ささめごと (プリンセスコミックス)

著者 :
  • 秋田書店
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253075268

感想・レビュー・書評

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  • 時代ロマンシリーズ。
    特に初期はいい。

    切ない話やハッピーエンドもいいが、特に初期は悪人とされる日野富子の話に代表される人としての業の描き方が秀逸。

    ただしこれも、後に続く歴史ものシリーズ集も、同んなじ話に見えてくるのが難点。
    一つずつでは秀作でも、あんまりいっぱいあると埋れちゃうんだなあ。

  •  河村作品の特徴の一つとして、悪女もしくは悪人が主体に据えられる頻度と、その魅力にある。
     女性側の秀作は、「見果てぬ夢」の日野富子。
     幼少期の無垢さを自ら葬り棄て、身内すら謀り、邪魔者を排除する反面、他者の清廉さが毒素となる我が身を密かに泣く矛盾を示す。
     姉分である今参りの局への慕情と厭わしさは、両立しながらも彼女の心を燻し続けた。
     悪女の奥深さと哀しみを体現する作品は、一読の価値あり。
     (作者自身は、この手の人物を描くのは苦手らしいのがまた面白い。)

     男性版の筆頭は、「雨の糸」「火炎」の足利直義。
     類稀な美貌の仮面の下で、罪悪と汚名を被りつつ、彼は、兄・尊氏を権力の座へと押し上げる。
     時代背景も難解なこの頃、互いの関係が如何なるものであったか、詳細は解からない。
     ただ、史料が語る兄弟の愛情と葛藤が、余韻をもって胸に残る。

     兄弟の相克としては他に、源頼朝と義経の「霧雨有情」。
     肉親の情に飢えた無垢な少年と、素朴で向こうっ気の強い娘・静との幼い恋を横糸に、擦れ違う兄弟愛の哀愁が縦糸に紡がれる。
     巷の判官贔屓に比して悪役に回され易い頼朝なれど、二人の決裂は、兄の妬心などではなく、互いの認識の不一致による必然の事態だった。
     永井路子「つわものの賦」に詳しいが、武士社会の統制の厳しさは、東国の組織性の根幹を成すもの。
     頼朝が東の『くに』の総帥として恩賞権を掌握し、鎌倉の独立を朝廷に認めさせられるかの分岐点にあれば、義経の叙位任官は武士団の結束を根底から揺るがし兼ねない。
     義経の最大の悲劇は、東国で育つことが出来なかったが故に、この鉄の掟を心身に叩き込めなかった不運にもあるのだろう。
     東国の旗印たる源氏一族の、養育の岐路が招いた彼らの結末は、日本の革命史上においても象徴的。

  • 平家の御曹司と宮中侍女の悲恋、源義経と白拍子・静の恋、日野富子と今参りの局の女の戦い、足利直義の野心と孤独感――・・・
    平安末期から鎌倉時代を生きたそれぞれの繁栄と衰退、恋、戦いなどを描く5つの短編作品。時代ロマンシリーズ第1弾。

  • 時代ロマンシリーズで、色んな時代の人々の恋物語が読めます。
    「霧雨有情」が義経の話。純情な義経が可愛らしいです。「女子とは座ぶとんのよーだな」とか(^^*)
    義経の死後、涙を流す頼朝・・大河の中井貴一さんの頼朝を思い出す感じがしました。

  • 歴史もののオムニバスシリーズです。いろんな時代のいろんなお話があります。史実や伝承が織り交ざっていてとても面白い作品です。

  • 「時代ロマンシリーズ」すごく好きです。

  • 足利尊氏の弟の話がすごく好き。こういう情けないところのある人に弱いなー。

  • 平安末期、南北朝、室町(右京と平資盛、源義経と静御前と源頼朝、日野富子とお今の方、足利尊氏・直義兄弟)

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