間の楔6 (キャラ文庫 よ 1-10)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 182
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199005565

作品紹介・あらすじ

失踪したリキは、特権階級が住むエリアにいるらしい!?居場所を突き止めたガイは、リキのパトロンがイアソンと知って驚愕!!けれど、イアソンに「これはわたしのペットだ」と所有権を見せつけるように、目の前でリキを嬲られてしまう。嫉妬に眩むガイは、リキを拉致し、イアソンとの全面対決に挑むが…!?主人とペット-その歪んだ絆で繋がれた究極の執着愛、ついに感動と衝撃の最終巻。

感想・レビュー・書評

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  • ついに完結。結末は知っていたもののやはり感慨深い。
    挿絵も前のシリーズよりもリキが大人で好きなので、この際全巻買い替えました。
    JUNE小説の殿堂。ラストキスが切ない。

  • ついに最終巻を読むことができる…

  • イアソンがリキをペットとして飼う。
    その代償が支払われた最後、かな。

    あとがきの「絶対に覆らないヒエラルキーの住人であるイアソンとリキの終わり方はあれしかないのかなぁ…と。」という言葉の重さが心底身に染みてつらくなる最後。
    カッツェさんの口にする「ああいう形でしか成就できない」愛。

    私は最初、その最期のシーンでは泣かなかったというか、どうしようもない理不尽の果ての形に共に逝く二人の姿を穏やかな気持ちになって読んでいたんだが、カッツェさんの涙をこぼすシーンで一気に泣けてしまいました。

    あぁ、そうだ。人が泣くって、誰かを悼むってこんな感じだった、って急に思い出したんだ。

    あと、これは私の妄想かもしれないけど。
    イアソンはブラック・ムーンでリキと共に逝けなかったんじゃないかって。

    おそらくブラック・ムーンは麻薬の大量服用による呼吸抑制のち死なんだと思う。煙草の煙程度でその量に行き着くかは別として。
    呼吸中枢は延髄を作用点としている。延髄は脳の一部だけど、ブロンディーの脳はあくまで思考としての脳の設定っぽいし、死に程遠いブロンディーに呼吸中枢詰め込んだ延髄設定してなさそう。

    だからイアソンは抱き寄せたリキの最期を独りずっと見つめていたんじゃないかって。
    再生不可能になる瓦礫が自分とリキを押し潰すその時まで…。

    誰にもどうしようもない終わり方だったんだと思う。
    それぞれがそれぞれのプライドをかけて、生き様を語って、譲れないものを求めて。
    誰にもどうしようもなかった。
    リキとイアソンが出会って、惹かれた。
    好きだの愛だの最後まで語ることはなかったけど、共にいたいと願った。
    だから、こうでしか終われないと分かってるけどつらいもんはつらいわ…。

    けど、すごいよね。好きだ愛してると語られなくても二人は間違いなく深いところで繋がっているのだと分かる描写は。
    その行動の端々に愛おしいと、離れられないと滲んでいるのは。
    抱き締めるだけで充分だと思ったし、抱き締めることでしか伝えられなかった二人の愛。
    ここまで潔いともうしょうがないとも思ってくる。

    とは言えカッツェさん、どうしてブラック・ムーン2本常備してたの…。
    いつの日かの死を見つめながら、共に逝く誰かを探してたとかじゃないよね?とそれはそれでつらくなりました。

  • ▼あらすじ
    踪したリキは、特権階級が住むエリアにいるらしい!? 居場所を突き止めたガイは、リキのパトロンがイアソンと知って驚愕!! 
    けれど、イアソンに「これはわたしのペットだ」と所有権を見せつけるように、目の前でリキを嬲られてしまう。嫉妬に眩むガイは、リキを拉致し、イアソンとの全面対決に挑むが…!? 
    主人とペット──その歪んだ絆で繋がれた究極の執着愛、ついに感動と衝撃の最終巻!!

    ***

    OVAから入り、小説を買ったのですがまさか死にネタだとは思いも寄らず。
    ですが買ってしまった物は最後まで読もうと読み続けやっと最終巻である6巻に辿り着いたもののやっぱりラストを知りたくなくてなかなか手が出せずにいること3ヶ月…ようやく意を決して読みました。

    やっぱり最後が切なくて切なくて。
    身を挺してリキを守る事で最初で最後の好意を見せたイアソン、「どちらか選べと言われたら、間違いなくガイを選ぶ」と告げたリキの最後の選択。そして安寧。
    カッツェの言う通りこういう形でしか成就出来ない愛もあるんだろうけど…やっぱり生きていて欲しかったという思いが強いです。
    結局、リキもイアソンもお互い「好き」や「愛してる」といった言葉を伝える事もなく、イアソンに至っては最後はキツく抱き寄せるだけっていう行動も切なくて切なくて胸がキリキリ痛みました。言葉じゃなくて行動に「愛」が滲んでいて。
    なんて不器用な人達なんだろうと。もどかしくて切なくて只々悲しい。

