殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198933678

作品紹介・あらすじ

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?精緻に織り上げられた謎のタペストリ。最後の一行を読んだ時、あなたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する…。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作家さん。書き方(構成)が面白い。
    冒頭に“はしがき”があり、ある人物の「殺人鬼フジコ」について書かれた小説の紹介。
    次に本編。
    そしてラストの“あとがき”には、フジコのその後、小説を書いた経緯、新たな疑惑や仮説が出てくるのが衝撃的!

    フジコちゃん(…と呼んでしまう)の不遇に同情してしまう。不謹慎ながら、「フジコちゃん、コイツはムカつくね!こうするしかないか!」と共感、逆に「それはダメだよ〜」とげんなりしつつ、徐々に狂っていくその人生を追うことになる。

    フジコが突発的に嘆くこと、それは、
    どうしよう。どうしよう?
    違う、私はお母さんとは違う!お母さんのようにはならない!
    違う、私じゃない、私がやったんじゃない!
    うるさい、うるさい、黙れ!
    バカにして!私をバカにしやがって!
    なんで私だけ?
    バレなきゃいいの、バレなきゃ。

    恵まれない環境で育ち、出会う人皆が性悪な人間だったら歪んでしまう。良し悪しの判断がつかなくなる。人生狂う。
    負の連鎖って、どこかで止めることはできないのだろうか。

    ページをめくるたびに嫌な気分になり、もう無理、やめようと何度も本を閉じた。
    しかし多くのブク友さんが読まれ、そのお顔(プロフィールアイコンね)が思い浮かび、背中を押されてなんとか読む。…と言いつつ面白くなって一気読み。フジコちゃんの語り口調なので読みやすかった。

    2023.7/2追記
    解説やブク友さんのレビューから、ある場所にうまくトリックが仕掛けてあることに気付く(*_*)。

    • かなさん
      なおなおさん、おはようございます♪
      私もこの作品読みましたよ!
      読み終えてすぐは、
      後味悪さにイマイチかなって感じたけど
      あとから、...
      なおなおさん、おはようございます♪
      私もこの作品読みましたよ!
      読み終えてすぐは、
      後味悪さにイマイチかなって感じたけど
      あとから、また読みたくなるんですよねぇ(*_*;)
      その後真梨幸子さんの作品が
      気になって仕方なくなりました!

      この作品の続編、
      「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」も
      よかったら読んでみてくださいね(*^-^*)
      2023/07/02
    • なおなおさん
      かなさん、コメントをありがとうございます。
      後味悪いんだけど、読みたくなるイヤミス…って分かります。
      他の予約本をキャンセルして、続編を早速...
      かなさん、コメントをありがとうございます。
      後味悪いんだけど、読みたくなるイヤミス…って分かります。
      他の予約本をキャンセルして、続編を早速予約しちゃいましたよ〜楽しみです。イヤミスが楽しみって変かな^^;
      2023/07/02
    • あゆみりんさん
      なおなおさん、尾野真千子さんのやつ、私もTSUTAYAでレンタルしました。
      私も尾野真千子さん、好きです(∩ˊ꒳​ˋ∩)・*
      なおなおさん、尾野真千子さんのやつ、私もTSUTAYAでレンタルしました。
      私も尾野真千子さん、好きです(∩ˊ꒳​ˋ∩)・*
      2023/07/02
  • 自分都合で次々に人を惨殺していくフジコに打ち震える… 圧倒的な業の深さを堪能せよ! イヤミス度MAX!

    不幸な環境で育った少女が、自身の幸せのために次々と惨殺を繰り返していく、超嫌な気分になるミステリー。

    ストーリーの構成が凝っていて面白いっ
    ミステリー好きにはたまりませんね。最後の最後まで読者を楽しませてくれる仕掛けで最高です。で、結局誰がどうなったんだ? と読み返してみると、悪者と不幸ばっかりでビビりました。

    本作の魅力は、なんといってもフジコのキャラクターですね。業が深く、自分の幸せへの執着が強すぎる感じが、いやー怖い。登場人物の描き方が潔く、狂った情念がビシバシ伝わってきました。素晴らしい!

    しかし気持ちはわからんでもないが、人から金品や命まで奪って、どうして自分が幸せと感じるんでしょうか。どんなに不幸な環境だろうが、自身で幸せを生み出そうとしないと、必ず転落しますよ。あー説教臭い。

    自分もイヤミス作品をそこそこ読んできましたが、圧倒的ストレートに嫌な気分にさせてくれる作品でした。あ、これ誉め言葉です。

    嫌いな人もいるでしょうが、わかりやすいイヤミスとして是非お勧めしたい一冊です。続編もあるようですので、読まなきゃです!

