生きるぼくら (徳間文庫)

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著者 : 原田マハ
  • 徳間書店 (2015年9月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198940140

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生きるぼくら (徳間文庫)の感想・レビュー・書評

  • 読み終わってから表紙を改めて見ると、じんと胸に響くものがある「生きるぼくら」というこの小説。
    何がいいって、自然や大地の力強さと、人の温かさや優しさ。生きるって、すごい。いい。素直にそう思えます。

    壮絶ないじめ、心荒む引きこもりの日々。
    認知症の孤独。対人恐怖。
    就活の失敗。
    もしかしたら、一生縁のない人もいるかもしれないけど、生きていればしんどいなあと逃げ出したくなるようなことがあります。
    どん底に落ちている時は何も気付かないかもしれないけど、浮上していくにつれ、見える景色が変わってくるのが感じられます。

    私がこの本の中で好きなのは、おにぎりの話。
    「おにぎりって、なんかこう、実にいいかたちをしてると思わない?」
    「どうしていいかたちかっていうとね。人の手で結ばれたかたちをしているからだよ」
    ふたつの手と手を合わせて、ほっこりと握る。それがおにぎりのかたち。これを食べる人が健康でいっぱいご飯を食べられますようにっていう、作った人の祈りのかたちなんだよな。

    おばあちゃんが田んぼで丹精込めて作ったお米で握ったおにぎりは、何にも勝るごちそうですよね。

    登場人物はみな、人間味溢れている。
    頑張って頑張って折れてしまうことも、逃げ出してしまうことも、あるいは、新しい道を歩み始めることも、全部を受容してくれるかのような懐の深さを感じました。
    舞台が自然豊かな蓼科だというのもポイントですね。

    人生が元気になるにつれて、同調して自分までパワーチャージされたような、そんな気分です。

  • 良い小説を読んだ後の、心に灯がともるような心地よい充足感。この作品も、そんなひとときを与えてくれる。
    引きこもりやいじめの話かと思いきや、認知症問題も絡んで、最後はコメ作り。
    読み進むにつれて、読み手の心がだんだん温かく膨らんでゆく、そんな物語。
    『生きるぼくら』とは、けっして人間だけではなく、「自然と、米と、人間とーぼくらは、みんな、一緒に生きているんだ」と、題名に著者の思いが込められている。
    そして、困難な局面に立たされたとき、「・・・具体的で、現実的な希望を一つでも持つことが大切なんだ。どんな小さなことでもいい。」と、著者は作中人物に言わせている。
    原田マハのこの小説は、『風のマジム』とともに、人生の入り口に戸惑っている人への応援歌と言ってもいい。

  • 最初は、なかなか苦しい小説だなあと思った。
    イジメに遭い、引きこもりとなった人生に、母が告げた別れの言葉。

    それだけ母を追い詰めてたんだから、当然だろうって思ってしまう私は、向こう側の人間なのかもしれない。

    やぶれかぶれで蓼科に向かい、彼の祖母マーサと、血の繋がらない妹との出会いから少しずつ上昇するかと思いきや、そうはならない。
    マーサおばあちゃんが認知症を患うのだった。

    時間が経つことを切実に読ませるストーリーだった。

    人生の生きる苦しみは、ほんとうなら抱える人が増えるほど、多様な重みを増したはずだ。
    けれど、そうではなかった。
    それが、人生の強さだと思う。

    桂南光さんと、原田マハさんの意外な接点。
    解説もあたたかかった。

  • 引きこもりの青年が米作りに挑戦をして再生へと導くサクセスストーリー。
    サクセスストリーはいくつもありますが、
    米作りからというのは今まには無かったので想像がつきにくかったです。

    青年がひきこもりになってしまったそれまでのいきさつを読むと
    心が折れてしまい挫折してしまいそうな気持になってしまい
    途方に暮れてしまったのも仕方ないかとも思えてしまいました。
    けれど母が失踪して一枚の年賀状をきっかけに人生ががらりと変わり、
    今までに経験のないことに挑み、一つ一つの事を正面から乗り越えていき
    そしていつの間にか成長をしていくというのが
    読んでいてとても心地良かったです。

    優しく包み込むおばあちゃんのぬくもり、自然との触れ合い、
    そして応援してくれる近所の人々、
    色々な人との繋がりによって人を成長させてくれて
    人とのめぐり会いと触れ合いは良いものだなと思えました。

