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この作品からのみんなの引用
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「行きたい」
苑生はささやいた。彼の育った土地を、育った家を見たかった。阿高とこの先もいっしょにいたかった。その気持ちは、もうひき返すことができないほど強いものだった。
「決めた?」
阿高はたずねた。返事のかわりに、苑生はつま先だって阿高の首に腕を回した。
― 341ページ -
「おれが殺したんだ。おれが……ひき離した。こんなところまでつれてきて」
阿高の肩が激しくふるえた。片手を上げ、彼は顔を覆った。
「だめだ。おれにはもう……」
言葉にならないほど、阿高はうちのめされているのだった。夜の中雨の中で、これほど悄然と泣く悲しさを、苑生は今まで見たことがなかった。
(天神に匹敵する力を持ちながら、この人はこうして泣くの……)
― 240ページ -
「チキサニの声だったような気もするし、死んだリサトの気もするし。美郷姉かもしれないし……鈴だったかもしれない。『もどってきて』といっていた。とにかくそれを聞いたら、もどらなくてはいけないという気になってしまったんだ」
苑生はこっそり息をのんだ。阿高のいったことはひどく大事だった。ことによると、一生のあいだ胸におさめておく言葉かもしれなかった。
― 323ページ
みんなの感想・レビュー・書評
ラストが良いねぇ。
ハッピィエンドな小説って最近読んでなかったから。
なんか幸せな気分になりました。
おもしろい! なんてわくわくして楽しいお話なんだろう!
下巻からはヒロインである苑上が登場。この苑上がまたかわいい。皇女ではあるけれど今までと比べると勾玉も持たず、力のない女の子。皇女であるが故の不自由さからくる影とワガママっぷりはあるものの、元気でがんばってる姿は、妹や犬っころをみているようで微笑ましく、応援したくなりました。
この苑上と二連を筆頭に登場人物がとても活き活きしていて、再読ですでに展開がわかっていてもページをめくる手が止まりません。そんなこと問題にならないくらいおもしろかった。
勾玉三部作で唯一史実を絡めているそうですが、歴史に詳しくなくても楽しめます。 (私は当時の歴史も、更級日記もアルテイ伝説もほとんど知りませんが十分にたのしめました) 日本の歴史や神話に苦手意識を持っている人は読むと印象が変わるかもしれません。 もとは児童文学だそうですが、単純な勧善懲悪に留まっていません。 どちらが正しく、どちらが間違っているのか。 誰が正義で、誰が悪なのか。 何も... 続きを読む »
勾玉三部作の第三作目。前作・前々作は主人公が女の子でどちらかというと恋愛色が強かったが、今回は二連を主とする青年達の絆の方がよく描かれており、連作として繋がりはあるけど話の印象が変わった感じがした。坂上田村麻呂やアテルイなど、歴史で習った人物も登場して読んでいて楽しかった。これが最後かーと思うとしっくり来ないが、一つの物語としてはよかったと思う。
10年ほど昔に読んだものの再読。
三部作の中で一番印象が薄く、内容ほとんど記憶に無かった…(笑)
他の二作とは大分雰囲気が異なっています。
主人公が男の子二人だからか、テンポがよくフットワークが軽く、重たさがあまり無い感じ。
恋愛要素は三部作の中で一番薄めで、男の子の友情の方が強めです。
読む人によってはBL的に読めてしまうかも…?(笑)
過去に三部作を読んだときには最も気に入らなかった作品だが、時を経てから改めて読んでみると、なかなか面白かった。ただ、私の中では勾玉シリーズの主人公は少女だという意識が強く、阿高を主人公として受け入れられない点は、昔と変わらなかった。
文庫化したので再読。上巻での二連の結びつきの強さは正直ちょっとどうかと思ったりしたこともあったけど、終わりよければ全てよし! 苑上の芯の通ったかっこよさと可愛さ、千種の機織りの場面においての決意、そして阿高が語った坂東に伝わる盗み出すときの理屈がとにかく好きです。阿高の最後の一言にいたっては最強だと思います。やっぱりこの三部作は大好きだと改めて感じました。巻末の対談も興味深く読ませていただきました。
文句なしで面白かったです。今までの登場人物とは違う、阿高や苑上たちが魅力的でした。前作の『白鳥異伝』にも菅流みたいなやんちゃな性格の男の子がいたけれど、阿高は繊細というか天然な部分があるにはあるが、喧嘩っ早くて強い。苑上も帝の娘である皇女だけど、意外と普通の子で、弟を妬んだりもする女の子。そして世間知らず。前作では、主人公である気が強い性格の遠子の強烈なインパクトがあったせいか、少し意外でした。でもそのぶん共感できる部分が多かったので、最後は苑上と一緒に一喜一憂したり、入り込めた作品でした。そしてなにより二人のやりとり。ちょっと漫才じみていて思わず笑ってしまいます。
舞台が平安の時代であり、蝦夷や坂上田村麻呂が登場することで、
ずっと身近に感じる本作。
走ったり、転んだり、泣いたり、怒ったりしながら成長する主人公達と一緒に今の北海道から奈良まで冒険できた。
西の長岡の都では、物の怪が跳梁し、皇太子が病んでいた。「東から勾玉を持つ天女が来て、滅びゆく都を救ってくれる」病んだ兄の夢語りに胸を痛める十五歳の皇女苑上。兄と弟を守るため、「都に近づくさらなる災厄」に立ち向かおうとした苑上が出会ったのは…?神代から伝わる“輝”と“闇”の力の最後の出会いとその輝きを、きらびやかに描きだす、「勾玉三部作」のフィナーレを飾る一冊。
下巻でようやくヒロイン登場。
ヒロイン目線で物語が進みますが、やはり主人公は阿高と籐太でしたね。
阿高とヒロイン苑上の行く末が悲しくて切なくて、最後までハラハラしました。
読み終わってみると、3部作のなかで、これが一番面白かったかも。
勾玉シリーズ最終作、文庫版上下巻読了。 坂東の地で双子のようにして育ってきた藤太と阿高。実際には叔父と甥の関係にあたる二人だが、年は同じで、いつも二人でつるんで奔放にすごしてきた。 阿高には、本人もしらない出生の秘密があった。ある日阿高のもとに、蝦夷たちがやってきて、あなたは我らの巫女、チキサニの生まれ変わりなのだといった。母である巫女がかつておかした罪のつぐないとして、自分たちに力... 続きを読む »
出逢いは中学生の時に図書室で。
勾玉三部作 第三巻(下)。
ハードカバーも、ノベルス版も持っているのに購入してしまいました。
きちんと再読。
やっぱり本番はここからって感じ。 下巻は第二部「苑生」編。 負傷してしまった藤太、そして阿高と藤太との二度目の別離、皇とチキサニの最終決戦…見所が盛りだくさんすぎて語れません。 何より最後の阿高が鈴を迎えに来る所が、何度読んでも悶えます。 あの色恋沙汰に何ら興味のなかった(寧ろ鬱陶しく思っていた)阿高が成長したなと。 幸せなラストで本当によかったと思います。 勾玉シリーズは(特... 続きを読む »

勾玉3部作読了。
全体的に、登場する女の子がいつも似たような感じかな、
といった感じがあったので、
上巻の二連のお話はちょっと新鮮でした。
対象年齢が低めなせいか、読みやすくわかりやす...





