- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255009056
作品紹介・あらすじ
つねにネットに接続し、皮膚感覚を失っていく私たち。
さわってないのに、わかったつもりになっていませんか?
・触覚の錯覚は50種類超!
・さわり心地が思考をつくる?
・握手をするとき、握っている? 握られている?
私が感じている「触感」を記録・再生して、だれかに伝える。そんな装置を開発した著者が、触感の科学からモノ、心、身体、アートまで、忘れられている「触感の世界」をご案内します。
私が感じる「この感覚」のふしぎに、目をひらく――触感テクノロジーの最前線!
この本は、触れるということの面白さを、だれでも気軽に試せる「問い」の形で紹介してゆきます。触感を意識化するための実践トレーニングや、身体を動かして試してもらう項目もあります。(…)本書を読んでいるみなさんが自分自身で感じながら考える、能動的に遊べる本として使っていただければと思います。(「はじめに」より)
触感により引き起こされる情動は、理屈を超えた実感として、私たちの深いところに届く(…)それは、この世界に受け入れられているという感覚をもたらし、私たちの毎日を支えるものになるでしょう。(終章より)
★14ページにわたる「触感年表」(監修:山本貴光)を収録!
★本書の内容の一部
・もしも触覚がなくなったらどうなる?
・人に信頼してもらうには、手があたたかい方がいい?
・ノイズがあったほうが感覚がするどくなる?
・目の見えない人が描いた触感の絵?
・触覚は「五感の交差点」?
・心が「ざらざら」するとき、実際に触感としてざらざらを感じている?
・テディベアに触れると死への恐怖がやわらぐ?
・他人の身体に起きた触覚を自分のものとして感じられる?
・周辺視野を指でたどると、身体感覚が拡張する?
・おでこが網膜の代わりになる?
感想・レビュー・書評
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非常に興味深い本でした。
何気なく人の肩に触れたり、握手したり、ハグしたりすることや、面と向かって誰かと会って話した時の「物理的な実感」をもっと大事にしたいと思えるようになりました。
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・・・私たちが当たり前の自然な感覚だと思っているものは、すでに技術によって拡張された後の感覚なのかもしれません。・・・例えば精製された砂糖の甘さなどの例などを見ても、私たちは一昔前だったら考えられないほど、感覚が拡張された世界に生きている
「触覚とは、やはりどこかで、私たちを他者と隔てながらも私たちを守り慰める、最後の一線になっているように思います」
人間が深く自分の存在を確かめたい時に、触覚が大事にな流のではないだろうか・・・「触れる」ことが、完全に心の接触となっているから、我々も心を動かされるのだ。
触れることで現れる、情動的な現実感。
様々な情報科技術が発展し、ものと情報の垣根がなくなろうとしている21世紀、これから必要とされているのは、触感を伴った体験だと思います。
ーーーーーーーーーー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
触角年表 が時代ごとに俯瞰できてとても良い。五感のうちどれがなくなったら一番嫌やろう?と、ふと思う。そんなあたしに、ぴったりの本だった... まだまだ読み込めていないけど、既に★5 https://twitter.com/sxm583/status/486458097230032897?s=21
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皮膚感覚とは違うけれど、歯や粘膜を介しての接触感覚を調整することが歯医者としての仕事の一部となっている。
触覚がなくなる=インプラントであったり、様々なテクスチャが食事の際の粘膜刺激であったりと自分の仕事に引き寄せて読んだことで、自分の中で上手くまとめられていなかったモヤモヤの正体が少しみえた気がする。
上手く咀嚼できないという感覚はどのようなオノマトペになるのであろうか?そして、そのオノマトペは他に何と繋がるのであろうか?考えてみたけれど、しっくり来る答えが出てこないので今後の課題。 -
もっとも根源的な感覚は、触覚である。
(赤ちゃんの知覚)
母体の中は暗闇なのだから、まあ当然のことです。
しかし、大人になると、触覚が退化(?)し、視覚聴覚優位となります。
私たちは、触覚という感覚を通して、忘れてしまった過去の歴史を発掘する作業をしなければいけません。
視覚は攻撃的な側面もある(何も考えずに見ているときでさえ、見られる側は何かのメッセージを受け取っていることもある)のだけれども、触覚は情報として伝えることが容易ではない感覚のため、そのさわり心地を言語化してみることが大切です。
そうすることによって、多くの感覚を発見することができる訳です。
