海のカテドラル 下 (RHブックス+プラス フ 12-2)

  • 武田ランダムハウスジャパン
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本棚登録 : 89
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270103319

作品紹介・あらすじ

アルナウが戦場から戻って3年。海の向こうからやってきた不穏な影がバルセロナを襲った。黒死病である。パニックになった民衆は、恐怖をユダヤ人への憎悪にすりかえて爆発させた。ユダヤ人が襲撃されたのだ。この事件をきっかけに、アルナウはさらなる数奇な運命を辿ることになっていった-戦争、疫病、宗教間の対立や異端審問といった、史実にもとづくドラマは、加速度をつけて流れるようにクライマックスへと向かう。

感想・レビュー・書評

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  • 14世紀のバルセロナ。
    沖の仲仕(バスターシュ)として働いていたアルナウは、皆の薦めで仲間の娘と結婚する。
    だが、アレディスとの関係がなかなか断ち切れずに悩み、戦場へ。
    腕を買われて出世し、帰還するが、バルセロナを襲ったペストの大流行に遭う。
    優しくしてくれた老夫婦や、柔和な若い妻までもが犠牲になってしまう。
    ペストはユダヤ人の謀略という説が出て、ヨーロッパ各地でユダヤ人が虐殺される事態に。
    幼い子供が襲われているのを見過ごせずに助けたアルナウは、ユダヤ人に信頼されるようになる。
    助けた子らの父であるユダヤ人交易商ハスダイが恩に着て、アルナウが両替商として成り立つようにしてくれる。
    片腕となった元イスラム教徒ギジェムの力で、商売は順調。かって虐待された伯父一家にも復讐を果たす。
    沖の仲仕の忘れ形見マールを養女として育てながら、平和な家庭を築いたが、カタルーニャ王ペラ三世に取り立てられたのが仇となり、意に添わぬ結婚を褒美として強いられる。
    男爵として与えられた領地におもむいたアルナウは、初夜権などの悪法をすべて撤廃。農奴には喜ばれるが、領主側には利益を損なわれたと恨みを買う。
    形ばかりの夫婦という屈辱に、王の養女という高い身分の妻エリオノールはアルナウと仲の良い養女を憎むようになり、恐ろしい罠を仕掛ける。
    さらにアルナウは、異端審問の場に引き出される。
    幼なじみのジュアンは、異端審問官となっていた。
    これまでの登場人物すべてが大きく絡み合い、危機につぐ危機の後、大団円に。

    何とも強烈な時代のうねり。
    圧政や疫病という抗いがたい苦難に遭いながら、知恵と愛情の限りを尽くし、自らの尊厳をかけて団結する人々。
    次が知りたくて、読むのをやめられない!
    ドラマチックでした!

  • 一気読み!
    人生の荒波に翻弄されるアルナウ。息もつかせぬ展開で苦しかったけれども読み終わってみれば美しい地中海の光。
    背景となる中世の歴史、宗教、法律、貿易や金融は史実に基づいた物であるらしく、勉強にもなります。
    バルセロナ行ってみたくなる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一気読み!」
      コレ読みたいと思っていたのですが、、、何処からか復刊されないかなぁ~
      「一気読み!」
      コレ読みたいと思っていたのですが、、、何処からか復刊されないかなぁ~
      2013/05/13
    • yurinippoさん
      nyancomaruさん
      これ、おススメですよ〜
      私は古本を購入しましたが、復刊されると良いですね!
      nyancomaruさん
      これ、おススメですよ〜
      私は古本を購入しましたが、復刊されると良いですね!
      2013/05/16
  • 上下巻読んで、深さが増す小説。過酷な記載が多いですが、諦めずに善良さを貫いたものが勝つ…という救われる話でした。良かった。読み進めるごとにじわじわときます。異端審問が始まる前のスペインて、今より多様性が許されていた感じがしました。
    この小説を読んだことで人生に深みが加わった気がしています。

    #夏の読書感想文

  • 14世紀のカルターニャが舞台の大河ドラマ。農奴と領主、バルセロナの都会、職人、海の仲仕、国王、教会、異端審問!
    その時代に生きた人々が鮮やかに描かれる。苦難の連続で、読む方は非常に苦しいのだが、途中で本を置くことを許さない迫力だった。14世紀のスペインといえばまだレコンキスタの最中で、作中にはユダヤ人商人も登場すればモーロ人奴隷も出てくる。戦争がありペストの流行があり暴力と信仰が交錯する。
    始まりが領主の伝統的な特権の初夜権の行使による悲劇なだけに、目を背けたくなる辛苦が次々に起こるが、その中でも親子の情があり、信頼すべき仲間がある。
    胸に強く残ったのは、主人公のアルナウの善良さと共に義弟のジュアンの心の闇だ。あどけない子供の頃を思うにつけて後半の闇は暗かった
    あとは、この時代の女性の地位の凄まじいまでの低さにも胸がえぐられた。
    中世ヨーロッパの生き様が読めて、とても楽しい読書の時間だった。また歴史地図なども手元に置いて再読したい

  • 上巻はたるみまくっていた物語が、後半で一気に加速度を上げて行き、ページを捲る手が止らない!!

    一人の男と彼の周囲の人間たちのドラマティックも数奇な運命。時代の波に翻弄される彼らに、ヒヤヒヤされっぱなし……
    読み進め、どんどん落ちていく展開は苦しかった!

    これぞ娯楽小説っていう物語でした。

  • あ〜、面白かった。

    この出版社はもう倒産してしまったので、新刊では手に入りません。


    古本屋で見つけたら迷わず「買い!」です。

  • 読みたいと思ってる武田ランダムハウスの本5

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    アルナウが戦場から戻って3年。
    海の向こうからやってきた不穏な影がバルセロナを襲った。
    黒死病である。
    パニックになった民衆は、恐怖をユダヤ人への憎悪にすりかえて爆発させた。ユダヤ人が襲撃されたのだ。
    この事件をきっかけに、アルナウはさらなる数奇な運命を辿ることになっていった――戦争、疫病、宗教間の対立や異端審問といった、史実にもとづくドラマは、加速度をつけて流れるようにクライマックスへと向かう!! 」

  • 面白かった!それ以外に言葉はない。批判めいたことを書こうと思ってたけど、読み終わった今感じるのはこのような素晴らしい小説に出会えて幸運だという思いだけだ。久々に「読み終わりたくない」という気持ちを味わった。あー、バルセロナ行きたいなぁ

  • 読み終わりたくなくて、何回も行きつ戻りつしながら読み終えた。
    胸が熱くなる場面がいくつもあって、久しぶりになんか出会えた喜びがありました。

  • バルセロナ、フランスなどを舞台とした作品です。

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