ルードウィヒB

著者 :
  • 潮出版社
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本棚登録 : 61
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267012105

感想・レビュー・書評

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  • ベートーヴェンの生涯を軸にして進む、二人の人物の音楽の物語。
    一人はウィーン生まれの貴族のフランツ。父親に「"ルードウィヒ"という名前の奴は、お前の母親の仇」と教え込まれ、その名のついたものはすべて憎むようになる。
    一人はドイツ古典派音楽家ルードウィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。
    数年後、二人は出会い、事あるごとに因縁を重ねていく。…という話。

    本書は『コミックトム』(潮出版社)に連載され、作者の死去により未完となった。
    手塚氏は音楽好きで、ピアノを弾くのもプロ並みの腕を持っていた。仕事部屋にはピアノを置き、時々気分転換に弾いていたらしい。
    (ネットより部分的に引用)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    フランス革命の描写あり、ルイ16世、マリー・アントワネット、ヨーゼフ2世、モーツァルト、ハイドンといった歴史上の人物の登場あり。
    歴史的背景が載っているので、興味深く読めて楽しい。さすが手塚治虫さん!すごいなぁー。
    モーツァルトの登場では、映画「アマデウス」が思い出され、観たくなる。

    また"音楽"を"絵"で表現するのがすごいなと思った。音が伝わってくる感じ。
    音符や鍵盤が踊って弾んでうねって飛び出てくるような、自然界が動き出すような…(私の表現力では伝えられない^^;)。
    本書でのベートーヴェンは20代前半までで、これから名曲が生まれる、といったところで未完となってしまった。
    私はピアノソナタ「悲愴」が好きなのだが、手塚氏ならどのように描いただろうか。残念でならない。想像するしかない。

    小さなベートーヴェンが可愛かった。
    また遊び心のある描写も良い。例えばこの時代はビデオカメラなんてないのに、「召使いが録画した。(ご覧ください)」と、映画のコマのような絵で話が進行するページがあり、読者を飽きさせない。
    手塚氏自身による絵エッセイや、漫画家萩尾望都さんによる解説も載っていて嬉しい。

    【初めて知ったこと】
    ・モーツァルトはピアノのペダルを踏まなかった→演奏はコロコロと弾力的で軽快だった。
    ・ベートーヴェンはペダルを多用した→ズシーンと響く効果を狙った。
    (※当時ペダルは音を濁すものとされたので、皆を驚かせた)

  • 内容紹介(amazon)
    手塚治虫が描く、ベートーベンの波乱の生涯耳にハンデをもちながらも、音楽の才能を開花させるルードウィヒ・B。不幸な生い立ちからルードウィヒを憎む貴族・フランツ。2人の交差する運命とは!?

  • 大作に中に大きなテーマを据える。反貴族社会と、影の存在…ブッダもそんな感じになっていた記憶がありまして、痛快ウキウキに進んでいるな、と思いきや影にやられ、しかし政治的テーマで力強く明言される主張が映画のようにバーンと出て感動したり、一気に読ませるってのはただごとじゃないよこれは、とドラえもんも共感するはず。フランス軍に絶望していく過程はどうなるのか、実に楽しみなところなんですが、これだけ手塚作品が世に出ていても、その未完描写を予想させないところもまた。

  • 続きが読みたい…!

  • 手塚治虫のネオ・ファウストと並ぶ遺作。
    市役所広場などボンの街並みが実に忠実に描かれている。

  • ベートーヴェンの生涯をたどる伝記作品。最晩年の作、そして『グリンゴ』、『ネオ・ファウスト』と並ぶ未完の絶筆ながら、漫画における新しい取り組み(音楽の表現方法等)が成されていて、まるで若さが溢れているようです。「手塚先生、いつまでも成長していたんだな〜」と何だかしんみりきちゃいます。

    個人的には、貴族フランツのどうしようもなく歪んだ心がユリシーズの出現によって今後どう変化していくのかが楽しみでした。

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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