戦争とジェンダー: 戦争を起こす男性同盟と平和を創るジェンダー理論 (somo-somo sosyo)
- 大月書店 (2005年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784272320240
感想・レビュー・書評
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「なぜ、ジェンダー理論が人類の思想史上で
画期的で、革命的かといえば、
それは男性と女性をその性的身体と生理の
呪縛からはじめて解放したからである」(P11)
「性の歴史のなかにはフランス革命はなかった。
いまジェンダー理論がそれをやろうとしている」(P58)
ページが進むにつれて鼻息が荒くなってくる。
P67では権利がないのに義務はあったこと、
責任まで負わされたことに「最悪」を2回連続で
使っている。
でもフェミニストにありがちなこの「鼻息」は
インテリジェンスであり決して感情的ではない。
「自由な性愛を規範化するという家父長制社会の
大きな特徴は、若い男性たちを恒常的な欲求不満に
追いやった」(P43)
フェミニズムは男性の解放でもある。
P6
戦争とはマッチョな男たちが利益を独占し、
自分たち以外の人間にはうまい汁を吸わせないために、
組織的な暴力を振るって自分が強いことを見せ、
みなを恐怖で支配しようとするシステムだ
P16
人を武器として戦う戦争の遂行のために、
死ぬことをおそれぬばかりか、
死ぬことを求め、死に急ぐ若者たちを大量に
生み出した文化装置
P105
戦争を起こすとき、国家は
「偽りの現実を提示する。
場合によっては歴史を完全にねつ造することも
必要になる。誰かを攻撃し、殺戮しているとき、
これは本当のところ自己防衛なのだ、
相手は強力な侵略者であり、
人間ならぬ怪物どもだとおもわせるのだ。
メディアと教育制度を完全に掌握してさえいれば、
あとは学者がおとなくしているかぎり、
どんな説でも世間に流布させることができる」
プーチンのウクライナ侵攻によって
世界中が苦しんでいる現在、
ロシアのグロテスクな状況を鑑みるに
この本を読む意味は深い。 -
ジェンダーの本で、最初に買って読んだのがこれだった。H市の九条の会で若桑さんを呼んでお話を伺ったとき、会場で買ったのだった。そのとき、いわゆるバックラッシュや女性を家庭にというのは、単に医療費や福祉の費用を削って女性という下層階級に押し付ける文脈だけではなく、暴力という技術を使う支配としての戦争を志向する流れなのだということを強くおっしゃっていた。今日(2007.10.06)は若桑さんのお葬式だった。この歴史家を失ったことは大変大きなことだと思う。
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戦争が起こるのは、延々と続いたきた家父長制度のせいで、女性が対等だった時代(大昔)には戦争がなかったというけれど、例えば家父長制が崩壊して女性がほんまに対等な世界になって、政治家の半分が女性になったらほんまに戦争はなくなるのか?
それはおいても面白い本です。世の中を違った視点から見れるようになる。 -
読んだのは少し前だけど、あえて8月6日に改めて。
そんなに読みづらくはないので、一度は読んでみてほしい。
特に男性。
きっと反感を抱くだろうけど、だったらそれが男性の姿じゃないということを、態度で示してください。
期待してます。
(2005/7/3 読了)