桜大の不思議の森 (徳間書店)

著者 :
  • 徳間書店
3.63
  • (46)
  • (90)
  • (102)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 943
感想 : 70
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198936105

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • フォローさせていただいている方におススメいただいた一冊。

    身近に「不思議」が存在している黒沼村で暮らす、桜大(おうた)と弟の桃吾(とうご)の毎日のお話。

    描写が古き良き日本の農村なので、舞台は「となりのトトロ」や「虹色ホタル」をイメージしながら読んだ。
    お話は「蟲師」日常版という感じ。

    神様や妖精を信じる心が、素直に自然に湧く村の在り方がステキです。
    あまり信仰心のないわたしでも、神社仏閣などの聖域では清らかな空気を感じ、畏れ敬う心が自然に起こり、頭を下げ手を合わせる。
    大きな木や小さな花の中にも、同じものを感じるときもある。
    理屈ではないのだなぁ、とつくづく思う。
    そんな気持ちは忘れちゃダメだけれど、本当は誰もみな心の奥底には手放さずに持っているんじゃないかな、とも思う。普段は忘れていても、その場になったら自然に湧き上がってくる、そういうものではないのかなーって。
    香月さんからすれば、こんな考え方は甘いのでしょうか……。

    桜大たちの日常を四季を通して描く「四季うつり」と、黒沼村にいつのまにか住みつき、馴染んでいるセンセイとの交流を描く「センセイ」の2章で構成される本作。
    センセイがこれまたステキなおとなです。
    先に読んだ「下町不思議町物語」の師匠同様、こどもから見てもおとなから見ても、理想の「こどもの理解者」。

    途中でセンセイを訪ねてくる「ソラヤ」は他の作品とリンクしているキャラなのかな。
    香月日輪作品はこれからぼちぼち読むつもりなので、どこに出てくるのか楽しみ。
    その前に桜大の小さい頃のお話が収録されている「黒沼」を読まなくちゃ!

    • 山本 あやさん
      九月猫さん、こんにちはー♡

      黒沼村の風景、人たち、もーどれもたまらないですよねっ♡
      いつもながら、食事も風景も香月さんはほんとに細かな描写...
      九月猫さん、こんにちはー♡

      黒沼村の風景、人たち、もーどれもたまらないですよねっ♡
      いつもながら、食事も風景も香月さんはほんとに細かな描写で
      丁寧に心に描かせてくれるので、空想の中でしっかりと
      その情景が浮かんでうっとりと本の世界を旅できますよね~[*Ü*]

      圧倒的な自然と、桜大たちの素直な心に感動して
      やたらと涙がとまらなくて、うっかり目が腫れました[´ー`;]
      こういうあったかい物語っていいですよね。
      ワタシも「黒沼」未読なので、読むの楽しみです♪
      2013/04/26
    • 九月猫さん
      あやさん、こんにちは~っ!

      おススメ、本当にありがとうっ♪でしたっ!!
      あったかくてステキなお話でした(*^-^*)
      センセイみた...
      あやさん、こんにちは~っ!

      おススメ、本当にありがとうっ♪でしたっ!!
      あったかくてステキなお話でした(*^-^*)
      センセイみたいに黒沼の住人になれたらいいなぁ、なんて思ったり。
      まずはセンセイみたいに、こどもたちの心のどんな小さなことでも汲み取って、
      さらりと必要な言葉をかけることのできるおとなになりたいものです。
      トシだけはおとな二周目ですけれど(笑……&悲)

      食事、おいしそうですよねー。
      おとなになってから魚肉ソーセージが苦手なのですが、
      いま!モーレツに!!魚肉ソーセージと卵を炒めたものが食べたくて
      仕方ありません(笑)
      キャベツも入れて作りたい♪

