- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270005798
作品紹介・あらすじ
1954年アメリカ。ある日突然、サーカス団から一人の魔術師が姿を消した。ヘンリー・ウォーカー-黒人の魔術師だった。謎の失踪について、そしてヘンリーの人生について、様々な語り手たち-団長、奇体の団員、私立探偵-が各々に語りだす。702号室で出会った魔術師のこと、彼と交わした「血の誓い」、「愛のマジック」、殺人、黒人ではないこと…。次第に見えてくる、ヘンリー・ウォーカーという魔術師とは。マジックのように読み手を欺き、そして惑わせる。『ビッグ・フィッシュ』で広く知られた著者お得意のトール・テイルによって繰り広げられる、変幻自在な物語。
感想・レビュー・書評
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大雑把に言えば信頼できない語り手もの。ヘンリーが語った話をサーカス団のメンバーが語り直す。フィルターが語った語り。明かされる真実は割と索漠としている。辛くても、ミスター・セバスチャンが悪魔でいてくれた方が良かったかも。
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母の死、堕落した一家の生活、そして自らに備わった才能のきらめき……それらが絡み合って数奇な運命を背負うことになった魔術師ヘンリー・ウォーカー。物語は彼のたどったとされる人生を、彼自身の記憶と周囲の人々の証言で語られている。二つの世界のはざまで生きるヘンリーのあり方はまさにイリュージョンで、実は大きなトリックに包まれていたこともわかると、その存在と軌跡にぐっときた。そして読後には、スポットライトを浴びる表紙のヘンリーの背中がとても物悲しく見えてならなかった。
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一人の黒人魔術師がサーカスから忽然と消えた。
サーカスの仲間が語り出す彼の物語。
彼は一体何処からきて、何処へ行ったのだろう。
最後に訪れる種明かしは悲しくも又哀れでもあり、ユーモアすら感じられる。