青い島の教室

著者 :
  • 潮出版社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267019173

作品紹介・あらすじ

教師から疎外された喧嘩屋とヤリセンと苛められる少女-不幸を背負った2人は、ひたむきに幸せの道を探す。島の子どもたちと"ぐうたら先生"が織りなす感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 少しだけ読んで眠りにつくつもりが、気がつけば朝だった。寝不足でしんどい一日になりそう。
    こんな教育者がお話の中だけの存在でなければ良いなと思ってしまう。
    誰よりも校長が素晴らしい。
    いつの時代も(失礼ながら)問題教師は少なからずおられた。
    それでも昔は「悪い時は拳骨やって下さい」なんて無茶を言う親もいた。それだけ教師に対し尊敬と大きな信頼感を持っていたのだ。
    モンスターペアレントが出現しだしたのはいつの頃からだろう。
    このお話の中の問題児は、有力者の娘だった。何等かの力を持つ立場にあれば子供への影響力も自ずと大きくなるかもしれない
    《実るほど頭を垂れる稲穂かな》そんな親の姿は何よりの教育だとつくづく感じる。

  • 真介の紛れもない真摯な生き方が最後まで描かれていて響きます。本物だ、本物の教師だよと。もう300ページ一気に読み込んでしまった。途中から腹立って。あんなクズ人間が1人でもいると社会がおかしくなる、あと林田も、親を盾にして悪をやるまして嘘を平気でつく。真人間が多く出てて救われたが、最後に校長を先頭に鑑別所送りにしたのが1番嬉しい。あんなクズ、クズの親も、二度と普通の幸せを見るなっ、邪魔だよ。久々に熱い気持ちになりました。出来たら青い島2を見たいです

  • 学生時代なら大団円でめでたしと思って満足してたと思う。大人になると、生活のこととか現実的に考えてしまって手放しで喜べないと感じた。各々が悩んで考え抜いた末の結論だから応援したいけど。

  • 図書館

  • 池永氏の本はこれで4冊目となりますが、今まで読んだ作品のどれもが静寂を纏っている感じがする。
    古い映画のフィルムを見るような静寂で物悲しく、それでいて優しい。
    これは小さな島の中学校を舞台にした話ですが、この作品もまた池永作品と呼ぶべき雰囲気を持っています。

    そして、他の作品と同様に暗い過去を抱える登場人物が居て、乱闘のシーンがあっても どこかスクリーンを通して見るような静寂があります。
    独特な雰囲気を持つ作品ですが、とても読みやすく、心がほっこり温まるようないい作品だと思います。

  • ストレスを溜めさせることで、ラストに向かって行く感じは良くて読まされました。ただ先が分かっちゃうのは、この手の話ではしょうがないのかな。
    一週間スマホの無い生活を送っていたのだけれど、本もたくさん読めるし、生活の密度が濃くなった気がします。
    スマホは戻ってきたけど、振り回されないようにしようと思う。

  • 学園ドラマ。
    問題ある中学生たちに、教師はどう立ち向かうのか?
    モンスターペアレントへのど直球の提言あり。
    その部分はとても胸のすくような思い。
    しかし、物語の進行上とはいえ、
    少女が肉体関係を強要されて…という
    悲しい展開は、現状への問題提起としても嫌な読後感。
    現実問題としてあるのはわかる。
    でも…

    性の悲しさ、やるせなさから、人間は解放されないのだろうか?

  • 現代の学校教育の在り方に課題を投げ掛ける衝撃的な話しだった。教師がおよび腰なのかモンスターペアレンツの保護者が強いのか、学校教育の現場の改革を図ろうと奮闘する柏木先生と岩崎校長。不良生徒との決闘、保護者会での吊し上げにも怯むことなく教師生命を賭け腹を括って立ち向かう。行き過ぎ教育として小さな島に飛ばされぐうたら教師として過ごしていた柏木は心優しくも熱血教師となり不良生徒、苛められっ子の心を捉えていく。教師が生徒に暴力を振るったなどと目くじらをたてる前にまずは親として自分の子供の家庭での躾をしっかりしてほしい。教師の生徒への制裁は結構なことだ。学校に子供を預けているわけだから保護者は教師の方針に口出すべきではない。世のモンスターペアレンツと学校の先生に是非読んでほしい小説だ。

  • ネタばれ

    最後、中2で産むことにするって駄目でしょ、それ以外はいつもどおり面白い

  •  「青い島の教室」という題名は素敵だ。青い海や空、自然がいっぱいの土地、素直に色々な事を学んでいく生徒たち、そして先生。
     しかし「青い島」だろうが「灰色の町」だろうが、「教室」だろうが「職場」だろうが、現実は何処でも似たようなものかもしれない。イジメや暴力、陰湿さや小狡さに溢れた人間の醜さはどこにでもある。しかし逆にいえば、優しさや労わり、明るく前向きに生きていこうとする素直さに溢れた人間の美しさだって、どこにでもあるはずなのだ。
     醜さや美しさに溢れた、ありふれた日常。それは少なくとも善悪の基準で単純に判断できるとは限らない。そんなありふれた日常のなかで、皆が泣いたり笑ったりしながら暮らしていくなかで、それぞれの「物語」ができていくのではないか。

     読後になぜか印象に残ったのは、教師と対立する生徒のなかのリーダー的存在の女子生徒のこと。島の地元の大会社のお嬢様で、決して許されないことをしてしまった悪役的に描かれた彼女の行く末。
     これから彼女の人生はどうなるんだろう。小説の本筋から外れた余計な事だけど。
     「青い島の教室」という言葉は、決して善に満ちた理想の場所を意味しない。小説がどのような形で終わろうが、「物語」はどこかで続いているはずなのだから。
     

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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