      香月さんの作品はまだ2冊目ですけれど、
      こどもたちの素直さ、まっすぐさには心を打たれます。
      不思議と「イイ子すぎてウソクサイ」とか、全っ然っ思わないんですよね。
      黒沼村が心のなかにある原風景のように感じるのと同様に、
      こどもたちの本来の姿だと思えるからでしょうか。

      他の香月さん作品も楽しみです(* ̄∇ ̄*)
      2013/04/26
  • 開発から取り残された黒沼村。豊かな自然の中で育ち、時には人ではないものの存在も肌で感じながら、畏怖と感謝の念を抱いてきた桜大たち。

    神罰、妖…日本昔話のような怪異に遇っても村を愛する気持ちは変わらない。どこかにこんな場所があっても良いよね。

  • 神の住まう山々と森に囲まれた村に住む人たちの話。
    神様の存在を感じつつ、暮らす人は幸せだと思う。
    本当の幸せというのは、本当に素朴でささやかなものなのではないかと
    思わされる。

    この前人と話した時に、「スマホがあれば友達なんかいらない」とを聞いて、
    いろいろと感じさせられたばかりであるが、小さな機械があるせいで、
    人は何もしない時間を失ったと思う。それと共に、何もしないことでいろんなことを
    得られる経験をも失ったのだと思う。
    もちろん、全ての人がそうであるとは限らないが。
    何もないから、いろんなことを感じることができる。
    そんな得難いものを今一度思い出させてくれる本。

  • 自然の美しさ、家畜や植物から生きていくためにいただいている命、その土地土地に伝わる昔ながらの知恵や言い伝えなど、普段頭の隅にある事柄を、改めて見つめ直すことができた作品でした。

    • sorairokujiraさん
      なんだか良さそうですね。頂いている命とか、伝わり続けるものって大切にしたいですね。
      さっそく図書館で取り寄せてみます。
      ありますように!
      私...
      なんだか良さそうですね。頂いている命とか、伝わり続けるものって大切にしたいですね。
      さっそく図書館で取り寄せてみます。
      ありますように!
      私も、kuroayameさんの本棚、楽しみに拝見させてもらってます。
      かなり好きな本が近いですよね。
      嬉しいです。
      2012/11/09
    • しをん。さん
      そんな素敵な作品なのですか!
      本のポップには「感動」と書いてあり、「夜は短し・・・」に似ていると思い、てっきり恋愛小説かと思っていましたが(...
      そんな素敵な作品なのですか!
      本のポップには「感動」と書いてあり、「夜は短し・・・」に似ていると思い、てっきり恋愛小説かと思っていましたが(゜o゜)

      素敵な、作品ですね(●^o^●)
      早速、図書館で予約しますヽ(^o^)丿
      2012/11/19
  • 黒沼村という人と不思議が同居する場所で
    桜大(おうた)が不思議と禁忌の場所を体で覚え
    成長していく不思議で温かいお話。

    ただ不思議とか怖いのではなく、自然や神に対し
    畏怖の念を抱くという根本的な事を子供を通して
    伝えている。

    現代版の遠野物語とでも言ったらいいのか・・・
    不思議で怖くて温かくて・・・
    田舎での不思議体験を思い出しました。
    忘れてはいけない大切な思いが詰まってます。

  • 友人から借りた香月日輪さんの本。
    田舎に住む桜大(おうた)中学1年生が主人公。今はもうこのような村は存在しないのではないかと思うような、素朴で温かい黒沼村。そこに暮らす桜大たち子供も純粋で、読んでいて心が洗われるようだった。
    昔は田舎に限らず、子供の頃は神様を信じ畏れ敬っていたはず。人はどうしてそういう純粋な心をなくしてしまうのかな。なくしたのではなく、心の底にそっとしまっていて、本当はちゃんとわかっている。時代は変わっても、そんな本当の心を持った人で溢れている事を願いたい。
    香月さんのあとがきで政治家云々の件にはちょっとニンマリしてしまった。