そのためのアイデアがいっぱい詰まっている本です。また、たくさんのイラストが、イメージを膨らます手助けとなってくれることでしょう。 -
触覚にまつわる科学の話。読みやすい。
触れるとはどういうことかをわかりやすく解説してくれて、五感すべてで触れているという事実が腑に落ちていく。
メディアの発達が目覚ましい反面、コミュニティやワークショップなど実際に会うことが重要視されている理由も納得。同じ空間にいることが、振動になって触れているんだな。そしてそれは自分の輪郭をとることなんだ。
最視聴覚メディアはきっと触覚を取り入れてさらに進化するだろうな。という展望もみえ、終始興味深い一冊。 -
触ることに対して諸々の知見を得られて良かった
触覚も、味覚と同様にマルチセンサリーなものである -
対象を捉えるのに、ヒトは、5感によって齎された情報を繋ぎ合わせてパッケージすることで体の中に情報としてインプットしている。反対に、それを取り出すときには、パッケージされた情報のただ一部に触れるだけでも、対象が自然と浮かび上がってきて、認識することができるようになる。ヒトが作り上げていく世界は、そうやって情報を蓄積していくことで、対象とその情報を適切に認識できるようになることで、生きるために必要な反応を起こし、対応を生み出すことができるこの体によって、表されていく。
自分と世界とがある。自分という側と世界という側があるということを知るために、大きく働いているのが「触れる」ということではないか。存在というものを見出すのに、触れることができるという反応を得ることで、実在するということの意味が分かるようになる。その感覚が「見える」ということと繋がり、ほかにも「聞こえる」や「味わう」、「匂いがする」ということがあることも知って、そのどれもが対象なんだと理解することで、情報がヒトの躰に蓄えられていく。
氷を見れば、その固さや冷たさ、触れたときの皮膚にくっついてくるイメージ、口にほうったときの舌の反応や、噛み砕いたときのこめかみに走るキーンとかだって、ヒンヤリとか、ガリガリとかの音だってまるで聞くことができる。それぞれの認識は繋がっているということだから、それを取り出すときには、検索するときには、全部を捉えなくても一部だけの情報から、引っ張り出すことができるという仕組みだ。ショートカットが出来上がるということだ。その効率性は、ヒトが安全に安心に世界と向き合うことができるようにし、生命的にもエネルギー的にも望む方向として合理的なシステムとして作り上げてきたものだろうけど、そこには省かれてしまうものが沢山あるのだということも、簡単に理解できるだろう。
ある機能が損なわれたときに、例えば視覚が失われたときに、ヒトは残された方法でそれを補おうとする。見えないことを、手を探り踏むことや、耳をすませることで、世界がどう広がっているのかをもう一度認識できるようにしていく。世界は再構築されるということで、ヒトの躰はそれができるのだ。そうしてみると、世界はまるでひとつの姿をしていないことに気づく。その当たり前のことを確認することができる。一つでなくていいということではなくて、一つなんかでは決してありえないということを理解できるということだ。僕たちがいま手に入れているこの世界に対して、そうではなく、それ以外として圧倒的に広がっていく世界の存在の仕方を想像できるということは、生きるということのためにこれからますます必要になってくることではないだろうか。
このようなヒトが世界を認識する仕組みにおいて、そのシステムを解読し、テクノロジーとして、損なわれたものを補う技術が作られたり、省かれてしまう情報をもう一度ヒトに振り戻して捉え直させることである範囲で認識の広がりや深さを拡張させて、捉え方を刷新させるような方法が研究されている。そのような先端の取り組みによらなくても、普段の中でだれでもが、感覚というものにちょっと意識を向けるだけで、世界が少しだけ広がるのだということも描かれている。見えるだけで分かった気になる。知っているだけでそれで十分だと思ってしまう。ただただ反応するだけで毎日を生きることが当たり前になってしまうけれど、そうではないこともあるのだと、そうではないことのほうが圧倒的で、それに意識を向けるだけで、簡単に「新しい世界」は表れてくるのだということこそ、常に自分のそばに置いておきたい「意識」だと思う。 -
伊藤亜紗さんの「手の倫理」で知り、読んでみた
めちゃくちゃ面白かった
まさに入門編ですが、触覚の未開拓の広さ、そしてまたもやアリストテレスなんですが、あいつすげーなーほんと
アリストテレスを超克することにほとんどの現代科学の端緒はある
期待大
なんか関わりたい -
触感は触り方で左右される。
握っているか握られているか。
いろんな触感を楽しむ。分類してみる。
五感の複合体験。
目で見て、触れてみる。
指先を人は注目してしまう。
指先だけでなく、いろんな場所で食感を感じてみる。
心を落ち着かせる触感のお守りを作る。
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