<決定版>世界の[宗教と戦争]講座 (徳間文庫)

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著者 : 井沢元彦
  • 徳間書店 (2011年10月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198934415

<決定版>世界の[宗教と戦争]講座 (徳間文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 私のように宗教知識に乏しい人であれば、本書から得られるものは多いと思う。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の関係性についてはわかりやすく書かれている。後半の仏教・神道・儒教についての章では、日本の宗教観について筆者の持論が展開され、なかなか興味深い。ただ、後半は日韓関係に話題がそれることが多々あるのが玉に瑕。

    また、「宗教と戦争」と銘打っているが、大半の内容は宗教に割かれている。戦争との関連性はおまけ程度であって、ほとんど書かれていない。

    宗教に対する造詣が深い人であれば ☆2

  • 日本人の信条と 世界の宗教を比較した本。信条や宗教を 「生き方」と読み替えると読みやすい。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教、神道の入口部分を比較しながら理解できる

    日本人論には納得する
    *和を重視する*話し合い至上主義*原理原則がない*儒教と禅のいいとこどり*言霊を信じている


    ユダヤ教→キリスト教→イスラム教
    神の言葉をどのように伝えたかの解釈が違う

  • 世界の平和を考え、世界の民族との協調を望むのであれば、彼らが信じる宗教はどのようなものか、国際問題では何が争点となっているのか、その背景は何かを知らなければならない。同時に日本人の宗教にどのような特徴があるかを知ることは、日本人としてのアイデンティティを確立するうえでも、あるいは世界の宗教を理性的に知る上でも必要である。「宗教音痴」では国際問題は理解できない。国際人の入門書として、本書は有益だ。印象に残った点を纏めると次のとおり。
    1.和の世界
    日本人の思想は、「和」によって規定されている。これは弥生時代の環濠集落の「環」→「輪」→「和」に由来すると考えられる。また、聖徳太子が作った「十七条憲法」の最初と最後の条文は次のように記されている。
    第1条 和をなによりも大切なものとし、いさかいをおこさぬことを根本とせよ。
    第17条 ものごとはひとりで判断してはいけない。必ず皆で論議して判断せよ。
    この「和の精神」「話し合い至上主義」は、日本特有のものである。仏教や儒教からくるものではない、神道と深い関係の「怨念」を恐れる日本人の知恵である。しかし大切なことは、明確な原則(真理=宗教的教えなど)が共有されない話し合いは、情緒的になり、過ちを犯すことがあるということだ。ここが「話し合い至上主義」と「民主主義」の大きな違いであることを認識しなければならない。
    2.ユダヤ教の世界
    キリスト教の『新約聖書』マタイ伝に、ユダヤ人がイエスを十字架にかける場面がある。ここからくるキリスト教徒のユダヤ人に対する差別意識が、「ホロコースト」生んだ。ホロコーストは、戦時下の非常時に始まったのではない。平時の選挙において正当な手続きを経て政権を握った政党が、ドイツ市民の支持のもとに始めた政策であることに着目しなければならない。「ユダヤ人はキリスト教において罪人」なのである。
    そして、ホロコーストが燒結を窮めた理由の一つに、カトリック教会が黙認したという事実もある(2000年になってバチカンは「ホロコーストの際にそれを知っていながらにして、何もしないのは間違いであった」という見解を公式発表する)。ホロコーストを、ナチス政権の犯罪とのみ捉えていると、問題の本質を見誤ってしまう一例である。
    3.キリスト教の世界
    中世ヨーロッパで聖書の」「解釈権」を持っていたのは、ローマ教皇ただ一人。ローマ教皇を頂点とした解釈権に対し、「私の聖書の解釈を認めろ。弾圧するな」と抗議をした人たちがプロテスタント。プロテスタントが拡大する背景には、グーテンベルグによる印刷革命(1445年頃の活版印刷技術の発明)とそれによる聖書の普及があった。
