- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784284305952
感想・レビュー・書評
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この問題は本当に複雑でしかも複合的なため簡単に答えが出せない.
しかし,児美川先生のリードでうまく論点がまとめられている.
はっきりとは分からないままではあるが,どうにかしなければならないことではあるのだろう.
ある種の格差を悪とするか容認するか.
色々考えさせられるが,大学が多すぎることは間違いないな.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リーマンショック以降、新卒の就職難が社会問題となっているが、この「就職問題」を正面から取り上げ、20人にものぼる有識者が、様々な角度から「就活問題」を論証している。
本書の編者である児見川孝一郎氏は、「就職問題」、すなわち若者の就職の困難とは、取りも直さず戦後の日本社会が作り上げ、そこにどっかりと腰を下ろしてきた制度や慣行、システムが機能不全に陥っていることを意味するという。
にもかかわらず、採用する側の企業も、学生を送り出す側の学校も新たな局面にたいして有効な方策を示すことができていないため、「就職問題」が一向に収まる気配を見せない、というのが本書の多くの執筆者の見解である。
そして、この問題の原因である企業及び学校の就活に対する現在の取り組みを検証し、改善策を呈示している。
一方、当の学生(求職者)はどうかというと、彼らの資質や就活への取り組み姿勢にたいして否定的な意見は少なく、むしろ、企業と学校の両者の無策の犠牲者と捉える論調が主流である。
この点、ゆとり世代等といって、学生側の問題と捉える見解もあろうが、未曾有の不況下にあって、じゅうぶんな対策を講じない学校や非正規雇用を増やしてその場を凌ごうとする企業の姿勢にこそ問題の根源があると私も思う。