原子力発電がよくわかる本

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著者 : 榎本聰明
  • オーム社 (2009年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784274206719

原子力発電がよくわかる本の感想・レビュー・書評

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  • 基本的な事項について勉強できる本。そういう意味では読みがいがあると思う。しかし、原発は安全でクリーンで安いという前提から議論が進んでいるので、「それが崩れたとき」という仮定は、検討事項になっていない。やむを得ないといえばやむを得ないが、、、、

  • 【読書その266】原子力発電の基礎を勉強しようと手に取った本。出版日が平成21年であり、東日本大震災が起こった今では状況が全く違うものの、基本的な仕組みを学ぶ。

  •  原発に関する情報が網羅されていて,技術的にも詳しくためになる。著者は東大の原子力工学科を出て東電に就職,原子力本部長まで行った人だから,今だとバッチリ原子力村の村人認定か…。三年前の本。
     原子炉の制御の話いろいろ知らなかった。原子炉の出力って必ずしも制御棒で制御するわけでなくて,ホウ酸濃度とか冷却材の流量を変化させて制御したりするんだ。
     BWRの場合,冷却材である水の流量を上げると,燃料棒表面に分布する気泡の分布が変って,燃料棒付近の水の量が増える。そうすると水は減速材でもあるので,中性子がより減速されるようになって核分裂が増え出力が上昇する。制御棒を小刻みに動かすのは悪影響が大きいので流量変化で制御するといい。
     内容が偏向しているかというと,それほどひどくは感じられなかった。ただ廃棄物問題等,やっぱり楽観的。原子炉一基が一年稼働すると,ガラス固化体が30本にもなるとは「そんなに?」驚いて読んだのだけど,著者は十万世帯一年分で一本だから少ないと強調(p.204)。うーんちょっと感覚が違うかも。いやでもそれだけ大量のエネルギーを使っているということなんだな。と後ろめたさを感じたりする。
     著者のように,原発に「携わっている」という事実は認知的不協和を生むのだろう。ゼンメルワイスの説を受け入れようとしなかった医師たちと何だか似てる。原発の場合は批判者のレベルが概して低かったり,推進者向けでなく市民向けのアピールに偏っていたりして。
     原発側であれ反原発側であれ,批判に耳を貸さない方が仲間内での評価アップにつながることはあるのかも。未知のこと,不確定のことが多いので,科学的論理的に破綻してなくてもかなりの裁量の幅があって,その範囲内での極端には行ってしまいそう。

  • 原子力発電所の基礎技術から法規制までわりとコンパクトにまとめられており読みやすい。

    核燃料サイクルの部分がやっぱり問題なのだと再認識しました。

    なおこの本がニュートラルじゃない、原発推進派っていう批判する人もいるかもしれませんが、何よりもこういう考え方もあるのだととる必要はあると思うのです。

    こういうことも考慮して原発に賛成するのか反対するのか、スタンスとる人はとればいいと思います。

  • 原子力発電のみならず、東電がいかにして原発安全世論をまきちらしてきたかが「よくわかる本」である。最初から最後まで「原発安全!、コスト安い!」の一辺倒で、筆者略歴を見ると東電のおえらいさんだったという。ほんとわかりやすいね(笑)。個人的には反原発とか嫌原発ってわけでもないのだけれど、原発っつうのは便益とコストの比較衡量(つまり経済学)では議論できないんじゃないかという気がする。だってね、タバコのほうがガンにかかる確率がどうだとか、原発事故で死ぬより飛行機が落っこちて死ぬ確率がどうだとか、意味ないでしょ、そんなの。いったん事故が起こってしまえば、10万年単位の影響が出るわけだから。で、チェルノブイリやフクシマのように事故は起こってしまっているわけだから。原発やめたら電気代が上がって産業界が保たないとか、日本がやめても中国、インドはやめないとか、もうそういう話じゃないと思う。一時的にコストは上がっても、日本だけは脱原発のエネルギー政策転換とそれに伴う新技術開発に舵を切らないといかんでしょう。それが世界でただひとつの被爆国の生きる道でしょう。というわけで、本書とはまったく関係ないことをつらつら書いてしまったのだけれど、兎も角「原子力発電がよくわかる本」であることだけは間違いないです。いろいろと勉強になりました。以上。

  • 原子力工学を専門とし、原子力発電所長等も務めた著者が、原子力発電の原理、その安全性、リサイクル、廃棄物処理、経済性等について解説している本。

    原子力を専門とする(東京電力出身でもある)著者なので、原子力賛成派なのはもちろんで、そういう意味ではニュートラルな本ではないが、基礎の基礎が平易に書かれている本ではあると思う。
    今回の震災で、原子力について、自分があまりにも知らないことにちょっと愕然とし(まあそんなこと言ったら、火力発電だって太陽光発電だってよくわかっていないんだけど)、Amazonで探した本。

