- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255007502
感想・レビュー・書評
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自殺したいと思った事が無いかと言われれば「ある」という答えになります。脳天気と思われている私でもあるので、世の中沢山沢山いると思います。人間関係や社会との関わりが複雑化した現代ではあらゆる事に憂鬱の種があります。昨日まで円満でも今日は死にたいとか、ありえない話ではないです。
本書は末井氏の母親がダイナマイトで心中した壮絶な経歴を生かしたエッセイです。不謹慎ではありますが、そのエピソードを一つの売りとして語る末井氏の柔らかい語り口は妙に心地よかったです。
お金で億の失敗をした筆者の言葉で「お金位の事で死ぬなんて馬鹿馬鹿しい」と言われると説得力抜群です。今後自分が大きな借金を負っても(負わないけど)強く生きて行こうと思えました。どんなに借金が有っても結局命までは取られないんですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多感な時期に黒歴史を刻むため読むといい。
アラーキーの濃さが忘れられない。 -
自殺をテーマにしたエッセイ。
著者自身の母親も自殺しているが、その自殺方法が特殊で、その特殊性をネタにしている。死ぬ人は死ぬ理由があるのだろうけど、残される方にもトラウマができるが、ネタにすることによって、母親にも、自身のトラウマにも成仏してもらうことができるようになるのかな。
すごく優しい文体で、前半部分は自殺について思うことを書いているのだが、その優しい文体とはうらはらに、著者の人でなしな部分も読めて面白かったですw
僕自身はまだ生きます。 -
母親に壮絶に死なれた自殺遺族が、自らをさらけ出しながらインタビューや旅などさまざまなアプローチで自殺について書いた本。自分にはよくわからないがこういうのが救いになる人たちもいるのかもしれない。
[more]<blockquote>P19 世間というものは幽霊のようなもので、幽霊にびくびくしている人に幽霊が出るように、世間を怖がる人に世間圧がかかってくる。
P179 お金は悪魔だと思っていても、それを捨ててしまえない僕は、無一物の人にコンプレックスを持っているのかもしれません。【中略】貧乏を経験している僕は、なかなかお金から自由になれません。だからお金のことで自殺する人の気持ちはよくわかります。反面、お金のことなんかで絶対自殺してほしくないと思うのは、お金の束縛から自由になりたいと思っていることの投影でもあると思います。
P239 ま、白骨になっちゃえば勝ちですけどね。(樹海捜索経験のある作家早野梓)
P240 死体は見ただけだと腐ってるか腐ってないかそれだけの話で、見つけたらこの死体を誰かに返さなくちゃという気持ちが起きるけど、花束を見つけると悲しみだけが見えるじゃないですか。そういうときのほうが、まだ自殺した人に思いを寄せてる人がいると思って切なくなりますね。(早野氏)
P263 不思議なもので、自分を肯定できると、相手のことも肯定できるようになります。自己嫌悪から抜け出してからは喧嘩をすることも少なくなってきました。そして嘘もつかなくなりました。嘘をつかなくなると、晴れ晴れした気持ちになります。
P300 自殺未遂とか散々繰り返したけど、過剰に生きたいっていう自分がいるってことに気づいてますね。対人緊張があるのもなんでかというとだいたい欲望の裏返しなんで
P317 自分の力を信じて頑張って頑張って頑張り抜いてへとへとになっている人も多いと思います。そういう人は孤独です。本当に愛せる人がいないとひからびてしまいます。相手の中に自分自身を見ることができれば、その人を本当に愛するようになります。そして孤独ではなくなり、うきうきした気分になり、まわりにもいい影響を与えます。愛する人がいればそれで十分です。そのことに真剣になれば後のことはいい加減でもいいのではないかと思っています。
P324 決して負け惜しみではありませんー人生も勝ち負けではないことも、体で知るようになった。あくまでも勝ち負けにこだわるならば、どのような状況であれ、窓を開けた時にふっと入り込んできた小さな風に気持ちよさを感じられることができれば、その人の人生、勝ちである。(役者永沢光雄)
P331 私に自死するつもりはありませんし、多分しないでしょう。けれども「死」が向こうからやってきたら甘んじて受けるつもりです。(永沢氏)</blockquote> -
2022年4月13日読了
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人の生き死にに興味があったのと、読書会で紹介されていたので読んでみた。
著者は今70代。昭和の時代に多額の借金を背負い、ギャンブルに手を出し、同時に複数の女性と付き合い、生きてきた人。
読書会でこの本を紹介してくれたのが20代の女の子で、「こんなクズみたいな生き方しても、生きてていんだな〜って思えた」と言っていて(笑)昭和を知らない世代からしたらそうよね。
今の時代は良くも悪くもキレイすぎるのかもなと。
著者のような人に関わって振り回されるのはゴメンだけどwでも、そんなでも、どうにかなるよ、ダメダメでも生きてていーんだよ、と、生きづらさを感じている人に伝わればいいなと思う。
自死した家族の心のケアも、忘れてはいけない問題。
著者の母は、自身の病気を苦にダイナマイト心中したそうだけど、昭和と令和ではきっと自殺の原因も微妙に変わってきているのではないかな。
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すえいあきらさん 知らなかったけど、面白い人だった
樹海の話が怖かった -
タイトルと表紙から、もっと重々しい内容が連想されたが、末井氏の自伝的内容に自殺というテーマを取り入れながら、軽快なトーンで語られていた。エッセイといってよいだろう。自分のダメな部分をさらけ出すことが全体を支配している。ちゃんとした仕事や成果もたくさんあるだろうが、それらにはあまり触れられていない。