ムーンショット デザイン幸福論

著者 :
  • 武田ランダムハウスジャパン
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本棚登録 : 127
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270006214

作品紹介・あらすじ

世界から日本を見つづける、国際的デザイナー奥山清行。幸福を探すデザインの旅はつづく。「ものづくり」から「ことづくり」へ。奥山スケッチブックの中味、目くるめくデザイン・フラッシュの数々、本邦初公開。

感想・レビュー・書評

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  • 68ページからのiPhoneや日本のケータイについての考え方はこれからの指針になります。

    電気自動車に対するデザインの考え方は単に車にとどまらず、街のあり方まで変えてしまう可能性を持っているなど広く参考になります。

  • フェラーリのデザインをした日本人、ケンオクヤマこと奥山清行氏の著作。

    もう一作の方が有名らしいが、初めて氏の存在を知った本作から読んでみた。

    岡本太郎の本もそうだが、デザインや芸術を仕事にしている方々の著作は、どこか我々とは異なる部分があり、その見方や語り口は興味深い。

    本作もこれと言って記憶に残る部分などはなかったが、なんとなく頭や心を揺さぶられた。

  • ピニンファリーナでフェラーリのデザイナーをしていた事もある工業デザイナーのケン・オクヤマ。工業デザインの真髄のみならず、人生感を語る。外観と共に機能面の美しさを求める彼らの世界は、冗長さを削ぎ落とした文体にまで、機能美が映えるようだ。上質な語り口と価値観が心地よい。

    あまりにも歪みやバリの無い文章ゆえに、一時を楽しんだ後に通過してしまったが、私は過去にこの本を読んだ事があった。その頃は海外で、少ない日本人の年上の勤め人から、本著を借りたのだ。人から本を借りる事を好まぬ性分だが、日本語で読める本は希少だった。ケン・オクヤマを初めて知った。そして、人生設計や制度設計、工業製品に限らず機能美への哲学が、あらゆる未来に通底する事を考えた。設計は計画であり、計画は未来だと。

    本著から学んだのはそれだけではない。イタリアでは車の実物大スタイリングモデルを作る時、粘土ではなくエポウッドと言う樹脂の素材を使う。粘土ならば修正が簡単だが、エポウッドでは容易ではない。これは、高級ブランドのコートを生涯使い切る文化に似ている。作品の重み、緊張感がブランドを鍛えるという。ファストファッションだけではなく、人間そのものを標準装備に標準思考と均質化させてしまった代替可能文化とは、土台異なる。緊張感とは、代替不可能性に対する責任感。時間、能力、演出の取り返せない刹那だ。そうした仕事にこそ無駄が排除され、美しさが宿るのかも知れない。

  • その通り。

  • 著名なデザイナー Ken Okuyama こと奥山清行さんの本です。
    「デザインとは何か」「日本人はどこへ向うべきか」「若者は何を目指すべきか」を書いた本です。平易な文体で簡単に読めます。(というか、この人あまり文章はうまくないかもしれませんね。言いたいことを 100% 書けてない感じがします。)
    この本は2010年に出た本で、周囲の状況は既にいろいろと変わっているので、そのあたりを感じさせるところも無いことはありませんが、読むとちょっと前向きになれるかもしれませんね。

  • タイトルにあるムーンショットとは、英語で月にロケットを打ち上げるという事らしいが、元々は不可能な事の比喩として使われていたものが、アポロ計画の成功によって、今では「不可能と思われていた事が出来るようになる」という意味として使われているという。

    世界で活躍する日本人の中でもビジネス界では最も成功した人の一人であろう、奥山清行氏。これまでの著作と重なることは多いが、本書はより本人自身の想いを語っている。経験と実績に裏打ちされた、仕事への姿勢、情熱は説得力に満ちあふれ、読み手の心を動かす。そんな事出来るはずがない、といった既成概念に縛られる事無く、ムーンショットを追い求めようという著者のメッセージだ。

  • 【人はなぜ美しいものを追求するか?】
    人は本来美しいものが好きだから。美しいデザインは正しい。

    美しいものは売れるから。自信をなくしたときでも、美しいものは正しく、正しいことをしているんだという考えが、勇気を与えてくれる。

    デザインはどんな人でもしなければならない。SEという自分の職業でも、顧客とコミュニケーションをとりながら、どうしたらよりよいものができるかを考える。ストーリーがあると相手により伝わりやすく、一体感を持って作れる。

    人生でもそうだろう。生き方をデザインする。未来を見据える。何ともカッコいい。生き方が、デザインの仕方が、デッサンの仕方がカッコいい。美しいものを生み出す人は、比例して語る言葉もカッコよかった。

    久々に手元に残しておきたい本に出会った。作品も手にしてみたい。

  • 奥山さんの大切にしてることが、具体的な事例を元に分かる。コト作りの重要性も、その一つ。

  • デザイナーのみならず、エンジニアにもグッとくる1冊!
    以下、気になったポイント

    人間は本来美しいものが好きである
    かわいいやかっこいいは時代とともに変わるが、美しいものは普遍だ。
    美しいものがものは売れる。

    職人芸をもつ職人が休むと生産ラインが止まる。
    そのリスクを負ってもそうするのがフェラーリのやり方。

    子どもの頃、テレビを見るときにスケッチブックと粘土を手放さなかった。登場する乗り物や怪獣の絵を描き、モデルを作るために。
    三つ子の魂百まで。

    車の戻るを作るとき、一般的には粘土を使う。やり直しや修正が容易だから。
    ただしイタリアは世界で唯一、エポウッドを使う。
    エポウッドは硬く容易に修正が出来ないから言葉を選び抜いて相手に伝え、図面や設計を事前に煮詰めきってから、彫刻家のような緊張感を持って削り始める。

    いまの僕はデザイナーであり、経営者でもあるから、投資家としての見地も加わった。小売りや流通のことも考えてから開発を始めている。
    しかし、デザインをするときはコストとかリスクとか経営とかはすっぱりと忘れて、理想のデザインを追求しなくてはならない。


    ものを作るときの思考回路は、
    ①音楽のように閃きをもとに肉付けしていく方法
    ②デザインのように次々と枝葉を広げながらベストのものを探していく方法
    の二つがあり、音楽やアートが②をやると収集がつかなくなるし、デザインで①をやると独りよがりのものになってしまう。
    アートは自分の内面を表現するものであり、デザインは人様のお金を借りて顧客のために行うものだから。
    なので、デザインは質にこだわるだけでは①の独りよがりになってしまう。質より量をこなして、ベストを探していくのがよい。


    技術は作られたところではなく、使われたところに残る。
    現在、電気自動車の中心地はカリフォルニアだが、そこで使われている多くは日本の技術。しかし、日本には電気自動車のプロジェクトがないので、技術は日本に残らない。

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著者プロフィール

Ken Okuyama Design代表

「2013年 『100年の価値をデザインする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥山清行の作品

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