    そしてカッツェが泣いたシーンで私も泣きそうになった。
    というよりカッツェの涙が読者の気持ちを代弁しているような気がして…。
    読み終わった後に改めて表紙を見て、かつてないほど穏やかで柔らかな二人の表情に胸にこみ上げるものが…。
    ああ、二人とも深い部分で繋がっていたんだと改めて実感しました。

    作品としては面白かったけどやっぱり死ネタは切な過ぎるから苦手です。
    こういう作品は「間の楔」だけで私には十分だと思いました。

  • これが、最期のディープキスだー…。

  • このBLがすごい!と勝手にパロディ本を作りたくなるほどの面白さでした。
    設定やセリフに年代を感じさせますが、ストーリーは古いなんて言えないほどの面白さです。
    ご都合主義で最近のBLにありがちなハッピーエンドではなく、タイトル通りの終わり方です。
    もしあの時、こうなっていれば…!と暫く考えてしまうほど切ない終わり方ですが、これ以外に無いのかなと思いました。

    あまりにも好きすぎて、OVAも買ってしまったのですが、塩沢ミンクも大川ミンクもセクシーでイメージ通りです。本の長さが気になる方はOVAからはじめてもいいかもしれません。新しいものは未完ですが、元のものは完結しています。多少のストーリー変更はありますが、大筋は同じです。

    BL小説ってこんなに面白いんだ…!と気付く作品でした。

  • 面白かった。楔としてはあのエンディングが一番の着地点なんだろうけど、けど!悲しい……。そして、もう少しこの世界観に浸っていたかったと思った。

  • 最終巻…ついに読んでしまいました。久しぶりに本で号泣しました(泣)~「JUNE」な展開?「JUNE」の定義もあまりよく分からないのですが、BLとか萌えとかそんな甘い言葉では語り尽くせない衝撃の展開です。途中からは破滅的なラストに向かう様子に胸が痛くなりながら読みました。
    皆それぞれの想いが切ない。
    ガイは穏やかで唯一の常識人でした。でもリキを愛するあまり狂気に堕ちていく…きっとガイは探し出したリキに会って気付いてしまったんですよね、リキの心は既にイアソンにあると。二人が助けた命…これから生きていくには重過ぎる十字架です。
    そしてイアソンのリキへの想い!もうなんて深いんだろう!
    アンドロイド絶対君主である彼が、リキを知り興味を持ち、それは主人とペットという歪んだ関係かもしれないけれど確実にリキへのそれは愛情に変化していき、イアソン自身もそれを自覚していたのに、決して本人に愛情を示すことは出来ない。飼い主とペットの関係として抱くことでしかその気持ちを埋められなかったんです。
    だからリキも戸惑っていたんでしょうね…イアソンの態度が少しずつ変わってきていることに。リキ自身も体だけでなく気持ちもイアソンのものになっているなんて気付いてなかった、又意地っ張りな性格上認めたくなかったのでしょう。でも最後の最後で気付くんですね、あのタナバーンのラストで…(涙)銜えタバコのディープキス、BL史に残る名シーンですね。

    そして最後に、そんな二人を第三者的な立場で冷静に見ていたカッチェが、二人の生き様をみて涙をながすのです、それも嗚咽するくらいに。ファニチャーとして育てられ性別も感情もなくして生きてきた彼が、初めてみせる人間的な感情だったかもしれません。

    現世では笑いあうことのなかった二人…今頃、手をつないで笑顔でいてほしいな、最終巻表紙のように…。

  • 「イアソンとリキは、噛み合わない純愛が軋んで悲鳴を上げる、周囲を巻き込んでの大クライシス的恋愛(…しかも、ご本人さま方は、まったく、その自覚が欠けているという…)」『間の楔―異聞ミッドナイト・イリュージョン』作者あとがきより
    この話はとにかく舞台設定≒各人の立場≒各人の矜持や思考や行動理念を理解することが重要。難しかった。切なかった。なんか理不尽なんやけど、なにが理不尽やったんやろ…なんかもうどうしようもない(>_<)一回読んだだけじゃわからない。

  • 近年のBLには有り得ない結末だけれど、
    作者さんもあとがきされているように、
    これはこれで、二人にとっての【THE BEST END】なのでしょう。

    そして、キーパーソンであったカッツェは最後・・・
    何を思って、誰を想って、泣いたのだろうか。

    結局、最後まで独特な文体に馴染むことはできず、
    ブツブツ不平を零しながらも
    世界感にはしっかりと引き込まれてしまったあたり、
    やはり秀逸な作品といえるのかも。

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著者プロフィール

福岡県出身・在住。
「小説June」にてデビュー。
代表作に「間の楔」シリーズなど。
ドラマCDのシナリオも数多く手がける。

「2022年 『純銀のマテリアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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