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- Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
- / ISBN・EAN: 9784272401222
作品紹介・あらすじ
本書は、私がこの20年あまり、さまざまな科学・技術思想、とりわけ反科学・反技術主義と切り結びながら、折りにふれて考え、記してきた科学史の研究方法探求のまとめといってよい。-史的唯物論にたつ科学史・技術史のエッセンス。
感想・レビュー・書評
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マルクス主義の立場から、科学および技術をめぐるさまざまな論争などについて考察をおこなっている本です。
著者は、戦前の唯物論研究会を中心とする、いわゆる技術論争について検討をおこなっています。相川春喜は、生産力と生産関係の矛盾をめぐるマルクスの議論にもとづいて技術を考察する視点を示し、著者はこの洞察を引き継ぎながら、柴谷篤弘、村上陽一郎、廣重徹らの「反科学論」のたちばを批判しています。「反科学論」においては、自然科学に機械論が「つくりつけ」になっており、いわば科学の原罪としてその偏った自然観が理解されることになりますが、そうした立場は階級問題を無視して科学そのものを悪とみなす誤りに陥っていると著者は批判します。さらに、そうした科学的世界像を克服することを試みたニューサイエンスやポストモダンの諸思想などについても、マルクス主義の立場から批判が展開されています。
著者の立場は教条的な史的唯物論というべきでしょう。おそらく現代では、本書の内容に興味をもつ読者は多くないと思いますが、個人的にはマルクス主義の科学論にもとづく科学史および技術史の概要を学ぶことができるという意味で、おもしろく読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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