人間臨終図巻〈1〉 (徳間文庫)

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著者 : 山田風太郎
  • 徳間書店 (2001年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198914776

人間臨終図巻〈1〉 (徳間文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 山田風太郎による人間の死に方図巻、全3巻。15歳で死んだ八百屋お七から100歳以上の長寿者まで。私は時代劇や歴史物を読んだり見たりするときの虎の巻として使ってます。
    死んだ時の知り合いの証言や記述を集め、どうやって死んだかを通して、その人の人生を浮かび上がらせる文章力が見事。反面、この図巻に乗っている人たちのことは、読み手は当然知っているものとして語られるので、知らない人については個別に調べる必要もあります。また死に方を知りその人物に興味を持つことも、反対にこれ以上知りたくないと思うこともあり(凄惨すぎる死に方をした作家の本はもう読めないな…とか)。
    若い死はやはり残念だけれど、働き盛りの壮年での急死は本当に無念だったと思う。東京裁判での死刑囚たちの描写は本当に涙がぽろぽろ出てきました。

    垣間見える山田風太郎の死生観も良いのです。

    豪快と評される人物の女性への接し方を「いい気なもんである」
    切腹前の武士の辞世の句を「昔の人はこういう事態によくもこんな辞世を残せたものだと感心する」
    立派に死んだとされる人物が、死刑判決を聞いたときに取り乱したという記述に関して「前日覚悟の遺書を書いたはずだが、それでも現実の死刑宣告は彼にとって衝撃だったのであろう。矛盾よりも、人間とはこうもあろうと思わせる」
    志半ばに死んだ人物を「死は大半の人にとって挫折である。しかし奇妙なことに、その死が挫折であればあるほどその人生は完全形をなして見える」
    晩年の名言を「負け惜しみだろう」
    遺言が叶わなかったことに対して「死者の意志は生者の都合により反故にされる」「人は死ぬときに自分の名を残したいと思うものと、消し去りたいと思うものがいる」など。
    死病にかかった人物の苦しみを「彼の数々の奇行乱行はこの苦闘の飛沫であった」
    裁く立場から裁かれる立場になった人物を「人間には人を断罪することには熱情的だが、自分が断罪される可能性のあることには不感症の傾向がある」「人は最後の関頭に当たって、突如として敵が寛大でありえるような妄想を抱くことがある」

  • すごい本です。まだ、1しか読んでませんが、2、3は 少し時間を空けてから読みたいです

    若い時は自分が死ぬなんて意識しないで 、すんなり読めるでしょうが、中高年以降の者にとっては 一人一人のストーリーを考えさせられるので 読みやすい文章なのに 読み進まない本です

    それにしても 死ぬ前に 辞世の歌を詠む人が多いことに驚きます

  • 第1巻は、15歳で刑場の露となった八百屋お七にはじまり、長年テレビ時代劇の銭形平次を演じつづけた所為で結腸癌を肝臓に転移させて55歳で急死した大川橋蔵まで、延べ324名を網羅し、ごくコンパクトにそれぞれの死にざまを活写するが、まさに、死にざまとは生きざまそのもの、であることよとつくづく感じ入る。
    天誅組首領として19歳で殺された白面の貴公子中山忠光、その姉の子が後の明治天皇となった。スペイン風邪から結核性肺炎を罹病した村山槐多は23歳だったが、その実自殺同然の死であったと。安政の大獄で殺された橋本左内は25歳。大正12年、摂政宮-後の昭和天皇-を狙撃して絞首刑に処された難波大助も同じく25歳。明治維新まもなく反逆罪に問われ梟首された若き熱血詩人雲井竜雄は26歳。北村透谷も石川啄木も26歳で逝った。日本映画創世記の若き天才監督山中貞雄は日中戦争で召集され29歳で戦地に死す。「嵐が丘」を書いた早世のエミリー・ブロンテは30歳。大逆事件に連座して絞首刑となった菅野すがも同じ30歳。共産党の非合法下、築地署の留置場で特高らによって拷問死に至った小林多喜二も30歳だった。存命中はまったく認められず貧窮の内に31歳で病死したシューベルト。丸山定夫率いる移動劇団「桜隊」の一員として広島で被爆した宝塚出春の新劇女優園井恵子も31歳、原爆投下の2週間後に死んでいる。因みに桜隊は丸山以下全員が原爆の犠牲となって死んだ。敗戦後の日本人を悲しくも爆笑させた怪異珍顔の落語家三遊亭歌笑は、銀座松坂屋の前で進駐軍のジープに撥ね飛ばされ即死したが、これも31歳の若さであった。等々、拾い出せばキリがない。
      ――2009/09/25

