クラリネット症候群 (徳間文庫 い 51-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198927769

感想・レビュー・書評

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  • 913.6 イ 登録番号8712
    生徒リクエスト

  • 表題の「クラリネット~」より、もう一編の「マリオネット」のほうが、
    バカバカしくて面白かった。

  • 私、16歳の御子柴里美は、開明高校に通う一年生。
    2月14日、バレンタインデーの日の深夜、目を覚ますと、
    なぜか自分の体が動かせなくなっていた。
    それなのに、自分の体は勝手に動き、言葉を発している――?
    私の体は、誰かに操られてしまっているのだ。
    その「誰か」が、憧れの森川先輩だとわかって里美は喜ぶが、
    同時に、森川先輩は死んでしまったということも知る。
    しかも、事故などではなく殺されたらしい。
    いったい誰が?
    そして事態は思わぬ展開を見せていく――「マリオネット症候群」。
    ちょっと複雑な事情の家庭に育った犬育翔太。
    同居人は、クラリネット奏者の関さんだ。
    直接の血のつながりはない。
    ある日、童顔で巨乳の持ち主である憧れの先輩、本庄絵里が
    ジャズが好きだということを聞いた翔太は
    関さんの大事にしているクラリネットを持ち出して
    彼女の前で演奏してみせるが、ちょっとしたトラブルが起こり
    そのクラリネットを壊してしまう。
    落ち込んで家に帰った翔太はとんでもないことに気づく。
    なぜか、「クラリネットをこわしちゃった」の歌の歌詞のように
    「ドレミファソラシ」という音だけが聞こえなくなってしまったのだ。
    困る翔太だが、珍しく家を空けている関さんが
    どうやら妙なことに巻き込まれていると気づく。
    そして彼はとある暗号に取り組むことに――「クラリネット症候群」。

    「イニシエーション・ラブ」の乾くるみの中編集。

    奇妙な症状の「症候群」を中心的な設定として据え、
    それによって生み出される展開が愉快な二編が収録されている。

    どちらの作品も質は高く、かなり満足できる作品だと思う。
    奇想のインパクトに頼り切るのではなく、
    その一風変わった設定をミステリの道具立てとして見事に活かしている。
    伏線も丁寧に張られており、無駄のないつくりである。
    この、アイディアの奇抜さとミステリとしての完成度の高さの融合は
    「イニシエーション・ラブ」にも通底する部分だと思う。

    それがより高度に実現されているのは「マリオネット症候群」のほうで
    その「症候群」に関するルール自体は単純なものでありながら
    その単純なルールが生み出すコミカルな展開の連続が実に見事。

    「クラリネット症候群」はアイディアの面白さでは勝っているが
    それが事件にうまくからんでいたかというと微妙なところ。
    だが、暗号モノとしてはそこそこの水準だろうし、
    暗号を抜きにしても、展開の上手さはやはり光っている。
    個人的には、例の「聞き違い」ネタは
    作者の苦心ぶりがうかがえて非常に面白かった。

    短すぎて物足りないわけでもなく、
    長すぎて読むのが面倒になるほどでもない、
    ちょうど良い長さの中編がふたつ。
    そのどちらもが面白いと来ている。
    これはお得だろう。

    ただ、こういう小説はミステリが好きな人向けだと思うので、
    そういった素質があると自負している人以外は
    手に取らないほうが良いかもしれない。

    ミステリ好きなら絶対楽しめます。

  • 『マリオネット症候群』と表題作の中篇集。

    『マリオネット症候群』は、ある夜突然男の子に身体を
    乗っ取られた女子高生の物語。
    自分の意識は、変わらず体内にあるのに自分の身体は
    思うように動かせない、まさしくマリオネット。
    そして、乗っ取った方もなんでそうなったのか検討がつかずに・・・

    症候群とあるように、そんな状態がある条件の下、
    どんどん連鎖していきます。この辺がちょっと変わってる。

    ラストに向けて思わぬ事実が判明していくんだけど・・・
    果たしてこれはハッピーエンドなのか!?


    『クラリネット症候群』の方がどちらかというと好きだったな。
    憧れの童顔巨乳の先輩に近づこうと、親代わりの人の大切な
    クラリネットを持ち出したことがきっかけで、「ドレミファソラシド」
    の音だけが聞こえなくなった高校生のお話。

    そんなコメディに謎解きの要素も加わっています。
    うーん、正直、暗号モノは苦手だなー。そこだけが残念でした。
    もっと普通でよかったのに。
    トリックや大筋のために強引に辻褄を合わせた感が否めない。

    こちらも症候群とあるように、、、あ、この辺でやめとくか。

    乾さんの本は3冊目ですが、発想がすごく面白いですね。
    なんとなく彼女のスタイルが分かってきたような気がした。

  • 乾くるみ的な面白さが存分に表れた作品だと思う。
    しかし、相変わらずのある種の女性を忌み嫌った作風が少し嫌味に感じられました。

  • 乾ワールドは毎回意外性があり面白い。
    今作は無理矢理すぎる感じがあった・・・。

  • 【×/♯/γ】

  • 予想通りの結末で終ってしまった。
    何の盛り上がりもなし。

  • 会社でいただいた一冊!
    いやぁ…一言で言えば、終始木下半太みたいなノリ。多分トリック(というほどの仕掛けと言えるのだろうか)だけ先に考えて、ノリでストーリーは考えたんじゃないかしら。。
    マリオネット症候群と、クラリネット症候群の二本立てだけど、わたしは前者のほうが好きかな。クラリネットのほうは、文章を読むだけで段々うんざりしてきます。なぜかは、読めばわかると思うけど…。
    かの有名なイニシエーションラブほどの衝撃はなし。でもリピートと嫉妬事件とJの神話には期待大。
    この本が乾くるみの作品のなかではじめの一冊になっていたら、他は読まなかったかもな。

  • ★「マリオネット症候群」 ラストシーンの珍妙さ

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著者プロフィール

静岡県大学理学部卒業。1998年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。著者に『イニシエーション・ラブ』、『スリープ』など。

「2020年 『本格ミステリの本流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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