    この本で、原子力発電が「よくわか」ったとは言えないが、何というか、原子力の難しさがわかった。理論の部分は何となく、ふぅんまぁこんな感じかというのは掴めたが、原発を組み立てている原子力工学の部分なんかは、門前の小僧的に聞きかじっても理解できるものではなく、きちんと勉強しないとダメなんだろうなぁ、と思う。組み立てからエネルギーの抽出、保全、廃棄物の管理、最終的な廃棄など、非常に多岐に渡る技術が必要で、関わる人も多いのだろうというイメージは沸いた。
    保全についてもきめ細かく想定され、個々の技術者の人もきっと真面目に誠実に仕事をこなし、管理がなされていたのだろう。
    一方で、想定を超えることが起きてしまったときに、「非常停止」できないものの怖さについては、この本では触れられてはいない。

    コストが安く(?)、二酸化炭素排出量が少なく、リサイクルすれば枯渇もしにくいが、しかし、安全管理を厳重にしなければならないというのが基本の基本ということか。
    原子力って、運用の難しさ以外にも、毒性の理解の難しさ(核種が違えば半減期も違うし毒性の強さもきっと違うわけで、そして非常に高い線量でなければ、影響が「すぐに」でるわけでもなく・・・)、政治的な難しさや、歴史上、兵器として使われてしまった過去を踏まえての難しさもあり、複合的に難しい感じがする。カネも絡むんだろうし。

    技術が複雑化している中で、理解できないことを残しつつ、最後はやはり感覚的に決める部分がでてきてしまうのかな・・・。

    とにもかくにも、福島第一の収束を強く願う。

    *グラフや図が多用されており、読者が自分で考える一助になっていると思う。

    *事故のタイプ別のリスク計算表が乗っていたが、過去の事例を元に計算したもの(もちろん、今回の事故は入っていない)。原子力発電の歴史がそんなに長くないのに、retrospectiveな分析をしても仕方ないような気がしたのだけれど、どうなんだろう・・・?

    *自分の家の近所に作ってほしくないものを、自分の家の近所にも、よその家の近所にも、作ってはいけない、というのが自分にとっての最低ラインかなぁ・・・。それが「安全性を高めた原子力(・・・?)」につながるのか、「別の発電」につながるのか、「エネルギー消費の削減」につながるのか、まだよくわからないのだが。

    *人は原子力を本当に管理しきれるのだろうか?

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4274206718
    ── 榎本 聰明《原子力発電がよくわかる本 200903‥ オーム社》
     

  • 著者の榎本聰明氏は元東電副社長。一般の人の疑問について答え、分かりやすく伝えたい、と書いた、という。とはいえ、原理の部分は文系人間にはやや難しい、というのは正直な感想。こればかりは仕方ないかもしれない。

    設計、運転管理に携わった人間がどのような考え、思いで原発に臨んでいるのかが分かるが、福島第一原発事故と照らし合わせると、疑問や矛盾も感じるのは確かだ。

    以下はドッグイヤーした箇所。

    原発は認可手続きに4〜5年、実際に建設されるまでに5〜6年、かかるという。開発開始から運転までは約20年を要する。

    原発の立地条件としては以下の通り。

    1)地質・地盤などの自然条件や社会条件が良好であること
    2)発電所要四の取得が容易なこと
    3)設置後の環境影響に問題がないこと
    4)漁業補償などを含む地元との合意形成が可能なこと
    5)電力の需要地までの送電線網ができること

    最も関心を集めている地盤については「硬い地盤がそれほど深くなく発電所を岩盤上に設置できること、近傍に活断層のないことが要求される」という。

    事故については内部事象と外部事象によるものがある。外部事象は地震、津波だ。本書では、「技術的また経済的に対処できないようなものが想定される場所には立地を避けなければいけません。また、立地した場合は、その場所において想定される最悪の事象に対して、安全機能が確保されるように設計上の配慮がなされます」とある。

    一方、放射能漏れ防止については「自信がなければ、自信がつくところまで改善、改良するのが道理です。自信があっても『人間には思いつかないことや、考え落としがある』と思うことを出発点にする」という。

    また、リスクやコストに関する計算、高速増殖炉、処理問題などにも触れられている。

    ところで、原子力に変わるエネルギーの可能性はないのだろうか。

    非在来型石油資源としては、オイルシェールというものが注目されているという。総資源量は在来型の約3兆バーレルに対して、6兆バーレル以上。しかし、現状では採掘コストが高く、処理問題にも課題が残っているそうだ。

    また、注目の太陽光発電については稼働中はCO2を排出しないが、パネルの製造過程などにおいて、原子力や水力より多く排出している、としている。

    1kWh当りのCO2排出量では石炭(975)、石油(742)、LNG火力(608)、LNG火力複合(519)、太陽光(53)、風力(29)、原子力(22)、地熱(15)、中小水力(11)となる。

    原子力、今後のエネルギー問題を考える上で、読んでおきたい本。

  • 166、167ページ    
       ◆ハイブリット型→ハイブリッド型

    219ページ
     発電所の設備の余裕を活用して、出力を最大十五%程度上昇(アップレーティグ)する取組みも一部の発電所でなされました
       ◆アップレーティグ→アップレーティング

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