    キリスト教本来の教えからいえば、カトリックのような人間の上下関係はなく、全員が平等。これらの思想(プロテスタンティズム)が、民主主義、資本主義を生み出していく。
    その一方、共産主義(マルキシズム)の特徴は「無神論」。キリスト教徒からすると、無神論者や共産主義者の国は、近代人権主義に悖る「悪の帝国」に見えるのだ。東西冷戦も背景に宗教問題があったのだ。実際、ゴルバチョフの「私はロシア正教の洗礼を受けていた」という発言が、両者歩み寄りの第一歩だった。
    4.イスラム教の世界
    イスラム教の神「アッラー」は、ユダヤ教やキリスト教が信じる神と同じ造物主。信徒は「一神教が完全な形になったものがイスラム教である」と考える。イスラム教からすると、イエスはキリスト(救世主・神)ではなく預言者のひとり。キリスト教は「神の偽物」を信仰しているということになる。
    イスラム教徒には、六つの信(イマーン)、五つの行(イバーダート)がある。律法を守り、戒律をきちんと実践しない限りは信じていることにならない。つまり、「内なる人」と「外なる人」の区別を認めない点も、キリスト教徒などと異なる特徴である。
    イスラム教は、異教に対しては寛容な態度をとるが、異端に対しては非常に厳しい態度で臨む。異端の方が、アッラー(神)に対して冒涜であると考えるからである。
    5.仏教の世界
    仏教には膨大な数の経典があり、それぞれが正しい仏の言葉であるとされているから、話がややこしい。根本経典がないのである。
    しかし、もともと釈迦(ゴータマ・シッダルタ)が目指したのは、この世は無常であるがゆえに、人間は生老病死という苦しみから逃れることができないという厭世観。だから輪廻転生からの解脱を目指したのである。そのため釈迦は厳しい修行を乗り越えた。
    日本の仏教では、禅宗が釈迦の仏教に近い。しかし、平安時代末期以降に広まった浄土信仰(阿弥陀信仰)は、あまりにも、釈迦の仏教からかけ離れている。中国の「観想念仏」(日常のあらゆる機会を捉えて阿弥陀如来のいる極楽を思い浮かべよ)の影響を受け、「南無阿弥陀仏」を百万遍(回)唱えよといった法然、「信」のみでよいといった親鸞、「信」もいらないといった一遍。ここまで来ると、釈迦が目指したものとは異なるし、とても宗教とは思えない。
    日本の仏教が、今の日本の社会の中で、宗教としての意味ある役割を果たしているとは思えない。その原因は、江戸時代の檀家制度や明治時代以降の僧侶の妻帯、家督相続制度などがある。日本の仏教界の改革を願う。
    6.神道の世界
    ここで主に触れられているのは、「言霊」と「穢れ」。
    6世紀に日本に仏教が伝えられる以前から、日本では「怨霊」が信じられていた。大陸から百済の王を通して伝えられた仏教の世界には「霊」という発想がないが、日本の天皇家は、仏教に対して「怨霊」鎮魂を期待した。奈良の大仏がその典型で、日本的仏教とでもいうべきものが生まれる。
    また、平安時代は中期まで平安貴族が権力を握っていたが、末期から武士が力をつけ、鎌倉時代以降には武士が実質的に日本を支配する時代が来る。それでは、貴族が政権を奪われるときに戦いは起きたのか。なかったわけではない。承久の乱や建武の新政に係る戦いがある。しかし、実際には、平安貴族や天皇が武士を雇って、武士同士で戦わせていた。武士に対する「穢れ」の意識があったから天皇や貴族は戦いに直接加わらなかった。だから、天皇や貴族が滅びることはなかった。この「穢れ」が分からないと、外国人には、日本の歴史は理解しがたいものと映るはずだ。
    7.儒教
    「述べて作らず、信じて古を好む」の孔子の言葉に凝縮されているように、儒教は保守的で反近代的な教え。儒教社会は自分で自分のことを変えられない。自力で近代化できないのである。日本は明治期に儒教を捨てた。他の儒教国家が近代化を果たした重要な要因は、植民地化されたことにあると井沢氏は言う。しかし、韓国だけは、これを認めない。それもまた儒教の影響である。
    韓国の問題は、朱子学の悪影響が今も残っていること。朱子学は、12世紀の南宋に朱子によって集大成された儒教解釈。当時弱かった南宋が、自分たちのプライドを強調することで外国に対抗しようとしたのだ。朱子学をやった人の典型的な特徴は、自分たちは正しい教えを学んでいるのだから、絶対に正しい、それに対し相手は野蛮人である、という発想である。従って、態度が非常に尊大で、相手の批判は聞かないのである。今の韓国はそうだが、日本の場合も、江戸時代はもちろん、第二次大戦までは、朱子学の悪影響が根強く残っていたのかもしれない。

