レ・ミゼラブル〈1〉 (潮文学ライブラリー)

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制作 : 辻 昶 
  • 潮出版社 (2009年7月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267018121

レ・ミゼラブル〈1〉 (潮文学ライブラリー)の感想・レビュー・書評

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  • 『 レ・ミゼラブル 』~ 激動期の悲惨と貧困

    潮出版社の単行本・全三巻で読む。全巻、定価格で揃えるとかなり
    値が張るので、中古で取りそろえた。定評ある名訳と聞いていたので躊躇なく手にした。造りは堅牢で二段組みのため、読みやすかった。当時、社会の底辺に生きた貧民の話し言葉(隠語を含む)や当て字だらけの手紙を見事に訳出している。読みやすく安心して勧められる。完読してから一ヶ月以上がたち、記憶がややおぼろになったが、それでも登場人物の何人かはハッキリと記憶に残っている。冒頭からミリエル司教の仁篤が長々と述べられているが、実質的には釈放されたジャン・ヴァルジャンのディーニュ入りから始まる。人間不信と憎悪の塊の様な元徒刑囚をただ一人迎え入れてくれたミリエル司教を裏切った " 銀の燭台のエピソード "はあまりにも有名であり、この大河小説の重要な枕ともなるところである。がしかし寧ろこれによって百八十度回心して有徳の士となり、事業にも成功して市長にまで登り詰めたジャン・ヴァルジャンの変身ぶりに目を向けるべきである。これによって財をなしたことも忘れてはならない。後のジャン・ヴァルジャンの活動源にもなるからである。自社の元女工員ファンティーヌとの約束を果たすべく名誉ある地位をかなぐり捨ててその一人娘コゼットを探しに向かう。コゼットを虐げていた安宿で高価な人形を彼女に買い与えるところは極めて印象的に描かれている。ジャンはコゼットを1500フランで受け出し、パリへ向かう。がジャヴェールら官憲の追跡をうけ、必死に逃れて二人は安全な修道院へ逃げ込み、そこで安穏な4年間を送る。ここで教育を受け、美しく成長したコゼットを青年貴族マリユスが見初める。先程忘れ難い登場人物といったのはマリユスをコゼットに導いた、かつての義姉妹エポニーヌと、後で述べるその弟ガヴローシュである。落ちぶれたエポニーヌを作者は冷徹な目でえぐる様に描いている。恐ろしい程である。彼女は極悪人の父親の悪辣なたくらみの手紙を拾われたことでマリユスと知り合いになり、ほのかな慕情を抱く。恋の仲介をしたり、コゼット達の逢瀬の場を体を張って守った。マリユスがコゼットしか目に入らないのを知ってか…。ここでのマリユスとコゼットの至高の愛の描写はこの大河小説の中で最も美しい部分である。やがて暴動が勃発しマリユスもそれに身を投じる。理想に燃え、血気にはやる青年達がバリケードを築き王党派の軍隊の攻撃を迎え撃つ。だが多勢に無勢、一人また一人と敵弾に倒れてゆく。なんとこのときエポニーヌは身を挺してマリユスを守り、マリユスの腕の中で息絶える。幸いな女の一生といえるのだろうか。それと先に述べたガヴローシュも共和派の青年たちのバリケードにいた。生意気でこましゃくれ、大人たちに反抗的だが、兄貴肌で弟たちの面倒見が良く、パンやねぐらを供した。彼はこの物語に活気と諧謔を与えている。彼は無謀にも戦闘の合間、ざれ歌を歌いながら死んだ敵兵から弾丸を拾い集める。だが悲しいことに戦場に安全な場所はない。銃弾を
    浴びてこと切れる。ガヴローシュは何と強烈なパーソナリティーであることか。これだけが浮き出て他が霞んでしまう程である。バリケードに急を知ったジャン・ヴァルジャンがひそんでいた。彼は戦闘に倒れた瀕死のマリユスを背負って地下道に潜り込む。暗く勝手の分からぬ洞窟をそれこそ死を賭して安全な出口を探してさまよう。勿論、愛おしくてならないコゼットの恋人であることを知りながら…。その時のジャン・ヴァルジャンの内心はいかばかりであったろう。その心中は詳細には描かれてはいない。と何と出口付近で極悪人テナルディエらと図らずも出会い、金品の取引で窮地を脱しマリユスを祖父の元に無事届ける。
    その後は二人の恋人は華燭の典をあげ、ハッピーエンドといきたいとろだが、マリユスを命がけで救ったのはジャン・ヴァルジャンであると分かる。誤解が溶け即刻ヴァルジャンのもとへ駆け付けたマリユス達であるが時すでに遅くジャンは死にかけていた。ここでの会話は全編のうちで最も感動的である。まだ忘れ難い登場人物が残っている。それはジャヴェール警部である。エキセントリックな自身への絶望から社会の監視人としての道を選ぶ。生一本で厳格な性格から、法の下にこれに逆らう者を徹底して追い詰める。ジャン・ヴァルジャンもその対象で徒刑所送りに血道をあげるが、暴動の最中スパイ容疑で逮捕されていたところを、ヴァルジャンに解放された。もはや自分の身の置き場がなくなった彼はセーヌ川に投身自殺した。最後にこの長編小説の底にキリスト教的な愛が脈打っていることにも留意したい。

  • 一年一年彼の言葉がていねいになり、洗練され、おだやかになってゆくのがわかった。

    神聖になることの第一歩は、他人のことを考えることだ。

  • 映画見に行って本を読んでみようと思いました。
    その昔小学生の頃に少年文庫的な簡訳版を読んだのみ。
    読み始めたばかりだけど、どうかな。

  • マドレーヌからジャン・バルジャンに戻るときの葛藤、頭の中での考えの巡りの描写。

    まだ「善のなかにある全ての悪」の状態にあるジャベールの描写。

    鬼気迫る

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