中国小説集 (ランダムハウス講談社文庫) (ランダムハウス講談社 な 1-1)

著者 :
  • 武田ランダムハウスジャパン
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本棚登録 : 50
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270101032

作品紹介・あらすじ

今なお私淑されつづける作家・中島敦。遺された数少ない作品中でも、特に誉れが高い「李陵」「山月記」をはじめ、中国を舞台にした作品八編を精選した。古典に範を求めながらも、自在の解釈の腕を振るい、描き出す奇想の数々。「古典」のイメージを一新する注釈・ルビ・書下し文付。

感想・レビュー・書評

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  • すごい本に出会ってしまって、正直なんて感想を言ったらいいのか分かりません。中島敦ってすごい!!!

    ・悟浄出世
    最初とっつきにくいなあって困ったけど、途中から取り憑かれたみたいにイッキに読んでしまった。こんなにぎゅうぎゅう哲学していて且つ、文体はどちらかというとカタい筈なのに驚きの読みやすさ。引き摺リ込まれていく、という感想が正しいのかも知れない。

    ・悟浄歎異
    悟浄の論法というのは一見するととても独りよがりな気がするんだけど、これがどうにもこうにも格好良いの。だってね、だって悟浄はヒューマニストなんだもの。周りの人間に対して常に尊敬し、感心し、敬意を持っているんだよねえ。彼はまた「無知の知」の実行人でもあるわけです。悟浄出世を読んでからだと彼の変化にも気づけて、それがまた読んでいてくすぐったくて嬉しいの。あんなに偏屈さんだったのに最後の3行のところで「なんだか」なんて言葉を使ったりして、微笑ましいね!

    この二つに共通して言える事は、何よりも本ッッ当に文章が美しいという事。それも連想させる情景的美しさではなく、ただ言葉そのものが美しい。そして美しいものを並び立てているから美しいのでは無く、またそのバランスも秀逸。「悟空的なるものの肌合いの粗さに」なんて言う文章のすぐ後に「彼が意地悪でないことだけは、確かに俺たちにもよく解る。」なんていう単純明快な文章をぽんて置いてくれるこのセンス。惚れ惚れします。その巧みさに読みながらずっとエクスクラメーション連打。ああ旧字旧仮名で読みたい。

    纏まらないからつらつら書いてみたけど、一言で言うと「悟浄格好良い」です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      この括りで中島敦の作品を1冊にした文庫があったとは!買いに行こうっと。。。
      この括りで中島敦の作品を1冊にした文庫があったとは!買いに行こうっと。。。
      2012/05/10
  • 高校入試問題で出た「悟浄歎異」が気になって読みました。
    悟浄から見た三蔵法師の精神性と孫悟空との関係などがつらつら語られてて引き込まれます。
    でも入試で読んだ途中の部分だけの方が面白かったってゆう…^^;

  • 悟浄歎異の河童がまたいい奴なんです

  • 今なお私淑されつづける作家・中島敦。遺された数少ない作品中でも、特に誉れが高い「李陵」「山月記」をはじめ、中国を舞台にした作品8編を精選した。古典に範を求めながらも、自在の解釈に腕を振るい、描き出す奇想の数々。「古典」のイメージを一新する注釈・ルビ・書き下し文付き。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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