  • 1ページ目から本の世界に一気に惹き込まれる
    景色や空気、そこに生きる命の気配を感じられる
    細やかで見事な描写に、この目で見たいっ!!!と
    心から願わずにはいられない素晴らしい森に包まれた黒沼村。

    イキイキと輝く自然に、素直で元気な子供たち。
    人間のコトバを理解という範疇を越えて知っているんじゃないかと
    思う犬の五郎さん、優しいおじいやおばあ。
    なんでも知っている優しくて懐深いセンセイ。

    黒沼村にはたくさんの不思議が日常のそこここにあるけど
    不思議を不思議として自然受け止め、必要以上に暴こうとはしない
    不思議との付き合い方もとても居心地がよかったです。

    なにもないけどすべてがある。
    黒沼村の人と人とのあったかい繋がりと、本来あるべき姿の
    風景にとても幸せなキモチに包まれました。

    • kuroayameさん
      この作品はもう必ず読まないと(^з^)-☆。
      早く読んでみたいです♪(´ε` )。
      この作品はもう必ず読まないと(^з^)-☆。
      早く読んでみたいです♪(´ε` )。
      2012/10/13
  • センセイのあたりからぐいぐいと世界観に惹き込まれた。

    科学が発展していくなかで、忘れてはいけないことが詰まっている。

    人のつながりの大切さや自然の雄大さ、丁寧に作ったご飯の美味しさなど、日々忙しい社会で生活する中で忘れてしまっていることを思い出させてくれるような本だった。

    昔からの言い伝えや神様などを信じる人にはぴったりな1冊だと思う。
    私は自然の中に神様がいるという考えはとても好きで響いた。あらゆるものに魂が宿ると考え、木や岩を神様だと思って敬い、信仰してきた日本人の心が詰まっていると思うから。

    楽しいことばかりじゃないと思うけれど、1度は住んでみたいなと思うくらい、自然に囲まれ人情に溢れた素敵な村だった。

    --✄--
    「人間には、知恵と技術がある。これは素晴らしいことや。でもな、だからというて、なんもかも人間の自由にできると思うたらあかんのや。すごい力というのは、恐る恐る使わんとあかんで。人間より大きな力を持った存在がおって、間違うたことをしたら叱られると畏れなあかんで。そんな風に生きた方がええに決まっとる」

    「経済成長せなあかんのはわかるけど、自然をどんどん壊したり、伝統文化をないがしろにしてええことらぁ、一つもない」

    「人間の中から、どんどん畏れや敬いがなくなっていく。それは、科学や技術が発達していくのと引き替えなんやろう」

    (あとがき)
    人は「畏れ、敬う心」を、決して忘れてはならない。それを忘れたら、人間は滅びる。日本は、今、滅びかけているようで恐ろしい。

    空気が澄んでいて、水と緑が美しくて、時間がゆっくり流れる。豊富な情報も便利なツールもないけれど、暮らしてゆくにはさほど苦にならない。隣近所で助け合えば、たいがいのことはなんとかなる…。私たちは、今さらこういう時代へは帰れない。
    --✄--


    農業は自然の条件に左右される。食事は命に関わるから、人々は神様を祀った。現在では機械化が進んでいるけれど、自然の条件に左右されることに変わりはない。自然から離れて農業から離れている人が多く、このことを忘れてしまっているんじゃないかなと。

  • 短編の集まりのような中編話。あらすじを見て想像したストーリーとまた違ったが、これはこれで十分楽しめた。センセイみたいな大人が周りにいて、自然と不思議な力に満ち溢れた村に住んで、桜大は恵まれていると思う。面白かった。

  • 神が未だ住まう村のほんのり温かな暮らしが垣間見える作品。

全70件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

和歌山県生まれ。本シリーズの第1作目で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。「ファンム・アレース」シリーズ(講談社)「大江戸妖怪かわら版」シリーズ(理論社)など、YA(ヤングアダルト)小説の作家。

「2023年 『妖怪アパートの幽雅な日常(26)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

香月日輪の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×