死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(1)(少年チャンピオン・コミックス・タップ! )

著者 :
  • 秋田書店
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253130691

感想・レビュー・書評

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  • 思春期の自意識が過剰に肥大し炸裂するエピソードを描いた
    オムニバス短編シリーズ。
    面白いが帯の煽り文句「心がざわつく」は承服しかねる。
    私の理解と共感の範囲にストンと落ちる物語ではあるけれど、
    決してザワザワしない……それはもう、
    ジェネレーションギャップと言うしかないのか。
    遠い昔、そんな年頃だった私や親しかった友人たちは
    話しても通じないフラストレーションを
    小説(らしきもの)や絵を描くことで発散していたから、
    「殺す」だの「リセット」だのって発想に結び付かなかった。
    だから今も普通に生きているし
    日々考え手を動かし何かを作り続けている。
    苦悩の十代なんて一瞬だ、永遠ではない。
    だが、血反吐を吐くほど悶え苦しんだ経験は無駄にならない。
    ……無駄ではなかったと思える大人に仕上がれば、の話だが。
    それにしても、こうしたテーマ・作風が人口に膾炙する時代、
    山田花子女史のあまりに早過ぎた死が悼まれてならない。

  • 作品の中のキャラとしてではなく、一人の人間としての内面、つまりモノローグを全て書き出すとこう言う感じになるであろうリアリズム。第4話の「がんばれメガネ」は秀逸だ。男鹿(メガネの方)の言い分も、女楽のモノローグのツッコミも、どちらにも深く共感。最近、似た様な感覚を抱いただけに。
    現代社会を抉る名言満載。科白の連打に隠れて、流れ弾の様に届く。活字を読むのが苦手、読み解く能力が余り高くないと自負している人には苦手意識が先立つかもしれないので、誰でもかんでもにはお勧めしない。

  • 空灰のシリーズ的な感じです。
    前作と同じく、かわいらしい話、後味の悪い話、痛くて辛い話などなどの短編が描かれています。

    ・短編:おねがいだから死んでくれ

    「ぼっち」とか「コミュ障」というものの本質について触れたような気がします。

    人と感性が合い、同じものを好きになれるということは、当たり前のように思えて、実はとても幸せなことなのではないでしょうか。
    これはその「当たり前」ができない少年の話です。

    少年は性格が悪いと言われ、傷つきますが、そもそも彼は物事を意図的に悪く言っているというよりは、本音を隠せないのです。
    好むものやそもそもの価値観などが違いすぎて、クラスメイトと同じ感想を持つことができません。共感して、器用に人に合わせるすべを持っていません。
    この状態がいわゆるコミュ障のひとつではないでしょうか。

    当然孤独感が強くなり、ますます自分の世界に没頭し、他人への恐れが深くなっていきます。
    けれど漫画という自己表現の場所を得て、少年はそこに希望を見出します。
    そして自分と似た感性を持っているかもしれない人間に縋りますが…


    ・WEB漫画再録:ニーソ眼鏡児童液

    統合失調症など、精神の病気に関しては、
    「これはニセモノでホンモノじゃない」
    などと批判を受けることがありますが、
    精神の症状にもさまざまな種類があり、テンプレート的なものが必ずしも正しいとは限りません。

    この短編では簡単な会話だけでどう見ても青年が狂っていることを読者に伝えていきますが、
    後半で、彼の気がついたことは妄想なのか現実なのかということを投げかけられます。しかしそれは…


    ・がんばれメガネ
    主人公が大学デビューした高校の同級生にドン引きしながら会話をしますが、再会の理由は…
    なかなか生々しい話になっています。
    断片的なセリフの内容だけで、その人間がどんな状態に置かれてるかをハッキリさせてゆくのが非常に上手です。
    もちろん絵柄も、オチを知った後で見るとこれは伏線だったのか…!
    と驚かされます。

    短編のこんな少ないページ数でこれだけ考察(と言う名の妄想)が広がるこの漫画は素晴らしいです。

    灰色の青春を歩んできた人、現在進行形で灰色な人にオススメです。
    灰色の理由がなんとなく掴める…かもしれません。たぶん。

  • ◆心が弱っているときに読んだらクルかなぁと恐る恐る読む。◆大丈夫だった。この本、好きだった。◆だって〈不器用でもつながりたい〉って気持ちがビシビシ伝わってくる。心が熱くなる。◆第4話「がんばれメガネ」の女楽さんや第9話「おねがいだから死んでくれ」の佐久田くんみたいな〈普通〉側の人、むしろ怖すぎ。でもリアルだ。◆LIKE: 第2話「一旦だけ 一旦だけでも」/ 第6話「それがだよ」/ 第7話「10時間」/ 第10話「深い悲しみ」

  • バカ話にセリフ芸、余韻あるビターエンドから深い絶望まで、読者の心をよくももてあそんでくれる。アルティメット佐々木の短編だからできる野放図すぎるキャラ立て、「おねがいだから死んでくれ」の地獄、「10時間」のスッと入る感傷、等々どれもすばらしい。

  • ……うう……ううぅ……。
    読んだら凹むと分かっているのに新刊を読まずにはいられない。かわいいお話もあったけど。

    「おねがいだから死んでくれ」を読んで文字通りになったけれど阿部共実さんがこれを描いてくれたから生きるよ。

  • この人ならではのこの感覚は、この人の作品じゃないと味わえない。なので、もうしばらくこの人の厄介になるかと思う。
    じゃんじゃん人に勧めたいけど、人格を疑われる危険もあるのでなんとも勧めにくい、厄介な一冊。

  • 短編集。感覚的に読む作品だと思うが、ずっしりメンタルに来るものもあり、憂鬱な気分になる。だが、それが阿部共実先生の魅力で癖になってしまう。。好き。「おねがいだから死んでくれ」が1番好きでこれ単体なら星5評価。

  • 物語の半分くらいは理解不能だけど、言葉と文章のリズムが素晴らしくて読めてしまった。マンガというより文芸っぽい。

  • 生きてたら色んな日常と出会えて楽しいかもしれない

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