  • 一家殺人事件の生き残りとなったフジコが、やがて殺人鬼となっていく壮絶な物語。

    イジメ、ネグレクト、児童虐待、殺人のオンパレードで救いのない展開を、不覚にも食い入るように読み進めていた私がいた。そうだ。欲していたのだ。

    そして、殺人鬼フジコに同調する自分もいた。
    誰もが少なからず持っている嫉妬心、虚栄心、自己顕示欲、そのすべては人間なら必ずしも持つ心の弱さが故の感情だ。そうだ、私の中の弱さが共感したのだ。

    そして、本作のあとがきを読んだ時、ミスリードを食らっていた自分に失笑。

    やってくれたな真梨幸子。
    続編、読みますとも。

  • 読友さんに触発されて真梨さん。確かにこの本は気持ち悪く、グロテスクだった。小学生の頃に受けた凌辱、嫉妬、殺人等、サイコティックホラーなのだろう。フジコを主観的に捉え、自分の負の情動、苦痛であるかのように味わった。一方、芦沢央さん、湊かなえさんの本とは異なる。即ち、登場人物を客観的に捉え「登場人物への同情、苦痛を感じるもの」なのだろうと考える。兎に角、この本は終始気持ち悪く、グロテスクであり、次の真梨さん本を読もうとするときにはエネルギーが必要です。故に真梨さんの本は自己体験的なイヤミスなのかもしれない。

  • 初めての真梨幸子さん。
    真梨幸子さんの作品で読みたいものが何作かあり、それじゃあ先にベストセラーということで手にとりました。

    これはしんどい。なにか大きな黒いものに飲み込まれそうになりながらもなんとか読み終えた。しばらく引きずりそう…と暗い気持ちでしたが、あとがきでえっ?となり、はしがきに戻り、もう一度あとがきを読み、パラパラと章をめくり、???、いろんな疑問が出て来て、最後の最後に楽しませてもらえました。あとがき読むまでは続編はいいかな、と思っていたのですが、モヤモヤが残ったので読みたくなりました。

    はぁ、でも次は心温まる話を読もう。 

  • イヤミスなんで、読み難いと思ったんやけど、結構、すいすい読める、読み易い!
    でも、「読み易い=読みたい」ではなくてね…
    こんな家庭に生まれりゃ心は歪むわな。
    でも、周りを意識して生きていったりする気持ちは、分かる。
    リセットする手段に殺人ってのはないけど。
    読む前は、フジコは、サイコパスみたいに、もっと殺人を普通の事のように、何気ににやるのかと思ってたけど、そうではないんや。
    そこには、好感⁇は持てる⁇笑
    ちなみに、私は、虫も殺さない善良な一般市民です!

  • イヤミス入門にピッタリな一冊。
    文章慣れしてからもう一度読みたいです。

    • かなさん
      NORAxxさん、初めまして。
      私もこの作品、読んで「イヤミス入門にピッタリな一冊」って思いました!
      そもそもイヤミスの意味を確か知った...
      NORAxxさん、初めまして。
      私もこの作品、読んで「イヤミス入門にピッタリな一冊」って思いました!
      そもそもイヤミスの意味を確か知ったのもこの作品でした。

      NORAxxさん、このたびは本棚いいねと
      こちらへのレビューに対してのいいねをありがとうございます。
      今までもいいねのやりとりはありましたが
      今回フォローもさせていただければと思います。
      今後よろしくおねがいします。
      2022/09/12
    • NORAxxさん
      かなさん、初めまして(*^^*)
      コメントありがとうございます。

      仰る通り、イヤミスといえば著者の名だけではなくこのタイトルまで出てくるく...
      かなさん、初めまして(*^^*)
      コメントありがとうございます。

      仰る通り、イヤミスといえば著者の名だけではなくこのタイトルまで出てくるくらいには「THE」な作品ですよね★

      ご丁寧にありがとうございます( *´꒳`*)かなさんの本棚先頭にこの作品を見掛けて思わずニヤニヤしていた矢先、フォローしていただけて本当に嬉しいです!!
      こちらこそ、今後ともよろしくお願いします♪
      2022/09/12
  • 一種のありがちな殺人の話なのですが、不気味なストーリーと淡々とした描写が怖いです。それが終盤にさしかかるとフジコの衝動そのものになってきます。
    ストーリーにはトリックがあるようで最後まで読み切ったあとのあとがきで漠然としていたものがハッキリ見えました。なるほどと思う反面、謎も見えてきました。
    しかし、私は未だノンフィクションに思えてならないです。ノンフィクションと思うこと自体、私はまんまと騙されているようです。
    カルマ=宿命の、あるあるだなと思いましたが、フジコの気持ちは、よく理解でき、人間の隠れた闇と欲望、ある意味、人の一生が、一番恐ろしい!と思わずにはいられない内容が怖い!

  • フジコの衝動の緊迫感は、こちらまで心拍数を上げられる。
    「フジコの一生」だけでも強いのに、あとがきがそれを上回る強さ。
    フィクションなのにフィクションとは思えないです。

  • これぞ王道のイヤミスという感じ。
    一家惨殺事件の生き残りとなった11歳のフジコは、新しい地で第二の人生をスタートさせるが…
    絵に書いたような堕落っぷり+割とすぐ人殺しすぎ。

    特に自分の子供に対しての仕打ちは、酷すぎて読み飛ばすレベル…

    こういう話はお化け屋敷みたいな面白さで
    読み終わった後どうなるわけでもないが
    怖いもの見たさと、先に何が待っているのかが気になるという心理で始まったら終わらせないと気が収まらない
    という訳で、嫌だなぁこれは…面白いように転落していくなぁと思いつつも一気読みである。

    最後、黒幕に一捻りあるが
    たとえ最初が仕組まれた不幸だとしても、それ以降の殺人は間違いなく自分がやっちゃった訳で
    本当にだからどうなる訳でもないなぁ(二回目)という読後感。。

    短い会話だけのページや、カタカナ・ひらがなが多いページも沢山あるので、サクサク読める。

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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