死と身体―コミュニケーションの磁場 (シリーズ ケアをひらく)

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  • 医学書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260333665

感想・レビュー・書評

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  • ・「理解できた」と思いこむ人間よりも「誤解したのではないか」という不安に駆られる人間のほうが、コミュニケーションにおいて本質的な経験をするだろう。(ラカン)

    ・夢は外界から到来して睡眠を妨げる刺激に対して、その刺激を鎮めて、睡眠を持続させるような「物語」をつくる機能がある。

    ・生命は危機的な局面に際会したとき、2つの選択肢のどちらかをとります。感覚を遮断するか、感覚を敏感にするか。

  • 「金継ぎ図書館」で紹介されていたので、気になって読んだ。
    著者のことをよくは知らない。知らないけど、自分の中の「なんとなく胡散臭い人物」というカテゴリーに入れてきた人。そういう感覚は割と当たる。

    著書は初めて読んだ。身体感覚を重視する、ということは、最近の関心ごとであり、共感する部分、腑に落ちるような部分もあるが、やはり全体的になぜだか癪に障る。ところどころ、詰めが甘いような気もするのは、講演を元にしたものだからしょうがないのだろうか。しかし、これで本にしようと決めたのは著者自身だろう。

    明確に腹が立ったのは、「ユダヤ人は世界一優秀な民族」という記述。本を投げ飛ばしたくなったが、図書館で借りた本だったので、我慢した。

    私の中の何が「嫌だ」と言っているのか、その理由は一体何なのか、まだよくわからないが、結局「やっぱり胡散臭い人物みたい」というカテゴリーの中に入れておく人。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/44914

  •  フランス文学者にして武道家である内田樹さんならではの言語教育論と武闘における身体性に基づくアイデアをもとにしたエッセイである。
     この本で思ったのは考えるとは脳を使って単に思考することではない。「腹落ちする」という身体性について目を向けようということだと思う。
     私自身は「手を動かす」ことを最近意識するようになった。その昔プログラミングを習いたての頃はコンピュータも非力だったこともあり設計した内容と主要コードは手書きしてそれを見ながらデバックまでしていた。
     コンピュータの能力が上がると手でことなしにコンピュータ上でワークフローは完結する。しかし、コードある程度入力する、コンパイル(人が読めるコードを機械用に変換することをコンピュータの業界ではこう言う)する、エラーがでる、修正する、コンパイル、実行する、うまくいかない、修正する、コンパイル、実行…と延々と繰り返し効率がすこぶるわるいい。
     結局手で紙に書いてそれを直した方が効率が良い。手を動かす(キーボードで打つではダメで手で書く・描く)=考えるなのだから。
     上記の経験を裏付ける事例が出てくるだけでなく、普段の自分なら知りえない情報もありとても参考になった。
     私自身はグラフィックレコーディング等会議の見える化という研修講座を作ったりもするのだがレヴィ=ストロースの構造主義などに触れるきっかけや講座におけるいくつかのアイデア(緋色の研究の研究、等)は拝借させていただくなど非常にお世話になっている。この場を借りてお礼を申し上げたい。

  • 内田先生の本をほとんど読んでいるつもりであるが、まだまだ読めていない本はある。2004年か。私はまだ内田先生を知らなかった。いつから読むようになったのか。2006年頃かなぁ。
    17年後に読んだ今、「変わっておられない」と思うのは失礼なのかどうなのか⁉︎17年前から待っていてくださった⁉︎
    時間が逆に流れる話が書かれていたが、ちょっと関係ある?ないかな。でも、私の知らない時から知っていた感じがする。(何を書いているのか、私)。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00119866

  • どっかで一回読んだなー、という内容もあった。『先生はえらい』だっけかな?奥義伝授の話。そりゃそうだ、初版が2004年だった。内田先生は常々、違うこといってると思わせといて全部同じ話、っていう論法をとられているから、既視感あるのは正解なのかな。うん、たぶん、そうだ。
    面白かったのは、過去は未来によって作られる、っていう話。それから、居着く、の話。うんうん、そうだなって思いながら読んだ。でも、わかった気にならないように、注意、注意。「わかった!」は思考停止のフレーズだから。
    やっぱり、定期的に内田先生の話を読むと、身心が整って呼吸が深くなる。ありがたい。

  • タイトルにあるような死についての記載がなかなか始まらずに、読み初めは少しもどかしさを感じていた。

    読み進めれば進むほど、面白さが出てきた。どんどんハマっていってしまう。


    クライマックスは、死者がいると言う言葉にあるように、生と死を宙ぶらりんにしておく、ということ。
    それが人間らしさの原因か結果かはわからないけれども、宙ぶらりんにしておける、そのことが、ヒトが人であるのかもしれない。

    言葉を発した時、発する前、どちらもその時点で言葉は出ていないし正確ではない。そんな言葉を紡ぐことができる著者を尊敬てしまう。

  • 39 超絶名著

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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