- Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265010585
作品紹介・あらすじ
撃つものと撃たれるものの因果な関係にありながら、心の深いところでかなしく結ばれる小十郎とくまを描く名作「なめとこ山のくま」のほか、賢治の愛した岩手の風土が色に濃くあらわれる作品8編を収める。巻末に堀尾青史氏による詳細な解説を付記。
感想・レビュー・書評
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「坂本和子 朗読選集2 宮澤賢治」
Disc1 なめとこ山の熊
見所は、不誠実な町の商人と、誠実な熊との対比かな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
賢治の世界観は他の作家には変えがたい
なめとこ山の熊は、自然と猟師と人の立場を越えた交流の話だと思う。 -
「なめとこ山のくま」を読み返すと、いつも動物愛護運動が脳裏をよぎる。
何ならば食っていいとか、悪いとか。
自分は1985年、昭和の終りに生まれた。近代化に取り残された田舎だったため、普通に庭先で鶏を潰していた。うちの地方では解体作業を「潰す」と言っていた。きっと、罪悪感は今なお消えていないので、あえて殺すことを無機的に「潰す」というようになったのだと思う。はじめて目の前で「潰す」作業を見た時はショックだった。段々と慣れていったが、初めて見た衝撃はきっと忘れない。ただこれだけはいつも思う。スーパーで「パック詰めされた」「衛生的な」鶏肉が整然と並んでいて「グラム当たり何円」という表示がされているほうがずっとずっと残酷だと。
撃つほうも、撃たれるほうも命がけな「野蛮さ」を忘れてはもはや生物といえないのではなかろうか。自らの行動のみを「文化」とよび、他の動物の行動を「本能」とよぶ傲慢さ。