徹底検証・昭和天皇独白録

著者 :
  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272520220

作品紹介・あらすじ

宮中奥深く5人の側近をまえにして、昭和天皇は何を語ろうとしたのか。「独白」に秘められた意図は何か。4人の歴史家が縦横に論じ、昭和天皇のまわりにめぐらされた幾重もの政治神話のベールをはぎとる、長時間シンポジウムの全記録。

感想・レビュー・書評

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  •  『文藝春秋』が1990年12月号に発表した「昭和天皇独白録」発表直後の共同討議を活字化したもの。ポイントは(1)この文書じたいが東京裁判を強く意識したものであり、対米英戦争に対する裕仁の責任を否認することを戦略としている。その点で、木戸幸一、岡田啓介以下の「海軍グループ」との「口裏合わせ」の形跡がある。(2)一方、東京裁判を意識した文書であるため、対中国戦争については、裕仁自身が主戦派として行為した形跡がありありとうかがえる。(3)裕仁は「大元帥」として陸海軍それぞれから相当に詳細な戦況情報の報告をうけており(だから「天皇は何も知らなかった」というのは大ウソ)、軍事指導者として、(先回りして裕仁の意向を「忖度」した事例もふくめ)作戦面でかなり大きな影響力を持っていた。また、人物の好悪が激しく、政府や軍の人事にもたびたび介入を行っていた。

  • 東京裁判における天皇訴追を慮り、その対策、法廷提出を念頭において作成された「昭和天皇独白録」。ここから可能な解釈、「独白録」の誤謬・脚色、そして解明されるべき事実を検討する書。推測が多くなっているのは、発見初期に本書の対談がなされていることと、独白録に書かれていない、あるいは、「独白録」の作成目的からは書かれるはずのないことを解明しようとしているからだろう。

  •  了。 いまの日本がどうしてこうなっているのかを知る上で必須の教養

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著者プロフィール

藤原 彰(ふじわら あきら)
 1922年東京生まれ。
 1938年東京府立第六中学校四年中退、陸軍士官学校入学。1941年陸軍士官学校卒業、中国  へ派遣。1945年陸軍大尉で復員。1946年東京大学文学部史学科(国史専攻)入学、1949年卒 業。その後、千葉大学文理学部、東京都立大学、東京大学教養学部、東京教育大学文学部など で講師を歴任。1969年一橋大学社会学部教授・同社会学部長などを経て、1986年一橋大学停 年退職。1989〜93年女子栄養大学教授。
 一橋大学名誉教授。2003年2月26日没。
主な著書
 『日本軍事史(上巻)戦前篇』(社会批評社)、『天皇制と軍隊』(青木書店)、『昭和史』(岩 波新書)、『餓死した英霊たち』(青木書店)、『中国戦線従軍記』(大月書店)、『日本近代 史』(岩波書店)など多数。

「2007年 『日本軍事史(下巻) 戦後篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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