古典和歌解読 増補版: 和歌表現はどのように深化したか

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  • Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305706690

作品紹介・あらすじ

古今集に仕掛けられた撰者の知的挑戦を、千年の時を経て遂に解読。
本書は、『万葉集』から『古今和歌集』を経て『新古今和歌集』に至る和歌表現の歴史を、わかりやすく、そしておもしろく叙述しようとする試みである。
「補章 和文に応用された複線構造による多重表現」を増補(18頁増補)。

【『古今和歌集』の和歌は、平安中期以来、封印されたまま眠りつづけてきたという現実を直視することから本書の考察は出発する。
 『古今和歌集』を専門にしたり、専門領域に含めたりしている研究者たちでも和歌が読み解けていないなどと公言すると、確信犯とみなされかねないが、それは、見解の相違を超えた客観的事実である。本書に提示する解釈にも細部的修正はひつようであろうが、大筋において、そのように言わざるをえないと筆者は考えている。
 専門家に読み解けていないのは、表現を解析する装置(device)が適合していないからである。比喩的に言えば、カラー放送をモノクロテレビで受像しているからである。適切な受像器に取り替えれば、目の覚めるような美しい世界が目の前に広がるであろう。その比喩を延長するなら、本書は、和歌表現に適切に対応する機器の操作マニュアルであり、美しい映像のデモンストレーションでもある。その映像が幻影でないことを確実に証明できるなら、この問題はおもしろそうだと期待して、以下の考察に加わっていただきたい。】……序章より

感想・レビュー・書評

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  •  この本の主題は、和歌表現の歴史に道筋を付けることである。どうして高校古文や古典文法で教えられるデタラメが通用してきたのかを、専門家だけでなく、一般読者にも理解できるように叙述されている。和歌表現はどのように深化したかなど和歌表現の歴史が分かりやすくそしておもしろく書かれている。
    (匿名希望 教育学部 国語)

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著者プロフィール

出生 1929年、東京。
筑波大学名誉教授。文学博士。

著書
日本声調史論考(風間書房・1971)
国語史学基礎論(笠間書院・1973:増訂版 1986:簡装版 2006)
いろはうた—日本語史へのいざない(中公新書 558・1979:講談社学術文庫・2009)
日本語の世界7〔日本語の音韻〕(中央公論社・1981)
仮名文の原理(笠間書院・1988)
やまとうた—古今和歌集の言語ゲーム(講談社・1994)
仮名文の構文原理(笠間書院・1997:増補版 2003:増補版新装版 2012)
日本語書記史原論(笠間書院・1998:補訂版 2000:新装版 2006)
日本語はなぜ変化するか—母語としての日本語の歴史(笠間書院・1999:新装版 2013)
古典和歌解読—和歌表現はどのように深化したか(笠間書院・2000:増補版 2012)
日本語の歴史—青信号はなぜアオなのか(笠間書院・2001:新装版 2013)
みそひと文字の抒情詩—古今和歌集の和歌表現を解きほぐす(笠間書院・2004:新装版 2012)
古典再入門—『土左日記』を入りぐちにして(笠間書院・2006)
丁寧に読む古典(笠間書院・2008)
伊勢物語の表現を掘り起こす—《あづまくだり》の起承転結(笠間書院・2010)
平安古筆を読み解く—散らし書きの再発見(二玄社・2011)
日本語を動的にとらえる—ことばは使い手が進化させる(笠間書院・2014)
土左日記を読みなおす—屈折した表現の理解のために(笠間書院・2018)

解説執筆
小川剛生(おがわ・たけお 慶應義塾大学文学部教授)

「2020年 『新版 徒然草抜書 表現解析の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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