    なんといっても「カッコイイ大人」という存在が良くて、
    分からないことはきちんと教えてくれて、
    ダメなことにはきちんとダメだと叱ってくれたりしてくれる
    いわるゆる頼れる「カッコイイ大人」の存在が
    ここでは光っていて現代ではなかなかこうゆう人と巡り合えないので
    こんな大人になれたり、生きられたら素敵だなと思いました。

    人間長く生きていれば必ず何かがある。
    そんな時に家族の支えが必要になる、
    元気な時には気が付かないけれど、
    支える方も、支えられる方も、
    病気になればお互いのありがたさが身にしみる、
    そして失ってみると、
    その存在の大きさがしみじみわかるものなのだと。
    誰もが通る道をこんな風にまた教えてくれると
    普段口にしては言えないことを
    何かここから目に見えない大切なものを
    教えてくれたような気がしました。
    こんな風の教えられたら家族の介護というのも
    形が変わるような気がします。

    ラストは何となく想像できる結末ですが、
    これがまた名文で心にジーンときて目頭が熱くなってしまいました。
    ほっと出来たラストでもありました。

    お米を通してみんな生きているんだと。
    生きていることをやめない力を持っているんだと。
    この力強いフレーズも印象的でパワーをもらえて、
    改めてお米としてのパワーとお米を食べて元気になろうという
    パワーを貰えた気がします。
    やはり日本人は古来からお米を食べていたので、
    お米が一番身体に合っているのだとつくづく思わされました。

    お米が愛おしくなりスローライフも良いなと思いました。
    自然と人との繋がりを通して改めて生きている実感を
    味わえる感じがします。
    何か力が湧いてきて清々しい気分になります。
    明日への活力に導かれた気持ちにもなれてとても良かったです。

    引きこもり、認知症、米作り、介護施設などと現代の社会問題と
    されているテーマをさりげなく盛り込んでいますが、
    あまり重くなくさらりと書かれていて読みやすくなっています。

    とにかくこの本を読んだ後には梅干し入りのおにぎりが
    食べたくなってしまいます。

  • 何度も泣けてしまった・・

    人生のつまずきや
    家族を失った孤独
    大切な人を失うことの怖さ
    人生への不安

    自分の中にもある気持ちが
    いろんなところでシンクロ

    物語だから
    周りに優しい人達が沢山いて
    出来過ぎなのかもしれないけど

    それでも
    どんなことがあっても、
    どんな場所でも
    優しい人たちはいっぱいいて
    幸せを感じる事ができるんだな

    って思う
    読後感です。

  • 小学校6年の時に親の離婚で母子家庭となり、学校での壮烈ないじめにあったのが原因で引きこもりになった主人公の麻生人生、24歳。その彼が母親から突き放され、蓼科の祖母を頼って行くことから始まる感動の人生再生物語。色々な人との出会いや出来事、そして米作りが彼を成長させる。
    同じような理由で祖母の元へ来ていた血の繋がらない妹と一緒に祖母の認知症と向き合うことになり、少々重い話になりかけるが村の人達にも助けられ、また助言も有って、最後はちゃんと明るい結末になるのが原田マハさんの小説の好きなところだ。
    原田マハ氏の小説は、「旅屋おかえり」「本日は、お日柄もよく」「風のマジム」「キネマの神様」に続いて5冊目だか、どれも心温まる感動の小説。そしてどれも困難を克服して成功する展開は、スカッとして幸せな気分になる。

  • 原田マハさん、初めて読みました。
    久し振りに、読み終わった後、心の底から良かったなぁと思えた、読後感の清々しい本だった。

    優しさに溢れた本です。
    家族の・仲間の優しさ、自然の優しさ。
    心があったかくなりました。

    数年前に亡くなった自分の祖母に、すごくすごく会いたくなったなぁ。会いたいなぁ。

  • 生きるぼくら。いいタイトル。生きてる。いいことも、悪いことも、逃げたり受け止めたりしながら生きている。ピンチがチャンスなんだなぁ。生きることに、少し希望を持てる。いじめられたり、就活に失敗したり、そんな人に読んでもらいたいなぁ。読んでも、こんなふるさとないわと思われるかもしれないけど、それでも何かのヒントになると思うんだよね。ちゃんと、生きるってことは繋がってて、だれかが自分を大事にしてるってこと、知れるはず。

  • マハさんのお話には、相変わらず、優しい風が流れていて、疲れているときにはとても癒される。
    誰もが力をもっていること、自分の力を信じること。
    それに尽きます。

  • 清々しい読後感!

