UNIXという考え方: その設計思想と哲学

  • オーム社
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  • Amazon.co.jp ・本 (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784274064067

作品紹介・あらすじ

UNIXは『OS』ではない。それは『考え方』である。誕生から30年を経て今もなお第一線で使われる古くて新しいOS、UNIXの秘密を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • UNIX におけるプログラムの開発と利用のあるべき姿を定理という形で述べている。プログラムは小さく、シンプルに、というメッセージが全体を通して伝わってくる。基本的コマンドである ls でさえ、シンプルさが損なわれているとして批判されているのは興味深い。原著が少し古いため、スペックの話などで古さを感じるかもしれないが、本質的なところではないので問題ないと思う。

  • 面白かった。UNIX特有のクセの強さの理由を知れた。

  • 教員からの推薦図書。
    教員からのコメント:以前、「Life with UNIX」という本を紹介したことがあった。そのときにもいったことがあったかも知れないが、UNIXというのは、単なるオペレーティングシステムではない。思想なのである。
    この点をよくわかっていないと、「なぜUNIXにはパイプとかリダイレクションという仕組みがあるのか」とか、「なぜUNIXはすべてのものをファイルとして表すのか(従って、cat somefile > /dev/tty0 とやれば、画面にファイルの内容を出せる)」といったことが今ひとつぴんとこないかも知れない。
    UNIX(SolarisであれLinuxであれFreeBSDであれば、いわゆるUNIXをご先祖に持つ、あるいは精神的な先祖に持つシステム)は、ほぼ1つの思想を共有している。本書の表現を借りるなら、
    ・スモール・イズ・ビューティフル…プログラムは1つのことを忠実に行えるよう設計されるべし
    ・まず試作を…考えている暇があったら直ちに小さな仕組みから取りかかれ。
    ・効率性より移植性…将来、あるいは別のシステムで使われることを考慮せよ。
    ・データはテキストファイルに保存せよ…テキストファイルなら誰でも読める。
    ・システムを結びつけるならスクリプトを使え…シェルスクリプトは、UNIXシステム最強のツールである。ツールを結びつけるための、生産性向上に役立つ強力なツールだ。
    ・すべてのプログラムはフィルタである…自分のプログラムの入力(出力)は他のプログラムの出力(入力)かも知れない、ことを意識せよ。
    まァ、上のようなことをまとめてしまえば、この本を読む必要もなくなってしまうのであるが、本書は、それがなぜ重要なのか、基本的なところから解きほぐしているところが重要である。
    パイプやリダイレクションなどはあまりに特徴的で、ぴんとこない点も多いかも知れないが、その裏には、1970年代に小さなプログラムしか書くことを許されなかったコンピュータ事情が存在した。そして、その結果として、1つの仕事をまじめにこなすプログラムを組み合わせて仕事をする、というスタイルが生まれたのである。
    これは、いまのGUI全盛のコンピュータ環境とはまったく異なるアプローチかも知れない。Windowsのエクスプローラーであれ、GNOME環境のNautilusであれ、lsやrm、mvが行うことはすべてのこのプログラム1つでまかなえてしまう。しかし、例えば、10000個のファイルの拡張子をすべて大文字から小文字に変える、という仕事をしなければならないとしたらどうだろうか。愚直にエクスプローラーでやってもよいが、そんなことはコンピュータに任せればよい。シェルスクリプトであれ、Perlであれ、十数行のスクリプトさえ書けばあとは実行するだけで終了だ。そして、そのスクリプトは再利用がきく。
    UNIXというのは、このような仕組みを備えた思想を具現したシステムなのである。それを学ぶことは、将来コンピュータというものを使っていくときに、ただ漫然とブラウザとエクスプローラーだけをさわる人生になるのか、自分で使える道具を組み立ててコンピュータを使いこなせるようになるのか、その大きな違いを生むことになる。少なくとも「そういうことを知っている」だけでも大きな違いだろう。
    本書は、他のシステム(例えばMS-DOS)などとの比較を通して、UNIXの特徴、そしてその思想を浮き彫りにしていく。内容も平易で、UNIXシステムに触れた1年生でも十分に読みこなせるくらいである。ただ、若干内容が古いのが難点である。本書で比較されるOpenVMSやMS-DOSは80年代のシステムなので、その点がちょっといまの読者には難があるといえるところであろう。
    しかし、UNIXシステムですら巨大なウィンドウシステム(GNOMEやKDE)の皮をかぶり、インタフェースがみえにくくなってきているいまだからこそ、この思想を受け継いでいくことが大切なのである。それは、巨大なプログラムを書くときにも必ず移化されてくる。そして本書を読み終わったとき、実はUNIXは、この社会を忠実に反映したシステムである、ということに気づくであろう。薄い本である。ぜひ読破にチャレンジして欲しい。

  • 読みやすい本。

  • 図書館で借りた。
    UNIXの開発哲学にまつわる名著。長いこと一度読んでみたいと思っていた本。
    UNIXはどのようなコンセプトで作られているのか、またどんな考え方で開発すればよいのか、といったあたりが書かれており、技術書でありながら、100頁ちょっとで読める、本は薄いのに内容は濃い。

    ただ、個人的には大学で出会った当初からUNIXに慣れ親しみ、教育を受けてきたこともあったので、それほど真新しい情報は無く、「うん、やっぱりそうだよね」な感想で終わった。
    Windowsで育ってしまい、Linuxに苦しんでいるような新米エンジニアにはぜひ一度読んで見ることをお薦めしたい本。

  • Windows以外のOSに興味が出てきた頃に買った一冊。結局まだLinux等触れていないので専門的なことはわからなかったけど、内容はUNIXをテーマとしたソフト開発や技術開発の本質を語っているように思えた。個人的には以下が刺さった。
    ・スモールイズビューティフル:日本人向き(本著も日本語訳が最初)、小さいものほど美しい、大きいプログラムも小さいプログラムの集合にする
    ・早く試作を行う:①急ぎの試作、②過度な機能、③プログラムを洗練する
    ・独自技術症候群を避ける:梃子の効果、既成のものを上手く使う
    ・90%の解を目指す:難しいところは故意に無視する

    「早い試作を行う」は特に自分も大切だと思っていてなかなか一歩目を踏み出せないことが多いので今後も意識していきたい(UNIXを試す前にこの本を読んでいるのもかも尻込みかもしれないが...)。ソフトの自由度と難易度は比例することを痛感している最近、UNIXは自由度を優先したOSで使いこなせれば面白いんだろうなとより興味が湧いた。

    今後Linuxに触れる機会がありそうなので

  • 2000年頃の名著。
    当時の状況を回顧的に見るのもおもしろいが、ほとんどの定理が、現在でも通用するのが素晴らしい。
    「ソフトウェアに完成はない。ただリリースがあるだけ」「紙には気を付けることだ。それはデータの死亡証明書といっていい」シビレる言い回し。
    かくありたい。

  • GM1a

  • 結構前の書籍だけど、UNIXの不変的な考え方の本なので、読み物として面白かった。

  • ソフトウェアは、小さく、少ない機能で、柔軟性、移植性を持って書き、人との対話よりも、ソフト同士の連結性を重視して、書くべし、、、というUNIXの思想を具体的事例を交えて説いてくれる。2001年の本だけれども、今でも生き残っているOSの根源的な考え方なので、通用するのがむしろとてもおもしろい。技術の背景にある思想が学べるというのがとても好きだと気付かされた。

    # ずーっとかばんに入れていて、他の本がスタックする原因になっていたのでだけれど、腰を据えて読み始めれば2時間ぐらいで読めた、、、。

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