大人の発達障害ってそういうことだったのか

  • 医学書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260018104

作品紹介・あらすじ

大人の精神科医×子どもの精神科医。専門の異なる2人の臨床家が大人の発達障害についてとことん語り合った至極の対談録。

感想・レビュー・書評

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  • 大人の発達障害について詳しく書かれている本はあまりなく、大人の精神科医と児童精神医との対談でとても面白かった。
    子供も大人も共通するが、発達障害の人を見つけるには、何気ない会話の中から、社会性、イマジネーション、コミュニケーションのいずれかの能力が低いことを認知することから始まりで、まずは気づくことが非常に大事。
    精神科にかかっている病気は統合失調症やうつ病、強迫性障害など様々あるが発達障害を誤診されていたり、合併することもあり見逃されているケースは少なくないそう。
    発達障害の人は非常に社会で生きづらいことも多く、まずはそれに気づき、治療ではなく、その性格に合わせた生き方をアドバイスしてくれる人の存在が重要だと感じた。

  • 大人の精神科医と、子どもの精神科医による、「大人の発達障害」についての対談。

    ソーシャルワーカーとして「大人の発達障害」の対応をすることが増えてきたため手に取りました。

    精神科医の先生が、どのように発達障害を見ているのかが対談形式で語られていくため、とても読みやすかったです。折々で読み返していくと良いのかなと思いました。

  • 医学書だが、平易で対談形式なので読むことはできる。ただ専門用語は頻発する。
    発達障害についての一般書は数多いが、どれも似たようなところにとどまっているところがあり、診断としてどういうところがみられるのか、特徴と呼ばれるものは何なのか、ははっきりしないパターンが多い。そのかわり平易で対応方に充実してはいるが、基礎知識を得るにはこの本がとても良かった。
    特に性差に関する記述についてはものすごく参考になり、自分が腑に落ちない部分が少し紐解けたように思う。
    ただやはり専門性が高いので、発達障害についてよくわからないというところに居るのであれば新書などの一般書から入った方が無難。

  • 2021.3.3 M3福井が借りました
    2022.9.14 塚田先生に貸し出し中です

  • わー、結構初めて情報とか膝を打つ言葉あってよかったです。
    「手首切って薬飲んだらボーダーと診断出す医者があるが慢性的空虚もODもASDにも見られることで、ボーダーの典型例は「今から死にます、場所は教えません」と電話かけて意図的に人を動けなくするような操作性です、意図的な操作性はサイコパシーやボーダー、無意図の操作性はASD」ってのはあーーー!とめっちゃ腑に落ちる、うんうん。

  • 専門医の対談形式で、読みやすい。
    わかりやすいけれど、何度か読まないと
    理解できないかも。

  • 発達障害と誤診されやすい病気がこんなにもある。またDSMの診断基準や診察方法にも疑問を呈している。
    ある程度発達障害の本を読んだことがある人向け。

  • 最近発達障害が流行りで、多くの本が出版されていますが、医療者に向けての本で、また対談形式をとっているので、読みやすいと思います。アスペルガーなどの発達障害に関しては、成人例が多くいることが、明らかになっており、今後の対応が重要でしょうし、また精神科以外でも出会う可能性が高いでしょうから、整理の意味でよいと思います。しかし、ジンプレックス、へボイドなど、専門の通称みたいな言葉が出て来る部分もあり、その部分は専門家以外は分かりにくいと思います。かなりニュアンスのような部分がありそうですので・・・。内容としては、目新しいことはないかもしれませんが、対談形式で、普通の本では、書かれないような部分までか書かれているような感じで、いいと思います。

  •  入院中に家族から暇つぶしに読んだら…とわたされた。
    発行が2013年であり2012年に対談した内容とすると、本年が2014年なのでひと回り前にまだ大人の発達障害についてこのように議論されていたのだとなかなか興味深く読ませていただいた。
     確か15年以上前になるか、通常のうつ病のように薬物療法が効かない若年者のうつを「新型うつ」なんて呼んでいたと記憶している。やはり本人特性(発達障害)を背景としたうつ症状が増えてきていたんだな。当時は専門家でもこのような議論をしていたのだ…。新たな知見を学ぶというよりは、今振り返って当時の新たな疾病概念についてない貴重な記録として価値がある一冊だ。

