空が灰色だから (1) (少年チャンピオン・コミックス)

著者 :
  • 秋田書店
4.01
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感想 : 138
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253217156

感想・レビュー・書評

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  • おもしろい。
    かわいらしい絵柄であるがそれに反して、読後感がつげ義春氏の作品に近いと思った。
    そのアンバランスさでまず引き込まれる。

    不条理、シュールとも形容できる内容であるが、マンガ的なセオリーをあえて踏襲しないよう気を配った部分も感じられ、その描写がに妙に現実に即しているようでハッとさせられる。
    そのアンリアル・リアルの振れ幅のバランスが絶妙で読み味の浮遊感、読後の気味の悪さがどこか癖になる。
    奇をてらっているようでいて、実は非常にガチな作品。

  • 思春期に限らずいろんな人に普遍的にある心の闇やズレを過剰に表現してるので読みながらオエオエえずいてしまった。心の下剤というか登場人物に対して何かしら身に覚えを感じる人にとってはあまりにも劇薬すぎる漫画。
    2話の『お前は私を大嫌いなお前が大嫌いな私が大嫌い』とか身に覚えが少しあって読んでてめちゃくちゃ吐き気した。

  • 真実の話をします。昨日は阿部共実さんの『空が灰色だから』を読んでいました。グラビア撮影もしてません。ミニ四駆大会にも出てません。阿部共実さんの空灰を読んでいたのです。空灰を初めて手に取った時は、一度ブチ殺した漫画を読むことへの意欲を再び沸き起こすものでありました。結局その後にまた死ぬのですが、その時はそんな感じでした。
    空灰の一巻の衝撃は忘れません。なんじゃこりゃ?ぬあんじゃこりゃぁぁぁああ!!血です。まさしく腹部に血糊を感じました。ドキが胸胸しました。心が死ぬというほどではありませんが心が死ぬということを感じました。つまり形而上的なはずの心という存在を意識させられました。イマイチ抽象的で分かりづらいかと思いますがそんな感じなのです。
    全5巻ですが、各話ショートストーリーで一話完結形式なので終わりという終わりはないし終わりといえば終わります。とりあえず久しぶりに読むとやっぱり面白いです。グサグサきます。でも4巻までしか読めませんでした。2巻は誰かに貸したのか見当たりませんでしたので実質3冊分で撃沈しました。漫画3冊なんて普通1時間もあれば読める気がします。同じ秋田書店の『グラップラー刃牙』なら10分要らないです。気付けば2時間経っていました。一話終わる毎に余韻を持たねば吐きそうになる。そんだけエグってくる。そういう漫画です。空灰。読み終わるとというか無理矢理中断させたのですが口内炎が出来てました。
    きっと10代のセンチメンタリズムってリアルタイムだと麻痺してよく分かってないし、後になったら美化されていて全然汚れてない感じがするけれど実際そういういたずらな感傷を冷静に見つめた時すごく汚いと思います。人間らしいなんていうのも逃げの文句で、成長期の真っ只中にあって誰も傷つけないなんて出来ない。若いとはそれだけで素晴らしい、なんてのは老いたる者の憧憬で、分別のつかないドス黒さなんて若さを語り出す頃には掃いて捨てられている。山下達郎がラジオで言ったとかいう、昔の音楽が良かったんじゃなくて良いものだけが残ったからそう思うだけ、というのはまさに若さを無闇に賛美して酔ってんじゃねえの?ってことをあらわしていて、自分が10代の頃に置き換えてもやはり汚かったんだろうなと思います。ただ綺麗だから良いとか汚いから悪いって話でなくて、空灰が面白いと思えることはどちらにせよその10代の頃に忘れてきたのか置いてきたのかよくわからないセンチメントをちょくちょく思い出すくらいのことはしてしまうだろうってことかもなのです。それはきっと空が灰色だから。なんちゃって。イミフ。

  • 10代女子を中心に、人々のうまくいかない日常を描くオムニバス・ショート12篇。
    笑える話、不安になる話、怖い話、切ない話、色々ある。
    なので一つ一つの評価は省略する。
    全編に通じるのはユーモアのセンスくらいか。
    あと内容とは別に、オチがどう転ぶのか分からないという不安がある。
    そこが面白いという人もいるかもしれない。
    時々蓮画っぽいの挟むのやめて欲しい。

  • 怖い、心が痛い、可愛い。

    誤解されたまま終わるラブコメディーと聞いて読む。野球部エースと幼馴染の回で完全にノックアウトされる。痛いよう。

  • 読み返し
    「生きるということ」
    食欲の話は少し納得してしまった。阿部さんの漫画は意味不明な思考をするキャラが多い。でも言ってることは分からんでもないキャラも幾らか居る。面白い。