  • 没年齢別に、古今東西善人悪人…様々な形で名の残る人々の臨終際を記した本。人選が秀逸。
    長寿大国で、天寿を全うし病院のベッドで死ぬのにも、語りきれないドラマがあるけれど、この本を読むと今の日本は「死の形」の選択肢も狭くなってきたのかなあ、と思ってしまう。

  • まさに歴史上の人物の臨終「図鑑」。山田風太郎的ラインナップと解説寸評がファンにはとても心地いい。
    ナポレオンと大久保清と大正天皇と石田吉蔵(阿部定にちんちんを斬られて絶命)が同列に並べられるのだから、これぞ風太郎!

  • 円谷英二、高杉晋作の死が感慨深い。

  • あまりに知らない人は、短い文章の中では背景がわからなかったので、読んでいても興味がわかなかった。少しでも名前を聞いたことがある人は、どういう死に方をしたんだろうと大変興味深かった。2,3とあるみたいだけど、それほど読みたいとは思わないかな。

  • いや、素晴らしい。
    古今東西の著名人のいわゆる「死に様」を淡々と書き連ねた本。

    この本を手に取ったのは「ぼくらの頭脳の鍛え方」で紹介されていたからなのですが、非常に興味深く読みました。
    年齢の若い順に並んでおり、最初は十代から。
    初めのほうは歴史上の人物でドラマチックな(不謹慎ですみません)最期を遂げた人が多く、
    フィクションを読むように進めていけますが、だんだんと文章の量も増え内容が重くなっていきます。

    自分がどんな死に方をするかわかりませんが、願わくば苦しまずに死にたい。
    生きていれば必ず死ぬものなので、他人から見てどんなに悲惨であったとしても
    苦しまずに死ぬことができれば幸せでしょう。
    著者が石田吉蔵を、この図鑑の中での幸福な死に方ベストテンの中の一人としているのも
    多分そういう理由ではないかと。

    余談ですが、世界初の結核治療薬「ストレプトマイシン」が発表されたのはたったの70年前。
    夏目漱石が命を落とした胃潰瘍を克服できるようになったのは、
    H2拮抗薬が開発された後と考えれば40年前でしょうか。
    そしてターミナル・ケアの概念もなく癌告知もされないのが当たり前であった時代も
    そんなに昔のことではなかったと思うと、現代は恵まれているなと思います。
    100年後の人が見たら、「100年前はこんな病気で死んでいたのか!」とびっくりするかもしれませんが。

    本当に様々な人について書いてあるので、「この人どんな人だっけ?」と
    ネットで調べながら読むのも楽しかったです。おかげで1冊読むのに非常に時間がかかりました(笑)
    次巻も楽しみです。

  • 事実を突きつけて考えさせるタイプのが好きです。生き様にスポットを当てた書物は多いけど、死に様は少ないように思う。誰しも平等に訪れるものが、こんなにも変わってくるのかと考えさせられたと同時に、いつ来るか分からないその時が身近に感じて一所懸命一日一日を過ごそうと思った次第です。

  • NHKラジオで高橋源一郎さんが紹介していたのをきっかけに読んでみた。
    この年表を作るような作業に感服したが、途中で気持ち悪くなって2巻の真ん中くらいで読むのを止めました(笑)

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