マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

  • ランダムハウス講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270000120

感想・レビュー・書評

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  • お金のない野球球団のゼネラルマネージャーが、常に常勝軍団であるためにしていることの物語り。
    野球というゲームを理解し、理解をデータ化し、ゲームに勝つための選手についてデータを基にしたスカウト基準のルールを作り、他球団にはないこの独自のルールを信念をもって実践した。
    それまでの「個々のスカウトの目」や「可能性」、「潜在能力」という目に見えないものではなく、「学生時代の実績」という目に見えるデータが独自ルールに合致した者をスカウトする。スカウトされた選手は、当然に能力を開花させ、見事にゲームに勝つ活躍をする。

    それまでの野球というゲームにおいて、見過ごされ、軽んじられてきたゲームに勝つためデータ。
    野球をデータ化することで、経験や勘、好み、外見、前例を排除する。勝つデータで浮かび上がるプレイヤーは、他球団とは相いれない「実績、能力のある今はまだ金額的価値の安い選手」。選手がデータ通りに活躍し、価値の高い選手へと成長する。と他球団へ価値高く放出し、また、他球団では埋もれている自前のデータに基づいた「実績、能力のある今はまだ金額的価値の安い選手」を手に入れる。ときに、あと4日で生涯年金の権利のつく選手でさえも自由契約としてしまう非情もある。
    すべては、チームが勝つため。貧乏球団だけど、常勝球団。

    どうして、株をする人がこの本を進めたのかな?と考えた時、
    「ゲームを理解し、ルールを作り、ルールを守る」ってことではないかと思った。
    経験や勘、プレスリリースに惑わされずに作ったルールを守る。
    負けないために。

    あらゆることに言える。

    私はゲームを理解しているか?

  • あとがきにもあるがこの本の副題は
    The Art of Winning an Unfair Game
    アンフェアな戦いに勝つArt
    である。
    貧乏球団を率いるゼネラルマネージャーのビリービーンが資金豊富な球団に勝つために発見したセイバーメトリックス。実際は彼が考えた手法ではないがメジャーリーグ大好きの警備員ビルジェイムスが自費で出版した本の中にあったヒントを使ってアスレチックスで壮大な実験を進めていく。

    ハーバード卒のアシスタント、ポールと共に獲得する選手を従来重視されていなかった指標で見出していく。重回帰分析を先入観なく活用したのだ。
    集めた選手達で年間の得点見込み、失点見込みを計算して優勝するために必要な勝ち数をシミュレートする。結果シーズンの勝ち星はそれを満たす選手を集めることでポールが算出した勝ち星とほぼ同じになる。もちろん限られた予算の中でである。

    のちに映画化され、広く世に知られるが原作ではスカウトで獲る選手像もスカウトの言うことをほぼ無視し、セイバーメトリックスで選んでいくプロセスも含まれる。

    この方法で選んだ選手達の半数は活躍しなかったのでその点では評価はしがたい。

    しかし不公平な戦いに勝つためにビリービーンが進めた変革は読み手の心を掴んではなさない。
    弱者が強者を倒すという不朽の名作である。
     

  • 勝利に対して非常に熱く、データに向き合う姿勢は非常にクール。

    ビーン氏は、本当は野球のことが心底好きだし、試合に勝つことで得られる喜びを知っている人なのだろう。

    そのせいか、彼の球団経営は時に非常に冷徹に見える。プレイヤーとフロントの間にある役割分担に非常に厳格で、チームとして勝つことと一人ひとりの選手のキャリアの間に明確な線を引いているように感じた。

    人間としての彼の性格とのギャップも含めて、非常に面白いドキュメンタリーになっていた。

  • 1番、ドラフトが熱くなった。ビリービーンの考え方は非常に大事でコスト小でリターンをいかに大きくするか。そして、新しい事には大きな壁があるが、どう壊すか。それを学んだ気がする。

  • 分析は、視点が大切だということがわかる本。

    映画を見た後で読みましたが、本のほうがいいかな。

    人の名前が多すぎて少し混乱しますが、大筋には影響なし。翻訳物にしては読みやすいです。

    ザックリ言うと、四球(出塁率)に着目したのが鋭すぎですね。

    最近流行りのビッグデータも、こういう視点が無ければ意味が無いんだよな〜。

    野球やデータ分析に興味がある人は是非。

    オススメです。

  • 野球界の常識と思われていた迷信を独自の理論から覆して行く快作。少しくどいかなと思う場面もあるが、資金面で劣るアスレティックスをプレーオフ常連に仕立てる個性的な主人公の手腕に爽快感を覚えた。

  • 最近読んだ本の中で一番だった。

    野球好きの本読みには絶対にお勧め。再読したい。

  • 野球に数字を持ち込んだ革命についての話。得てして首脳陣、経営陣の主観に陥りやすい選手の能力評価を数値化することによって客観的な評価を可能にし、他とは違う評価基準で良い選手をお得にゲットするという手法を用いてチームを強くした敏腕GM・ビリー・ビーンにスポットライトを当てていて、野球と数字のつながりの強さを感じさせられる。個人的にかなり面白かったです。

  • やきう好きのビジネスマンは必読。

  • セイバー・メトリクスという言葉を聞いたことがあるだろうか?
    私はほんの少し聞いた記憶があるなぁという程度だった。

    本書は、野球選手を従来の、例えば打者であれば、打率や安打数、盗塁数などのわかりやすい指標ではなく、出塁率と長打率こそが良い打者の指標となるという新しい考えを導入して、僅かな予算でオークランド・アスレチックス(OAK)をプレー・オフ常連に仕立てあげたGMビリー・ビーンを描いたノンフィクション。

    私自身、安打というものの不確実性、つまり落ちたところがラッキーだっただけでは?という疑問であった。また、試合の流れの中で、失点が嵩んでも勝てば評価され、2失点でも負ければ批判される投手というものに不満を感じていた。
    そんなわけで、従来の指標が新しい評価基準によって見事に覆され、従来の見方であれば評価されえなかった選手が評価を受けて活躍した結果、OAKが勝ち進んでいく、そんな過程は読んでいて本当に刺激的であった。

    痛快な話が進んでいく中で、ビリー・ビーン自身、実はその才能にずば抜けた評価を受けて将来を嘱望されたメジャー・リーガーだったことがわかる。しかしながら、決して成功しなかった、その挫折をめぐる話が挿入されることが本書の伝えるセイバー・メトリクスという野球の見方に説得力を増していると感じる。

    従来の見方を否定する、それは保守的になりがちな球界の人間において我慢のならないことで、ビリー・ビーンは強い抵抗と嘲笑にあったが、自らの決断を貫いたようだ。

    ところで、残念なのは、本書で紹介されたビリー・ビーンの秘蔵っ子たちが必ずしも活躍できなかったことだ。それはビリー・ビーンの評価が間違っていた、というよりも、本書が刊行された結果彼らに異常な注目が集まり、彼らにかかるプレッシャーが格段に強くなったことが一因のようだ。

    折しも今年は西武の中島がそのOAKに入団した。
    ビリー・ビーンは今もGM職にあるが、中島も彼に評価されなかったら獲得されなかったのだろうから、使われていくかにとても興味が湧く。

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