うさぎ屋のひみつ (現代の創作児童文学4)

著者 :
  • 岩崎書店
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本棚登録 : 109
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265928361

感想・レビュー・書評

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  • 海と青硝子さんの本棚から図書館予約
    あー、安房直子さんだ
    50歳というお若さで逝ってしまわれた
    「きつねの窓」がとても印象的で
    他の児童文学もちょこちょこ読んだ

    この本も4作品が収められている
    独特のこの世界と他の世界のはざまのような空間
    あわあわとした……
    お名前ではないけれど
    ひとときそこに身を置いてさまよう
    胸が痛くなることも起こるけれど
    でも、児童書『行きて帰りし』物語
    ほっと安堵して本を閉じる
    ずいぶん懐かしい本になってしまったけれど
    今育ちゆくお子たちにも是非読んでほしいな

    ≪ 包み込む うさぎも星も やわらかく ≫

  • なかなかシュールな童話です(・ω・)

  • 著者の描写する物語の町の情景や風景は異国情緒が漂うのにそれでいて懐かしいような、古いけれど新しい外国のようですぐ隣の町のような不思議な世界観に満ちている。

    登場人物、登場するもの言う動物たちが大人でも子供でも不思議な背徳のような好奇心のような攻撃心のようなスリルに満ちている。
    「~してはならない」とハッキリさせるのでもない。善悪の区別も曖昧だけれど、胸の真ん中にキュッとした痛みを感じさせる作品ばかり。
    「きつねの窓」以外、読んだことはなかったけれど、因果応報的に物語が収束するわけではない不思議な安堵がもたらされる。
    こんな作品にたくさん出会えた子どもは幸いなり。もの言う猫やウサギに会いたい。

  • 不思議な作品を読んでみたくて手に取りました。
    4つのお話が入った短編集です。
    児童文学らしい柔らかな言葉選びで、懐かしい気持ちになれます。

  • 児童小説。一話目の奥様。

    夫が会社に行った後、
    掃除も片付けもめんどくさい、
    本を読んだり、手芸をしたりしています。

    そして、毎日、夕方にああ、晩御飯作らなきゃ、と思うのです。

    この奥様、私かと思ったよ。

    アクセサリー月に一つで毎夕食事を配達する、
    といううさぎの営業にのったのは奥様。

    なのに、アクセサリーを巻き上げられてる!って思い、
    うさぎから指輪を取り返そうとする。

    ええええっ、逆切れ?

    結末は思ってたようなブラックではなかったけど、
    なかなかシュールな短編集。

  • 「星のおはじき」が最も心に残った。辛い環境なのに一生懸命明るく生きようとしている「わたし」。あやちゃんのひどい言葉に「心の中がすうっと青く」なり「指先が凍ってゆく」…。「わたし」がしたことはいけないことかもしれない。だけど正直に謝ってすっきり仲良しなんて結末は彼女にはない。常に正しくあれ。子供はそう厳しく教えられるけど、こういう結末もあっていいんだよね。逃げてもいいんだよ、もう十分頑張ってる、苦しみを手放しなさい。なんて救いのある結末なんだろう。

  • 不思議な話の短編集。
    最初の「うさぎ屋のひみつ」で雰囲気が民話っぽいなと思った。
    ラプンツェルとかその辺り。
    「サフランの物語」は雪の女王の花園っぽい。

    最初は不思議な力を持った人外がずるい人のわがままによって割を食う話なのかなと思った。
    それから、ああこれは弱い人が荷物を少し肩代わりしてもらう話なんだなと思った。
    荷物を受け取る側が好むと好まざるにかかわらず。押し付けか自発的手助けかもかかわらず。

    みんななんとなく物悲しくて、言葉もストーリーも美しい。
    ロールキャベツやらプリンやら、食べ物がおいしそう。

  • どの話も、幸せを感じる一方で悲しさや寂しさも感じる。
    誰かの願いが叶うころ他の誰かは泣いているよ…って宇多田ヒカルも言ってたよ。

  • 小学校の頃読んだ不思議な児童文学。うさぎと奥さんの悲しいような奇妙な駆け引き。画家の寂しさ。そういう断片的な記憶ですがすごく印象深い本でした。食事の配達サービスというものが現実にあると知ったのはこの本を忘れた頃のことです。

  • この本に出てくる料理が美味しそうで美味しそうで。
    ロールキャベツといったら真っ先に思い出すのがこの本です。
    魔法の調味料で作った料理、一回食べてみたいなあ。

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著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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