  • 2013年に発売されている本とだけあって、2022年現在出ている図書の方が詳しく解説されている感じがある。ただ、2013年現在だと、この本は画期的な一冊だったのだと感じる。

    p.24 カナ―&アイゼンバーグの診断基準
    ①他者との情緒的接触の重篤な欠如
    ②物事をいつも同じままにしておこうとする強い欲求
    ③ものに対する強い関心、ものを器用に扱うこと
    ④言葉がないか、オウム返しなどのコミュニケーションには役立たない言葉の使い方
    ⑤知的な顔立ち、特殊領域での優秀さ
    の5項目からなる自閉症の診断基準

    p.34 症状の特徴
    ・同年代の友人とうまく付き合えない
    ・社会性の問題が最も大きい
    ・異性との付き合い方が下手
    ・エキセントリックな印象、強迫的
    ・迷信やルーチンに縛られやすい
    ・着脱や身だしなみに問題があることも多い
    ・特定のことに関心がある。いわゆるオタク
    ・話し方が不自然(ペダンティック、文化的、モノトーンなど)
    ・非言語性コミニケーションに問題がある
    ・非常識な行動を悪気なくやってしまうことが多い
    ・能力の凹凸が多い
    ・思考障害や思考途絶に見えることもある

    p.36 子供の症状の特徴
    ・同年代の子供とごっこ遊びができない
    ・グループの中に入れない。いじめられる
    ・孤立が好き
    ・突飛な行動をとる
    ・奇妙でエキセントリック
    ・ものを並べたり、非常にオタク的な興味を持つ
    ・強い関心
    ・非言語性コミュニケーションが乏しい
    ・発達の凹凸は大人より目立つ

    p.128 発達障害の現在症と言うのは、社会性、コミニケーション、イマジネーションの障害+感覚過敏ですか。それでちょっと怪しい2つ3つ当てはまると思ったら次に発達歴を聞く

    p.147 女性に潜在例が多い理由
    ・行動がそれほど衝動的ではない
    ・ノーマルに振る舞えることが男性より上手
    ・暴力は多動などの問題行動はあまり起こさない
    ・主婦業の要求水準は社会に出て働くよりは低いため、症状が目立たない
    ・男性と同じ診断基準では見つけにくい。女性には女性の診断基準が必要である

    p.188 神経症うつ病と言う概念がなくなったから何か引き出しが必要になって、「新型うつ」と言い出したような面がある。良い入れ物がないから用意したのが新型うつだと思うんです。その中に、先生がおっしゃるように、「休め」と言われても「頑張れ」と言われても混乱する人がいますよね。

    「少し休みましょう」ではなくて、スケジュールを具体的に作ってあげないといけないんです。「この日は家でこれをやる」「この日は学校へ行こう」とか。そうしないと、ダラダラ過ごしちゃって、昼夜逆転みたいになり、どんどん悪くなっていきますから。そういった事は、うつ病のほうにあまり書いていないですよね。

    p.242 読みの障害とはどういうところですか。字が読めないのでしょうか。それとも読んでも理解できないのですか。

    いろいろなタイプがありますけど、例えば飛ばし読みするとか、1行抜かしちゃうとか。

    音読ができないのでしょうか。

    音読ができないこともありますよ。みんなの前で音読させると理解できないけど、黙読だったら理解できると言う子はいます。そういう子にとっては音読を無理強いされるのは非常に辛いことなのですね。黙読ならわかるのですからね。

    そうです。要するにメモリのキャパシティーが少ないんですよね。音読と言うのはすごくワーキングメモリを使うんです。音読大学でも語学の授業で音読させる先生がいますよね。それが辛くてその授業には出られないと言う学生もいます。できればやめて欲しいなと思います。学校は配慮してあげてほしいです。

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著者プロフィール

北里大学医学部精神科学教授

「2020年 『こころの科学215』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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