  • 感動の内に読了。
    引き籠りの男の子が自分の力で生きて行かなくてはならない状態に否応なく放り込まれて本当の人生が動き出す物語。
    ちょっと荒療治だけれど、そのぐらいショッキングなことがなくては再生出来ないこともある。でも必ず手を差し伸べてくれる人がいるのも世の常。全ては自分次第、けれど決して一人きりではない。「生きるぼくら」の意味を噛みしめる主人公が眩しい。厳しい自然の中で暮らすことによって自分の中にも人の中にも希望を見出していく物語。

    ”自然と、命と、自分たちと。
    みんな引っくるめて、 生きるぼくら。
    そんな気分になるんだ”

    最近、微生物の存在を身近に感じている私としては、「生きるぼくら」という表現はとても意味深いものに思える。
    お米の花が咲いているところを見てみたい。
    頭を垂れる金色の稲穂の景色を見たい。
    田舎暮らしを楽しんでいる友人に会いに行きたくなった。

  • 引きこもりが米作りを経て人の温かさを知る物語。

    手をかけて作ったお米で、愛情たっぷりににぎられたおにぎりは、そりゃコンビニのものよりも美味しいだろう。でも現代人はそこに気付くことが少ない。ネット上の仮想の人より、目の前の人とのコミュニケーションのほうが大事だってことに気付いてほしい。
    あたしもおにぎり食べたくなっちゃったな。それにしてもマーサばあちゃんってかわいい。あんなおばあちゃんになりたい。

  • 東山魁夷の色彩の美しい表紙に惹かれて購入。読みかけの本もあるけど、順番抜かしで読み始める。楽園のカンヴァスとはまた違った作風で、言われなければ原田マハとは気付けないなぁ。重いテーマだけれど、丁寧に描かれていて最後の清々しさが心地よい。20151003読了

  • 大好きな東山魁夷の「緑響く」が表紙で文庫になっているのを発見!なぜこの絵を表紙にしたのか読んでいく中で理解。

    人生のあまりにも壮絶な学校体験に読み進めるのが辛くなってしまったけれど…蓼科に行くという一歩を自ら踏み出したことで閉ざされてしまっていた人生の生きる力が息を吹き返していき、そこからは夢中で読み進めた。

    至極当然なのだけれど、誰しもひとりでは生きていけない。さりげなく見守ってくれる人、無条件にあたたかさを注いでくれる人がいて、そして、自分の意思で一歩を踏み出していくことで、人は育つ。「生きることをやめない力」を信じることを忘れてはいけないんだなぁ。

  • 泣きました。
    声も涙も出しませんでしたが
    確かに心がむせぶのを感じました。

    私の母はアルツハイマー型認知症で
    マーサばあちゃんと同じ、要介護3。

    亡くなった父も
    早くからその傾向があって
    でも夫婦ふたりが
    寄り添って暮らしている姿が
    とても幸せに見えたので
    私たち夫婦は すぐ近くに家を建て
    同居はせずに見守っていました。

    父が骨折をきっかけに寝たきりになり
    一年足らずであっさり亡くなった後は
    もう母はいろいろのことを
    覚えられなくなっていました。

    それでも
    週3回のデイケア通いと
    週1回のケアマネさんの買い物サービス
    週末の私たちとの夕食作り

    症状の進行を遅らせる薬の助けも借りながら
    今も一人で暮らしています。

    私が「人生」だとしたら
    私の母はマーサばあちゃんであり
    「人生」のかあちゃんなのです。

    まだ私たちの顔と名前を忘れずにいてくれる
    母が あとどれくらい自分の意志で暮らせるか

    母が壊れないうちにできるだけのことを…
    …なんて少しも思いません。

    生きるぼくらは自然に繋がってただ自然に
    生きています。

    このストーリー、私と母に重なり過ぎです。

    そうそう。私がまだ保育園に通っていた頃
    うちは小さな田んぼを持っていて、父と母が
    わずかながらお米を作っていましたね。

    そんなことまでが重なって…もう無理。

    つぼみのおにぎり。
    「人生」のおにぎり。
    かあちゃんのおにぎり。
    マーサばあちゃんのおにぎり。

    どれも絶対においしいです。間違いなく。

  • なんか久しぶりに、夢中になって読む本に出会えたなぁ。読んでる間、幸せだった。
    本を読んで、涙が出てきたのは本当に久しぶり。
    考えてる、インターネットでつながっているだけじゃだめ、動いて自分で体験してこそ、わかることがある。

