殺人鬼フジコの衝動 限定版 【徳間文庫】 (徳間文庫 ま 19-2)

著者 :
  • 徳間書店
3.36
  • (61)
  • (144)
  • (196)
  • (47)
  • (25)
本棚登録 : 1181
感想 : 174
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198935399

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 殺人女の話なのに
    読むのを止められない。

    〇何なんだ、この疾走感。

    以前から気になっていたこの本。
    軽い気持ちで読み始めたら
    止まらなくなった。
    久々の経験。
    お話は少なくとも15人の男女を殺した
    殺人鬼フジコの生涯を
    幼少期からたどっていく。
    一人称と三人称が交錯しながら
    フジコの内面に踏み込んでいく。

    冒頭、小学5年生のフジコが
    過酷にいじめられる話から始まる。
    周囲の人間がめまぐるしく登場し
    フジコは一家惨殺の生き残りとなる。
    そして叔母の家に引き取られていく。
    そこで新たなグループへの所属と
    いじめがまた起こる。
    そして…

    一転中学校の卒業式。
    卒業生代表で答辞を読むフジコ。
    優等生になっていたフジコ。

    さらに結婚。
    新たな仕事へ。

    めまぐるしくフジコの環境は変わっていく。
    そしてフジコの内面も変化する。
    その展開の速さに読むのが止められない。


    〇どこか共感する自分。

    フジコの境遇は
    裕福でないし
    いじめにもあう。
    そんな中で生きていこうと
    変貌していくフジコ。
    どこか共感する自分がいる。

    小学生からの追体験を経て
    僕はフジコと同化していく部分がある。
    これは読む者の心まで殺すミステリー。

    過酷な人生をしたたかに生きる。
    そして、心が動くと文章も揺れていく。
    心の揺れがピークになると
    文章は途絶える。
    このリズムにやられていく。


    〇背筋がゾクゾクするラスト。

    このミステリーが優れているのは
    本文でフジコの生涯を描きながら
    はしがきとあとがき、最後に添えられた小さな記事で
    さらに多層構造の仕掛けを行っているとことろだ。

    この小説は別の女性が書いたものを
    ある小説家が上梓したとされている。
    そして、あとがきでその小説家と女性の
    関係が明らかにされる。
    さらに記事へと続く。

    このわずかな文章が新たなミステリーとなる。
    その真意に触れたとき
    背筋がゾクゾクするのを止められない。

    嫌な感じがありながら
    読み続けてしまう
    恐ろしい本だ。

  • 普通に『殺人鬼フジコの衝動』を読んだ後にこの『私は、フジコノ』が付いているバージョンが発売され、ふざけた商売しやがるなと、怒り心頭でしたが、電子書籍で105円で売られていたので、うっかり買ってしまいました。世界観はフジコですね。続きの『インタビュー・』も近々読もうと思います。

  • ただただ怖かったの一言に尽きる。

    え? 結局、なに?

    って終わる感じなので、ほんとに衝動ってタイトルが合うなあと思った作品。

    ひとって怖い。

  • 出産で入院中、ヒマだろうからって(実際はそんなことはないが)、夫が買ってきてくれました。いくらサスペンス好きだからって、産婦が読む本でもなかろうにとか思いつつ、読んでみる・・・。
    私には小学生の女の子がおり、そして赤ちゃんが生まれる&今抱いている状況。そんな人には、特に結構キツイ内容。
    小学生時代のフジコのエピソードに始まる馬鹿な女、でも理解できる部分が全く無い事もないという、どこか悲しい女のお話。
    母を憎悪しながら、その母と同じになっていく・・・ストーリー展開は面白い、好きな作家になるかと思いますが、このテーマ、この結末。今の私にはキツかったなぁ。

  • フジコが可哀想で、恐ろしい。

    でも、みんな、少しはフジコを持ってると思うのは、私だけなのかな。

    • ミツさん
      共感。殺人女の話なのに読み続けてしまうのは
      自分の中のフジコのせいかな?恐ろしい。
      共感。殺人女の話なのに読み続けてしまうのは
      自分の中のフジコのせいかな?恐ろしい。
      2012/12/10
  • どんなに怖い話なんだろうと思ったけど、フジコが可哀想になってしまった。最後も不思議な感じで終わるのでそこも良かった。

  • 最後まで気の抜けない話。久しぶりに読むのがやめれなかった。寝る前は危険です。グロいの苦手だけど、たまに読みたくなるのも分かる!

  • 大量殺人を犯し、殺人鬼と呼ばれたフジコが殺人鬼にいたる壮絶な一生を書いたノンフィクション小説、というフィクション。

    最初から最後まで、読んでいてつらかった・・・。怖すぎてなんとかならないかと読んでしまうんだけど、なので、「読ませる」小説なんだとは思うけど、読み終わっても救いがなくてつらかった。最後にわかるからくりは、おおとは思うけど、それがまたひどい。ここまでとことんな不幸と狂気を書ききるのはある意味すごいと思うのだけど・・・人にはおすすめできない小説だなぁと思います。

  • まぁまぁ。
    気分は良くない。

  • "殺人鬼フジコの衝動 限定版"真梨幸子著 徳間文庫(注意:2012/03/24発売)
    (2008年12月発売・徳間書店単行本、2011年5月発売・文庫版に約60ページの短編小冊子を追加したもの。)

    殺人鬼フジコ:一家惨殺事件から生き残った一人の少女。”母のようになりたくない”と思いながら少女は成長するが・・・。少なくとも15人は惨殺したという”殺人鬼フジコ”の女の情念と狂気に包まれた生涯。何が少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか・・・。

    私は、フジコ:元アイドルの再現ドラマ女優。彼女はある再現ドラマで”伝説の殺人鬼フジコ”を演じることになるが・・・。
    (限定版には”登場するある人物が次作で重要な役割を果たす予定”と記載。)

    ・・・”殺人鬼フジコ”は同著者の出世作。文庫版のヒットを受けて同著者過去作が続々と文庫化。
    (なんで単行本の時にヒットしなかったんだろ。(笑)”イヤミス”という言葉もこの辺りで作られたかと。)
    これでもか!と描かれる女の情念に目がはなせませんでした。
    それでいてテクニカルな作品。すごい!!

    ・・・”私はフジコ”は”殺人鬼フジコ”のヒットを受けて作成された限定版に小冊子として追加。次作”インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実”(2012/11/02発売)を想起させる内容ではありましたが、短編として単独で読んでどうという作品ではありませんでした。
    次作発売前で言い切るのは危険かとも思いますが、あくまで番外編ということで読まなくても良いかとも。
    特に”殺人鬼フジコ”を持っている方ですと60ページの短編に出費することになりますし。

    ・・・まぁ、同装丁で追加要素入れられる事ほど嫌なことはないわなぁ。(笑)

全174件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

真梨幸子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×