ディミティおばさま現わる (優しい幽霊 1) (ランダムハウス講談社 ア 5-1 優しい幽霊 1)
- 武田ランダムハウスジャパン (2008年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270102299
作品紹介・あらすじ
幼い頃、いつも母が聞かせてくれた『ディミティおばさまの物語』。優しくて冒険心いっぱいのおばさまは、ロリのお気に入りだった。でもまさか実在していたなんて!?ある日突然、ディミティの遺言状を受け取ったロリは、指示されるがままに英国のディミティ邸へ。すると暖炉の火がひとりで燃えたり、白紙の日記帳に文字が浮かびあがったり-。どうやら幽霊になってもなお、おばさまは何か心の傷を抱えているらしく…?幽霊の謎に迫る、シリーズ第1弾。
感想・レビュー・書評
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ディミティおばさまのシリーズ1作目。
色々な要素がある豊かな展開で、予想よりも読み応えがありました。
子供の頃に母に聞かされていたお話のディミティおばさまが、実在の人物だった?
30歳でバツイチのロリ・シェパードは、最近すっかり不運続き。
弁護士事務所からの思いがけない連絡から、次第に未来が開けて行きます。
弁護士事務所の英国紳士のようなウィリス氏がなかなか素敵で、その息子ビルも、ロリに反発されながらも急接近してきます。
ディミティおばさまとは、イギリスの慈善家の女性で、ロリの母ベラが若かった頃の親友。
母が面白おかしく語った物語は、おばさまからの手紙が元になっていたのです。
おばさまの遺言に従って、イギリスのディミティ邸へおもむき、二人の手紙を整理することに。
その手紙には、母ベラの若き日の悲しみや、ディミティの秘密も‥
戦争中の話も出てきて、当時の謎を解こうとするロリとビル。
長い年月の間、伏せられていた誤解とは‥?
ディミティおばさまが探偵役のコージー・ミステリ?と思っていたら、だいぶ違いました。
特にこの1作目に関しては、ロマンチック・ファンタジーとでもいうか、やや古風な暖かいお話でした。
「赤毛のアン」ブックスや「足長おじさん」が好きな人におすすめ☆
作者はコロラド州在住のベテラン作家で、1992年発表の本書が出世作。シリーズ化されてもう相当な数出ています。
マカヴィティ賞の最優秀処女長篇賞にノミネート。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人と人の「縁」で繋がり謎解きされていく物語。
読み応えとしてはけっこうボリューム感あり。 -
久々に、とても面白い素敵な物語に出会えた。物語のスピード、展開は飽きることがないし、訳し方が上手なのか、散りばめられたユーモアに時々クスッと笑ってしまう。アメリカでの近代的な始まりだが、イギリスに舞台を移してからはファンタジーでもあり、また冒険でありメルヘンでありミステリーでありロマンスであり、シンデレラストーリーでもある。主人公はバツ一30才の女性ロリ。立派な大人だが、そのしゃべり方やぬいぐるみのレジナルドの存在、閉ざした心などから、ふと気づくと10代の少女が主人公のように、30も後半のビルが青年のようにも思えてしまう。こういった年齢の女性が主人公の物語を読めるのは本当に楽しい。前半のウィリスの屋敷で洋服をプレゼントされたときの、ロリの自分が惨めだと思い知ったような場面では、私も深く傷つき泣いてしまった。しかし全体を通してロリの手助けをしてくれる登場人物は大ウィリスやビルをはじめ みな親切で豊かで、ほのぼのとした雰囲気を味わえる作品だと思う。ディミティおばさまの物語は愉快で、ベラ(ロリのお母さん)との手紙のやり取りも良いし、ディミティの家や庭や近くの丘の美しい景色をぜひ見てみたい、訪れてみたいと思った。ビルがプロポーズの決め手になったと茶化したオートミール・クッキーもぜひ作ってみたい。<内容>幼い頃、いつも母が聞かせてくれた『ディミティおばさまの物語』。優しくて冒険心いっぱいのおばさまは、ロリのお気に入りだった。でもまさか実在していたなんて!?ある日突然、ディミティの遺言状を受け取ったロリは、指示されるがままに英国のディミティ邸へ。すると暖炉の火がひとりでに燃えたり、白紙の日記帳に文字が浮かびあがったり―。どうやら幽霊になってもなお、おばさまは何か心の傷を抱えているらしく……?幽霊の謎に迫る、シリーズ第1弾。
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女の子の憧れが詰まったような、可愛らしい話。
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ディミティおばさまは意外と出てきません。
ビルの空回りを見ていると、自分がその場にいるようでハラハラします。
大ウィリスがカッコイイです。
最初は、やや卑屈な主人公が好ましくありませんでしたが、
色々な経験を通して愛情を素直に享受出来るようになるにつれ、
好感度が増してきました。
愛情を素直に受け取れるのは大切なことだと教えてくれる一冊。 -
幼い頃、いつも母が聞かせてくれた『ディミティおばさまの物語』。優しくて冒険心いっぱいのおばさまは、ロリのお気に入りだった。
でもまさか実在していたなんて!?