  •  「水に流す」という考え方は日本だけ!?
     日本以外の仏教は霊の存在を認めていない!?
     パスポートに信じている「宗教」を記入しなければならない理由とは!

     なぜ同じ宗教の中で派閥があり、派閥同士が争うのか。
     なぜ互いに平和を望みながらも争いをやめられないのか。
     なぜ相手をそこまで敵視できるのか。

     我々が世界各地から発信される情報を読み聞きするたびに浮かぶ「なぜ?」を解決する鍵は《宗教》にあった!
     大胆な歴史推理に定評のある井沢元彦氏が、キリスト教やイスラム教、仏教や神道など、日本人に身近な宗教を素人にも解りやすく解説した宗教講座。これを読めば海外でしてはいけないこと、すれば喜ばれることがまるわかり! 加えて日々私達がしている言動・思想がいかに宗教色強いかも教えてくれる。「目に見えない神様なんて信じていない」なんてことを言う人の普段の言動・思想が、実は宗教由来だったなんてこともわかってしまうかも。
     敵を知り己を知れば百戦危うからず。ビジネスだろうが政争だろうが戦争だろうが、敵を知るにも己を知るにも、一番の近道は敵味方それぞれの信仰、宗教を学ぶことである。学生から新社会人まで幅広い人達に薦めたい好著だ。

  • 科学の歴史を見ても宗教を避けて通ることはできない。もともと学問自体が教会のもとで発達してきた。文字を読めることができたのも教会関係者であり、書籍を蔵していたのも教会であった。女性が学べなかったのも当然である。
    http://sessendo.blogspot.jp/2015/05/blog-post_11.html

