アラルエン戦記 (4) 銀葉 (アラルエン戦記 4)

  • 岩崎書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265050840

作品紹介・あらすじ

全世界750万部をこえる大ヒット!<br>ウィルとエヴァンリンはホールトとホラスと再会できたが、直後に謎の騎馬集団の戦いに巻きこまれてしまう。ホールトはレンジャーの印「銀のオークの葉」を取り戻せるのか?

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ4巻。

    3巻が忍耐の3巻だった故に、4巻でどう動くのかなと思っていたが、想像以上に事態が動いたことに驚きを隠せない。

    しかし何と言っても4巻の総括は、『おっさんがいい。』である。言わずもがなのホールト先生だが、2巻からすでに少しずつ気になっていたエラクの存在がどんどん大きくなってきて、4巻ではなくてはならない存在になっている。
    そのホールトとエラクのやりとりも好き。
    最初クソだなと思っていたオベリャールのラグナックも、なんだかんだ最後は格好いい。(というか怖い強い)

    エラクはいい人(?)だが、どこまで行ってもスカンディア人といった感じがまたよい。
    国によって考え方も慣習も誇りも大事なものも違う。それは今の世でももちろん同じである。私はそのことをよく忘れてしまうけれど、それは、他国の他地域の人間と交流する際には必ず覚えて置かなければならないことである。

    スカンディア人は略奪と戦いの民である。それも、徒党を組んだり戦略を持ったりはしない。常に1対1の一騎打ちである。
    その海賊の国スカンディアに忍び込む怪しい影。
    物語は新たな敵の登場で一変する。

    ところで、この物語のタイトルは『アラルエン戦記』である。戦記というからには、戦闘の物語なのだ。
    1巻の感想で、敵が人外だからよかった、という感想を見たが、4巻では敵はもはや人外ではない。
    普通に、人間の戦争の物語だ。
    私は戦闘の物語を読みたいわけではなかったので、途中の戦闘のシーンでは想像力を酷使して戦闘シーンを思い描いたが、男子だったら容易いだろうか、入りやすいだろうか。
    戦争では、敵も味方もどんどん死んでいく。
    主人公たちは死なないだろうと読み手は高を括っているが、そのすぐわきでは、主人公と多少なりともかかわりがあったであろうモブがどんどんとその命を失っていく。そうか、これはアラルエンの戦記なのだ、と唐突に思った。(この場はアラルエンではなかったが。)
    うら若きレンジャーのウィルと騎士見習のホラスも、その手で敵を倒すのだ。
    現代日本とはあまりに違う現実に、思わずそのことについて考えてしまった。

    3巻に引き続き、エヴァンリンの勇気と活躍がすごい。
    この人は本当に王女なのだろうか。幼少から籠の中で純粋培養されてきた人物とは思えない思い切りと行動力と忍耐力である。

    弓の勘を取り戻したウィルと、ホラスももちろん活躍する。
    だがそれにしても、おっさん二人がよい。(冒頭に戻る。)

    いつでも、絶妙なタイミングで現れるホールトの格好良さよ。彼が与える揺るぎない信頼と安心感よ。そして、皮肉な物言いの中に見えるユーモアと愛情よ。
    一方、エラクのスカンディア人らしい手荒い愚直さも、なんだか憎めず愛おしい。

    条約に署名する権限を巡る話の帰着点もよい。
    三週間を巡る顛末も、よい。

    どうして4巻のタイトルは銀葉なのかと思った。
    途中、1~3巻に比べて、4巻の内容と銀葉はあまり結びつきがあるように思えなかった。最後になって、その謎が解ける。
    ホールトは、レンジャーという資格を取り上げられることを簡単に考えていたわけではなかった。もちろんレンジャーであることは彼にとって何物にも代えがたい誇りだったはずだから。
    けれど、それでもそれを手放しても構わないと思うほどに、ウィルのことを大事に思っていたのだろう。
    そのようなことを考えると、この1年に渡る壮大な旅が、また違ったものに見えてくる。
    つまり、ホールトが、オークの葉を手放してから、またそれを取り戻すまでの物語は。

    とは言え、変わってしまうものもある。
    最後のエヴァンリンの涙は切ない。
    いずれまた、今とは違った心持で対峙できる時が来るだろうか。

  • 3巻でやっと正気を取り戻したウィルだが、エヴァンリンが別の集団にさらわれる。まだ麻薬の後遺症で体力の戻ってないウィルだが、救出に向かう。絶望寸前のいわゆるヒーロー出現タイミングでもちろんホールトとホイトが助けにきて、前半終了。超ほっとする。が、今度はエヴァンリンをさらったのがテムジャイという別の国の兵隊で、スカンディアを侵略しにきているという情報を掴んだウィルたちが、エラクと助け合ってスカンディアの危機を救う。この戦いも非常に飲みごたえあり。で、最後はもちろん大団円。有り体に言えば、ベタな展開でベタな話だが、この安心感は麻薬的。訳も非常に良いと思う。

  • ウィルとエヴァンリンがホールトとホラスと再会する行では、涙が出ました。
    エヴァンリンの孤独な戦いが報われた瞬間。がんばったね、と偉かったね(と、もはやわたしは彼女らのおかあちゃんか)
    それから前巻でいい役だったエラクが再登場してくれて、ファンとしては嬉しさも倍増!

    彼らを取り巻く環境は、まだまだ安心とは行かないようですが、失われたウィルの体力を取りもどしつつ、孤独でないというのは、なんと心強いことだろうか。

    ウイルとエヴァンリンのすれ違いは、ただただ切ない。

  • みんなよく頑張った!!!すばらし!
    感動しちゃったよ
    ホラスのいい人ぶりがいっそにくい
    エラクにもかんどう
    海賊ラグナックの勇猛果敢さにも!!

  • 第一部完・・・というところかな。
    ウィル達にホールトが合流したことで安心感が出て、戦闘時のウィル、ホラス、カサンドラ王女の活躍は素晴らしかった。
    ただ最後にウィルとカサンドラ王女がすれちがってしまったことが残念。これが今後にどのように影響するんだろう。次巻が楽しみ。

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著者プロフィール

【ジョン・フラナガン・作】  オーストラリアを代表するファンタジー作家。テレビシリーズの脚本家として活躍中の1990年代、12歳の息子のために物語を書き始める。その物語をふくらませ、本シリーズの第一作目として2004年より刊行。シリーズを通してニューヨーク・タイムズベストセラーに60週連続ランクインするなど、たちまち人気を不動のものとする。本シリーズのほか、"Brotherhood"シリーズを執筆中。シドニー在住。

「2014年 『攻城』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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