  • ラブコメ? シュールギャグ? サイコホラー? 世にも奇妙な物語? いろいろなタイプの話が詰まっているのだけど、なんだか心に刺さるところがある…。
    生き辛さを抱えた人の、恥ずかしかったり、自意識が空回ったり、寂しかったりする人の感情が妙にリアルなのだ。絵柄はユルいし、ストーリーは突飛なものが多いのにね。
    凡百の作品と一線を画す理由はそこらへんにあるなと思います。

  • 面白すぎる! 時々心がちくちくされるけどめっちゃ笑った。たぶん笑わせた隙を突く系のテクだ。気をつけないと。

  • 仕事で5巻まで通読したけれども、あまりに苦しくて吐くかと思った。


    「心がざわつく思春期コミック」というキャッチフレーズ。1話完結のオムニバスで、10代の少女たちを中心に、「人々の上手くいかない日常」を描いている。この1巻を読むまで、私は『大好きが虫はタダシくんの』の作品だとは思えなかったので、読んでいて心が揺さぶられて本当に吐くかと思った。知っていれば……たぶん、それでも読んだだろうね。


    ストーリーは10代の少女たちを中心に、奇妙な物語が1話完結で語られている。ハッピーエンドもあれば、本当にバッドエンドもあって、その救いのなさは、読んでいて本当に心が苦しくなる。こういう漫画は、読む前に避けるものなのだけれど、『空は灰色だから』は日常系の絵柄で読み手を油断させて、そこからガバッと読者を丸かじりするような、そういうトラップ感満載の漫画になっている。


    『大好きな虫がタダシくんの』は、ネットのまとめサイトで紹介されていて、読んだときは本当に衝撃を受けた。普通と思っていた少女が、何気ない会話のなかでどんどんおかしくなって、すがれるものも失って慟哭する姿を描いた漫画で、二度と読みたくないと思うパワーと。読む者すべての心を締め付ける強さがあった。心の病とか、統合失調症とか、コミュ障とかいろいろと表現の仕方はあるけれども、僕なりの読み方でこの作品を解説したい。


    この漫画を読んで、ここまで心が動揺してしまったのは、ストーリーが「罪と罰」を描いているものだからだ。もっと分かりやすく書けば、この漫画は「望まないのに罪を背負った少女の物語」だ。「罪」というあやふやな刻印を、知らずに押されてしまった少女が、「罰」に苦しむ姿を描いている。それは『大好きが虫はタダシくんの』から、『空が灰色だから』の最終話まで一貫したテーマであるように思う。少女たちは、罪状も定かではない「罪」に戸惑い、怒り、涙を流し、狂いだす。だが、これがこの漫画の面白いところなのだけれど、「罪」に対応するのが「罰」だけではないところが、作品に深みを増している。


    ハッピーエンドとして終わる物語は、少女を苦しめる「罪」が「罰」とは別のもので癒される様を描く。最も端的なのは、5巻の『私を許して』と、『マルラマルシーマルー』だ。この2つは、前者がオーソドックスな「許し」を、後者が反則的な「許し」を描いているだけに興味深い。二つの話とも、自分の正義を曲げることのできないという「罪」を背負った少女の話で、連載終了になるに連れて、作者のテーマ性がどんどん出てきた作品だと思う。また、「罪」を背負った少女が罰せられる様を描いた物語は、2巻の『信じていた』が屈指の出来だと思う。理不尽な「罪」に断罪される姿には心が締め付けられた。


    でも、5巻まで通読して読んで感じたことは、胸が苦しくなるような罪と罰的な話はあまりなくて、罪を別の方法で癒やす話が結構多いということ。これは、連載になって先鋭的なものがより口当たり良いものになったと言えるし、そう毎度辛い話を描くのは、作者の精神が保たないというのもあると思う。私も、女子高生がだらだらあーでもないこーでもないと話すもののほうが、癒されて好き。作者が最終的に描きたいのは、最終話の(理不尽な)罪を背負った少女と、(図らずも)罪を背負う少女の話だったと思うけれど。


    絵は、「日常系」と呼ばれる絵柄で、非常に見やすい。でも、セリフの渦がとんでもない。この狂ったバランスが成立しているのがスゴいなぁと。

  • キャラクターが可愛い。
    そして目次が良い。

    いきなりの感動ものはずるい。
    男はちゃらく、女は胸がでかい。

    個人的には「生きるということ」が好みです。

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