  • 【目的】 国際化時代に向けて、日本人の宗教に対する理解を深めるために、各宗教の概観を伝える。

    【収穫】 各宗教の考え方について、常識と知っておくべき知識を身につけることができた。

    【概要】 ■和の世界: 「和」は日本独自の考え方。聖徳太子の十七条憲法でも、第一条が「和を以て貴しとなす」で始まる。穏やかに他人と協調することだが、欧米や儒教の考え方では重要視されていない。一神教的な、神による絶対的な決め事がないから、話し合いで合意したことは正しいという文化になる。逆に言えば、一人で決めたことは正しくないとしたり、和(輪)の外の規範は認めない、ないがしろにするということにもなる。
    ■ユダヤ教の世界: ホロコーストに代表されるユダヤ教徒迫害は、キリスト教徒による差別に端を発する。ユダヤ民族は国を持たないために、マスコミ、法律、芸能など国際的に活躍するジャンルにおける影響力は強いと言われている。しかし、20世紀のイスラエル建国により、シオニズムと呼ばれる領土主義の考えも強くなっている。ユダヤ教はあくまで唯一神を信仰の対象としており、イエスを神の子とは認めていない。
    ■キリスト教の世界: カトリックの最大の特徴は、「三位一体説」。エホバやキリストや聖霊は違うもののように見えるが、根源は一緒であるという考え方。これに対し、神は唯一であるとする「単性論」の考え方もある。プロテスタントは、聖書の解釈を教皇ではなく、各自に認めることと、聖職者階級を認めないという特徴がある。キリスト教による基本的人権や一人一票という考え方があったことにより、近代の政党政治や国民主権の考え方が生まれた。キリスト教徒は、無神論者や共産主義に激しい嫌悪感があることを覚えておく必要がある。
    ■イスラム教の世界: イスラム教からすると、キリスト教は不完全なもの。人を誘惑してはいけないという教えや、偶像崇拝の禁止もキリスト教より厳しい。また、戒律宗教であり、信仰は心で信じるだけでなく行動で示さなければならない。それらは、六つの信=イマーンと、五つの行=イバーダートと呼ばれ、イスラム教徒はそれらを信じ行わなければならない。スンニ派とシーア派の違いは、スンニ派はアラブ人で数が多い。シーア派はイラン人で数が少なく、ムハンマドの正統な家系を継いでいるとしている。この宗派の違いは、同じ宗教でありながらお互いを異端とみなしていることから、より激しい争いとなっている。
    ■仏教の世界: 仏教は仏になるための道。仏になれば救われる。では仏になるにはどうすればいいかという方法論。根本として、全ては無常であるという「空」の考えがあるが、やり方については、色々な教えが出てきた。インドでもみんなが救われるべきという大乗仏教と、自分が悟りを開くべきという小乗(上座部)仏教の2つに根本分裂した。日本の仏教も大きく十三宗派に分かれるが、統一した経典はない。浄土信仰などは大乗の代表格。日蓮宗も大乗だが、「南無妙法蓮華経」とお題目を唱えることになる。
    ■神道の世界: 神道の考えの中に、穢れを水に流す(禊ぎ)というものがあるが、これは日本固有のもの。韓国などは全く別の価値観を持っているから相互理解できないことになる。またもう一つ大きな要素として、「言霊」がある。発言と結果に因果関係がなくても、悪いことは言うべきではないという考え方。これらは、過去の教訓を生かそうとしなかったり、現実否定につながるという一面もあり注意しないといけない。
    ■儒教の世界: 儒教は過去の教えや祖先を敬うという考えが中心にあり、基本的に保守的、反進歩的なもの。また偉い人間とそうでない人間には違いがあって然るべきという考え。

    【感想】 宗教の概要をまとめて学ぶために読了。日本思想や一神教については、著者の考えも含め色々とよくまとめられていると思ったが、仏教や儒教の解説はすこし薄くなっている印象を受けた。ただ、それぞれの概要を掴むためには良いと思う。

  • 面白かった。
    イスラム教に疎い&ユダヤ、キリスト教系の整理のため読んだが、なかなか分かり易かった。
    勿論筆者の主観も入っているだろうし、恐らくもっと複雑な事情があるのだろう。
    だけれども日本育ちの生粋の日本人である以上、完全には理解出来ないのだろうな、と思った。
    個人的には普段周りにいるためか、イスラム教徒の人たちは優しいと感じるけれども、世の中はそう思ってはいないみたいでその辺りも面白いと思った。

  • 帯文(裏表紙):"宗教音痴といわれ、国際社会の常識と非常識にうとい日本人の精神基盤に光をあてた、目からウロコの格好の入門書。"

    目次:はじめに、Lesson 1 和の世界、Lesson 2 ユダヤ教の世界、Lesson 3 キリスト教の世界、Lesson 4 イスラム教の世界、Lesson 5 仏教の世界、Lesson 6 神道の世界、Lesson 7 儒教の世界、補講 応用問題としての社会現象、あとがきにかえて、世界宗教略年表

  • 点を線にして面にする。各宗教それぞれの関連性を解説しながら、流れるように世界の宗教をまるごと理解できる本になっています。
    まさしく決定版です。

  • 2011/10/13 Amazonより届く。
    2015/11/16〜11/27

    日本人は宗教音痴であるということは自分や自分の周りを見ていても感じることであるが、昨今の宗教がらみの世界の動きを見ていると、単に表面だけの事象を追っていても理解できないことが多いことが良くわかる。以前「決定版」でない方も読んだはずであるが、今回ISがらみで世界が揺れ動いている時期に読めて良かった。日本人はとかく、自分の分からないもの、かつてのトラウマなどは徹底して遠ざける傾向があるが(井沢氏の指摘するとおり、穢れの思想か?)、知らない、知らなかったでは済まないことが沢山あるわけだから、色々な宗教のことを信じる、信じないは別として知識としては持っておくべきだろう。

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