銀河郵便は三度ベルを鳴らす (徳間デュアル文庫 お 2-3)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199050985

作品紹介・あらすじ

「おれ、結婚したんだよ」とクラムジー。それに応えて、イルは「おれも結婚した」と言った-。銀河を股にかけた、あの郵便配達員コンビを巻き込んで、遊星ユニヴァーサルでは大騒動が勃発!跳びはねる銃弾。鳴り響くウエディング・ベル。はたしてイルは、十一年ぶりに再会した美女・カジャへの愛を、貫くことができるか?そしてクラムジーは、超のつく変態野郎・アールグレイ卿の執拗な"求愛"から逃げ切れるのか?幸せって、いったい何?絶好調スペース・コメディー第三弾、初の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 観念的な世界観(SFちっくと言う印象が強い、と私が思う要素)が強くなっており、『銀河郵便は‘愛’を運ぶ』で強烈に印象に残った会話劇の様な台詞のやり取りやユーモア小説の様な様相は薄れるのだが、その観念的な世界に切り込むようにイルとクラムジーに間に交わされる独特の心の交流が織り込まれて強烈に印象に残る。「メディアの女神」では、瀕死の重傷を負って視界が塞がれてしまったイルに、「回復するまで、毎日、本を読んであげる。毎日、ぼくが、本を読んであげるよ…」と言うラストの場面では、男女問わず恋多きアンドロイドのクラムジーが、イルだけはやっぱり特別なんだな、特別に大切なんだな、と言う素直な気持ちが伝わって来て心が震えた。
    表題作の「郵便配達は三度ベルを鳴らす」で、BL好きの萌えツボをぐいぐい押す顛末が描かれていて(笑)クラムジーの美しい花嫁姿(男型仕様)をじっくり見て見たいと思った…イルもそれはそれは目を奪われたことだろう。この作品は、やはりノンケである元傭兵マッチョで繊細な内面を持つイルが、男型のクラムジーにぐがぐら来ている、と言う部分が醍醐味の作品だなぁ、と再確認。理屈をこねたくてもこねられないほどにクラムジーの美と内面に惹きつけられている男の物語だ。
    女型のクラムジーと意識朦朧でイル、やっちゃってる様な描写があったと思うが(確実にやっちゃったと言う表記ではない)、このシリーズでやっぱ読みたいのは、イルがクラムジーへの気持ちを自覚して、それをクラムジーに言葉で伝えて合体する、と言う所へ辿り着くことだよなぁ…BL云々抜いても。イルは間違いなくクラムジーに惹かれてやまないのだが、性別を越えても惹かれるに値する要素がクラムジーにはあるから(万能型のセクサロイドだもんな)そうではなくて「愛しているんだ」と言うのをイルが自覚して欲しいんだよなぁ。
    恋愛ものであるBLが最近読めないのは、「この人間でなければならない」と言うのは人間に対する愛情と言うよりは特定の個人・パーソナリティそのものを愛してしまうと言う事であって、人間だから愛すると言うのではなく、亡き愛猫の代わりになる猫がこの世にはもういないんだ、と同じじゃないかな…。私が人間&アンドロイドものを好むのは、生産性が全くない、人間から見ると無機物を愛でるのと変わりないと言う見方も出来る中、そのアンドロイドでなければならないのは、やっぱり個体ではなくアンドロイドごとに経験値が違って「個性」があり、その個性そのものを愛しているからじゃないか、と思う。所詮機械なんだ、所詮猫で人間じゃないんだ、で済まない愛情を抱く事が人間にはある、って事だと思うんだよな。形がなく、肉体がない精神体同士、と言うのとはあんまそそられないんだよな…。個体性を目で見える・触れる物理的な肉体があるのが無論前提。人間は恐らく形のない観念だけのモノよりは触れる方が安心感を得られる生き物だと思うので。触れる物体を愛でるのを通り越した時にはやっぱパーソナリティーそのものを愛しているんだと思うんだよね。失ったらそれでお終い、忘れてしまう、にならないのは、肉体が無くなったり不具合が起きて前とは違う姿になっても愛し続けてしまうのはそう言う事だからだと思うんだよね。

  • 借本。
    イル&クラムジーの3冊目。やはりキャラが面白い。
    自分好みの終わり方だったので、全5編あるようだけど、
    続編は読まないつもり。

  • 中高図書館の蔵書であった「イル&クラムジー物語」が続き物であると(しかも3巻(?)あるうちの2巻目)知らず手を出してしまったのがある意味運のツキ。前巻読了から最低でも3年はたってから続編を読んでみたのも悪かった気がするが、想定外に難解な話だった。「イル&クラムジー物語」の方はもそっとおちゃらけて楽しめる本だった気がしたんだが…。
    ただ大原女史の持つ神話的視点というのは非常に気に入っている。

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