ある日突然、ディミティの遺言状を受け取ったロリは、指示されるがままに英国のディミティ邸へ。
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タイトル買い。
舞台設定がとってもイイ。物語の流れにも無理が無いし。ただ、訳の感じは好き嫌いが分かれそう。
途中、若干ロリに共感できない感じがしたりで読み進むのが遅くなってしまったけど、読んでよかったかな。シリーズものだから、これからに期待! -
2009/06/09〜2009/07/06
決して面白くなくはないんだけど、やはり日本との感性の違い(なんでそこで怒るの?とか)
言い回しや比喩の仕方(若干くどい…)なんかが微妙に違って
それがなかなかな受け入れられず、何度か挫折してしばらく放置してしまいました。
ただ読み切ってみると、その後のロリとビルが気になるので
続きも読んでみようかなあと思ったりもしてみたり。
全体的に優しい雰囲気に包まれた物語でした。「西の魔女が死んだ」に通じるものがあるような。
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「過去は自分の一部だから、それを切り離そうとすることは腕や足を切り離そうと
することと同じだと言われたよ。そりゃ、切り離すこともできるけど、
人として欠けた部分ができてしまうだろうって」
「愛する人を失うことは、乗り越えることでも、くぐり抜けることでも、
切り抜けることでもない。近道はないんだ。受け入れるものなんだ。
すべてを受け入れなくてはならないけど、その方法は人によってちがう。」 -
コージー・ミステリ好きの方のコミュで知り、読んでみました。幼い頃、母から聞いていた大好きな物語に登場するディミティおばさまは、実在の人物だった…!? その優しく心強かった母もなくなり、離婚後一人で頑張っていたロリは、ある日、おばさまの遺言状を受け取ることになって、その弁護士を訪ねたことから、生活が一変することに…。いわゆるシンデレラストーリーのメルヘン的な要素と、知られざる母やおばさまの過去のミステリーと、その謎解きが歴史と相まって人間ドラマとして展開する面白さがうまく織り込まれています。幽霊やミステリーといってもユーモア漂う優しい感じで、イギリスの田舎の家の香りと共に、ファンタジーとして楽しめる佳品。
原作はシリーズもので、来春、次の翻訳が予定されているようです。 -
ロマンチックで楽天的な、寝る前の軽い読書本。一応ミステリ。米国ボストンの200年ものの豪邸、英国コッツウォルド地方の家、スコットランドの古城。地位、教養、お金があって腹はちょっと出てるがいい男付き。「ぬいさま」好きならレジナルドの復活に喝采を送ることでしょう!大事なものは残骸でも取っておくべきなんですね。 派遣の仕事が人を搾取するだけで、人間性をも奪っていくのがアメリカでも同じだとわかりました。 おばさまがなんで婚約を解消したのか書いていないけれどシリーズ化されているってことはまだ成仏されていないって事よね。スコットランドの貴族の跡取り息子とイングランドのジェントリの娘の結婚かぁ。戦時じゃなきゃあり得ない組み合わせかも。あぁぁ、私にも誰か「大いなる遺産」を残してくれないかなぁ。宝くじが当たるのでもいいぞ。
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冒頭、主人公のロリにとってお話の中の存在と思っていたディミティおばさまが実在の人物だと知って驚くところ、ディミティおばさまの話として語られた数々の物語、ウィリス親子とのやりとり、どれもこれも面白くて、なんでもっと早くこのシリーズを読もうとしなかったのかと後悔するほど。それにしても、この話で完結してもいいようなんだけど、どうシリーズになるのだろう。