリとエマノンとの友情が多く描かれていて、エマノンの違う側面を見られたような感じもする。5つのお話の中では、”さよならモイーズ”が、悲しい結末だったけど、一番心に残った。

  • 時を跳ぶヒカリとエマノン。
    「さよならモイーズ」も好き。

  • SFアドベンチャーで初めて会ったエマノン。
    変わらぬ姿、変わらぬ印象の彼女の新作がまだ読めるがうれしい。

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著者プロフィール

熊本県生まれ。「美亜へ贈る真珠」でデビュー。代表作に『地球はプレイン・ヨーグルト』『怨讐星域』「あしびきデイドリーム」(星雲賞)『未踏惑星キー・ラーゴ』(熊日文学賞)『サラマンダー殲滅』(日本SF大賞)、そして映画化した『黄泉がえり』や、舞台・映画化した『クロノス・ジョウンターの伝説』など。

「2022年 『未来のおもいで 白鳥山奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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