テクニックはあるが、サッカーが下手な日本人 日本はどうして世界で勝てないのか?

著者 :
  • 武田ランダムハウスジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270004913

作品紹介・あらすじ

どうして「日本人はサッカーが下手」と言われるのか?どうすれば、それを克服できるのか?その考え方からトレーニング法まで、著者が、スペインでの12年間の指導生活で培った経験とノウハウを一挙に公開する。

感想・レビュー・書評

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  • スペイン人に言わせれば、日本人はスピードやテクニックはあるがサッカーは下手らしい。

    著者が肌で感じた日本とスペインのサッカーの違いは、
    ①スペインでは選手は勝負に勝つことに徹し、フィジカルコンタクトを避けず戦えることが最優先されるのに対し、日本ではテクニックなどが最重要視され普段からフィジカルコンタクトの少ない環境でプレーしている傾向にある。
    ②スペインではどのカテゴリーでもリーグ戦で毎週末試合があるが、日本ではトーナメントが主流である。日本では試合に出れる選手が相対的に少なく限られており、スペインでは毎週末の試合に向けた練習ができ練習課題の設定が明確になりやすい。
    ③スポーツ科学や戦術に関する知識はスペインに劣っていない

    ことが述べられている。

    育成に関しては
    ①スペインではテクニックはチーム戦術を構築する練習で勝手に身につくものと考えられており、
    ②スペインでは賢さや駆け引きがより重要視され、
    ③良い選手は育てるものではなく、見つけてくるものであり、
    ④所属しているチームで活躍すれば、上のクラブから声が掛かること。また今のチームで一番でもすぐに上のチームに行くことで、上には上がいることを認識できること、
    などを挙げている。

    さて、筆者は以上のようなスペインのサッカー観をまとめると「サッカーはサッカーをすることでうまくなる。」という単純な言葉で表現している。そしてそれを裏付ける理論として、ポルトガルのフラーデ教授の戦術的ピリオダイゼーション理論を紹介している。それはサッカーはカオスであり、かつフラクタルであるという、生命論的なパラダイムで説明したものだ。

  • 面白い。スペインのサッカー事情が良く分かる。
    サッカーはサッカーをすることで上手くなる、という言葉はその通りだと思う。

  • スペイン、バルセロナのカンテーラで指導を行っていた著書による、スペイン育成と日本の育成の違いをあぶり出し、どの辺に問題があるのかを書かれた本。推奨しているピリオタライゼーション理論の練習方法の部分は、より詳しい著書があるようで、それを併用したうえで、如何にしたらサッカーが上手になるかが分かるかもしれないと思う

  • 彼の本はやはり面白い。

  • スペインに行って,フットボルのコーチができるなんて。
    聞いただけでは、とても羨ましい話だと思った。

    読んでみると、スペインと日本の違いがフィジカルコンタクトにあるという。
    その理由が勝つ為の競技だという意識の違いだと説明している。

    たしかに、納得できる。
    勝つための競技だからこそ、勝つ為にはなにをすればよいかを考えるのだろう。

    日本ではどうなのだろう。

    勝つ為に頭を使おうとしないのだろうか。
    コーチの指示から、自分で学ぼうとしないのだろうか。

    日本にも、仕事のない土日に、子供の練習や試合で師事してくださるよいコーチがいるのに、
    子供がコーチの話の趣旨を理解しようとせずに、他のことをし始めたりするのを目撃する。

    親もコーチのいっている話の趣旨を理解しようとする親とそうでない親がいることを目撃する。
    勝つことにこだわっていても、どうやって勝つかについてコーチの考えを聞こうとする子供と,聞こうとしない子供を目撃する。

    うまく淘汰する仕組みがあれば、いいのかもしれない。
    まだまだチーム数が少なく,淘汰する仕組みがないのかもしれないとおもいました。

  • 第1章〜第3章までは筆者のスペインでの体験が主に書かれています。この部分が長く、本書のタイトル「日本はどうして世界で勝てないのか?」に対するアンサーはいつ出てくるのかヤキモキしましたが、その答えは第4章以降に。しかしそのヒントは第1章〜第3章に散りばめられています。

    「サッカーの本質」とは何か?この問いにきちんと向き合った方が良さそうです。

    再読しよう。

  • 抜群のテクニックはあるが、それを試合で見せられず、決定力がない日本サッカー界への提言の書だと思う

    要約すれば、日本が強くなるには、一度負けたら終わりのトーナメントスタイルではなく、リーグ戦形式のサッカーをしないと、サッカーの経験値が溜まらずうまくならないし、試合数をたくさんこなさないといけないことが一番だと思う。逆に言えばその環境が整っていない日本への批判である。

    テクニックは身につき始めている日本サッカー。今後はそれを試合でどのように生かすかだと思う。また、これらを複雑系の考えを生かした理論で説明している部分も必読だと思った。

  • 作者の伝えたい事は理解出来たと思ってますが、文章が拙過ぎます。

  • 20100311読了

  • FCバルセロナ スクールコーチの村松さんの著書。

    少し時期が遅れてしまったが、これを手に取ったのは、日本代表の東アジア選手権での体たらくが契機である。

    大きな目次
    1、スペインのサッカーは何が違うのか?
    2、育成に関する違い
    3、FCバルセロナと日本の違い
    4、戦術的ピリオダイゼーション理論とは
    5、戦術的ピリオダイゼーション理論の実践方法
    6、日本がワールドカップで優勝するために

    こういった構成になっている。

    前半部分は、日本サッカーの強化のためにスペインに渡った村松さんの経験的なところが多く、書かれている。
    スペインのサッカー文化についてもあり、興味深い。

    個人的には4章からの戦術的ピリオダイゼーション理論に目から鱗だった。

    一言で言うと、上記の理論とは、「サッカーはカオスであり、フラクタルである」ということ。
    内容についてはぜひ本著を読んでもらいたい。

    本質的なサッカーへのアプローチを指摘した村松さんは素晴らしい指導者になるだろう。

    彼の理論は、オシムさんの練習メニューにも通ずるところがあるので、やはり欧州のサッカーに対する理論は進んでいるのだなぁと感じた。

    サッカーはサッカーをすることでしか上達しない。

    日本代表の球際の競り合い、そしてゴール前での迫力不足、言われたことしかできない展開力のなさのすべてがこれに収束するのでは?と思うほどだった。

    おススメ。

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著者プロフィール

1973年、千葉県生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、1996年にスペイン・バルセロナへ。以降、同国で13年間、8クラブの指導に携わる。2004年にスペインサッカー協会の上級コーチングライセンス(日本のS級ライセンスに相当)を取得。2006年よりFCバルセロナの現地スクールにて唯一の外国人コーチとして12歳以下の子供たちを指導。2009年にはFCバルセロナスクール福岡校の立ち上げと指導に携わり、2013年3月に水戸ホーリーホックのアカデミーコーチに就任、現在に至る。著書に『テクニックはあるが、「サッカー」が下手な日本人』、監修に『最速上達サッカー オフ・ザ・ボール』など。

「2016年 『サッカー上達の科学 いやでも巧くなるトレーニングメソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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