怪談えほん (6) かがみのなか

著者 :
制作 : 東 雅夫 
  • 岩崎書店
3.48
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本棚登録 : 541
感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265079568

作品紹介・あらすじ

怪談えほんシリーズ〈第2期〉、恩田陸と樋口佳絵が描く身近にひそむ恐怖の世界。
いえでもまちでも、見ない日はないかがみ。かがみのなかはいつもあべこべ。少女とかがみをめぐるふしぎなお話。かがみを見るたびにふしぎな気持ちとこわさがよみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 恩田陸!いかにも!鏡の中に取り込まれると怖い。絵も不気味。

  • どこにでもある鏡。
    それは、家の中にもあり外でも目にする。
    そして、学校にもある。
    いつもじっと見つめてくるのは自分。
    自分だけ。
    左手を出せば右手を出す。いつもあべこべ。
    だけど まちがえる。
    だれかがいる。
    それは、とても楽しそうでいつもの自分じゃない。
    だれ。
    だれかが呼んでる。



    鏡の不思議を思う。
    まるで引き寄せられるような魔法のようなもの。

    鏡の中の自分は自分でなくて…。
    いや、それがほんとうの自分なのか。
    わからなくなっている。
    こんな自分が嫌だから、違う自分が現れたのか…。
    もともとの自分なのか。

    つまり凝視できないもの。
    それは、自分に自信がないからなのかもしれない。

  • 2014年発表。

    当代の人気作家が
    子ども向けの「怖い」絵本に挑戦する画期的な企画
    『怪談えほん』シリーズ第6弾。



    子供の頃、鏡が怖かった。
    (鏡が異世界への扉だと知るまだ前の話だけど)

    洗面所、お店の中、自動車が行き交う道路、学校の中などいろいろなところに
    そいつはあって、
    給食のスプーンにだって自分の顔が映る不思議。
    夜、お風呂場で頭を洗っていたら、
    必ず後ろに誰かの気配を感じて怖かったのも覚えている(汗)
    本当に何度振り返ったことか。
    そのときも鏡の中に違う自分が映っているのが怖くて
    お風呂場の鏡は絶対見れなかったし、
    誰もいない部屋にいても、
    鏡のある部屋ではどこか見られているという感覚がつきまとう。
    (合わせ鏡や未来の自分が映る三面鏡のウワサなど、鏡への恐怖を人は生れながらにして持っているのか?)

    そう、『恐怖』とは、
    身近な日常の中に潜むものなのだ。



    この絵本に登場する小学生の少女も
    なんとな~く鏡という存在に得体の知れない怖さや不気味さを感じ、常に意識してしまう。

    少女が右手を挙げれば鏡の中の自分は左手を挙げ、
    少女が左手を挙げれば鏡の中の自分は右手を挙げる。
    鏡の中はいつもあべこべの世界。
    (そして、鏡を背にした少女に鏡の中から青い手が出てきて引きこもうとする、樋口佳絵が描く絵が本当に怖い!)

    無数の白い蝶々が飛び交っている鏡の中の世界。
    沢山の子供たちが大人の知らないところで鏡の中に引きずり込まれている。
    それを知った少女は鏡の中の世界になんの違和感も感じなくなってしまう。

    そして次第に鏡の中の世界に魅せられていく少女の絵に震えが走る。
    鏡に映る自分、つまり鏡の中の自分とは
    人の中に巣食う『悪の心』なのだろうか。

    漫画『ドラえもん』第1巻に出てくる『かげがり』の中で
    のび太の影がのび太の体を乗っ取ってしまう話を彷彿とさせる
    ラスト3ページの戦慄ときたら!


    最近、子どもの本から
    怖い話が消えつつあるらしい。
    こんな本、子供になんか見せられないと言う、
    親たちの顔が目に浮かぶ。

    しかし、思い出してほしい。
    昔の童話は実は残酷なものが多かった。
    子供が食べられたり、
    おばあさんを殺したり、
    友達を裏切ったり、
    そんなトラウマになるようなダークな部分を避けずに描いているからこそ、
    直感的にそれはやってはいけないことだと子供ながらに理解するし、強烈なインパクトとなって記憶に残るのだ。 
    (NHKで観た水たまりを越えるのにパンを踏み台にして地獄に落ちた女の子の話で、アンデルセンの『パンを踏んだ娘』の怖さよ)

    僕自身、以前、引きこもりの子供たちに教えるボランティアをしていたのだけど、
    今の教え方は、
    人間の嫌な部分は隠して子供に見せないやり方が殆どだから、
    逆にある程度の年齢で、それを知ってしまった時に
    耐性がない分ダークな部分に
    余計に惹かれたり、 魅入られてしまう危険性がある。

    だから本当は隠しちゃいけないのだ。
    ありのままを見せた上で
    なぜいけないのかを
    ちゃんと説明することが大切なんだと思う。

    実は『恐怖』という感情こそが人間の想像力を広げ、
    他人の痛みを理解し、
    考えることのできる頭を作っていく。

    本当に大事なのは
    悪いことから目を逸らして避けていく人生ではなく、
    目を見開いて正しい知識を知って、
    怒りを持って
    『NO!』と言える生き方を
    教えていくことなのではないだろうか。

    そういう意味でもこの怪談シリーズは
    これからも続けていって欲しいし、
    応援していきたい
    意味も意義もある企画だと思う。

  • 〝家の中にもある。お店の中にも、街角にもいっぱい。思いがけない処にもある。見ない日はない「かがみ」...右手を出せば、左手を出す。左手を出せば、右手を出すいつもあべこべ... だけど、時々まちがえる、時々嘘をつく...〟少女が「かがみ」を見るたびに、不安な気持ちになるホラ-なお話絵本。<恩田陸>さんと<樋口佳絵>さんが囁きかける、身近に潜む恐怖の世界への招待状。

  • 恩田さんの白の劇場で絵本もあると知って手に取りました。

    鏡は昼間でも怖いものかもしれない。
    樋口佳絵さんの絵がとにかく怖い。こんな雰囲気の絵を描く人らしいですが、物語がつくとよけい怖くなる。

    夜に読み聞かせしましたが、読むのは昼間が良いかも。
    小さなこども向きではないと思います。意味がわかるとよけい怖いです。
    絵と文章がおりなす怖い世界を覗きたい人にはおすすめ。特に暑い夏にぴったり。

    他の怪談えほんもあるので、夏のうちに読みたいと思いました。

  • 子供の頃、想像したことがある。鏡の向こうは別の世界が広がっていて、私とよく似た別の人が同じように暮らしているんじゃないかって。この絵本でそれを思い出したのですけど、何これ怖い。ラストの「ただいま」の破壊力たるやすごい。そして、モンシロチョウも。これは、しばらく夜中に鏡、覗けませんね。この必要最小限の文章に載せられた絵が怖さをあおります。

  • 鏡の中の自分?の目と口が怖い。
    あと、なんでモンシロチョウいるの?
    絶対子供向けじゃない…。

  • 衝撃的!
    もうトラウマ。
    いやね、モンシロチョウを食べてるページの
    怖さといったら!
    怖いのが苦手な子には注意してください…

  • 怖い〜しばらく学校の鏡見たくない。

  • 恩田さんの文章だけでも怖いのに…
    こんなの小さい頃に読んでたら本気のトラウマだ。
    鏡の中に誰かを見つけたら、その時あなたもその中のものに見つかっている。というような一文がぞっとする。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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