  • こういう美しい物語って必要だと思う。

    現実世界ではクサイとかキレイごととか言われてしまいそうな、真正面から言うには気恥ずかしくなるような純粋で前向きなメッセージをすっと伝えてくれる物語。

    自分の人生を振り返り、大切な人たちを思い浮かべながら、読んでいくと、何度も涙が溢れるシーンがあった。読んでいる間、癒され元気づけられることが心地よい一冊だった。

  • ひたすら涙なみだ。私は本当に「おばあちゃん」という存在に弱い。あーおばあちゃんに会いたいな。会って「ごめんね」と「ありがとう」を言いたいな。恩返しがしたいな。この本はかけがえのないことを思い出させてくれた気がする。「緑響く」にまつわるエピソードもお気に入り。やっぱり好きだな、この絵。

  • めっちゃ良い話だった。こんな夢見たいなラストに泣けた、

  • 引きこもりの24歳の青年が、母親に見捨てられて喚き散らしている姿を見て、本を閉じたくなりました(笑)

    こんなに私をイライラさせた麻生人生なる男ですが、子どもの頃の思い出を胸に祖母が暮らす蓼科に向かい、自分の人生をやり直そうとします。
    ものすごく大きなことを成し遂げるわけではないけれど、小さなこと、目の前のことをコツコツ積み重ねる人生氏。周りの人たちとの関わりを通じて、自分と向き合い、成長して行く、というストーリーです。
    ちょっと甘いな、とは感じましたが…。

    それに反して、常に自分自分!ってなってしまうつぼみには、そこいら中でイライラしました。
    確か彼女の方が年上だったはず…何?このガキっぽさ…と。本当に高校生くらいにしか思えません(笑)
    今度は別目線で、彼女の成長ストーリーも見てみないとなんだか気がおさまりません。

  • 2017.7.21
    一気読み!お米作りなんて全くしたことがないけれど、村の人のあたたかみとかおばあちゃんの優しさが溢れ出てて、ああマハさんワールドにまたどっぷりと。引きこもり、認知症、就職難、離婚、病気、現代にはびこるいろんな事柄を、マハさんならではのタッチで綴られてる。お米が食べたくなるー!

  • 相変わらず善人しか出てこなくてリアリティーがないなー。人生追い込まれてどこかに逃げて善人のコミュニティーにたどり着いて再生する、というのもパターンだし。
    とはいえ、パターンでもそれなりに読ませるのがよいところ。
    今回は、傷ついた主人公に加えてもう一人、傷ついたヒロインがいるのがなかなかよかった。現実ではそういう女の子は大抵可愛くないのだけど、作品の中では可愛いというのが自然に受け入れられる。勿論、メソメソウジウジしてる男も、現実ではブサイクだ。
    あとは、おばあちゃんの認知症が進行する暗い側面があるのもいいなー。陰影だよね、光と陰。鮮やかになるわー。
    会話がクサすぎるのがしんどい。70年代か!?

  • いじめから引きこもりになった青年が、農村での出会いを通じ、新しい「人生」を歩み出す物語。
    梅干入りのおにぎりを再び食べられるようになる物語。

    作中の稲作は、ほのかに宮沢賢治の香り。
    道沿いに、東山魁夷の手による風景。
    そして、旅立後の主人公が出会う人達が、みんないい人たち。

    ある意味、ファンタジー小説だけど、いじめや引きこもりの他にも、認知症や離婚後の貧困や就職難や、身の回りにある辛い現実を背景にしながら、主人公といっしょに心が癒されていきます。

  • 美術モノではない原田マハ。イジメの描写辛すぎて読めないかと思ったけど、家を出てからの主人公がメキメキ成長していく姿、お米が生長する姿と重なった。

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生きるぼくら (徳間文庫)の作品紹介

いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサばあちゃんから? 人生は四年ぶりに外へ! 祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた????。人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。

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