室町時代の少女革命: 『新蔵人(しんくろうど)』絵巻の世界

制作 : 江口 啓子  鹿谷 祐子  玉田 沙織 
  • 笠間書院
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本棚登録 : 60
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305707451

作品紹介・あらすじ

少女は男となることを望んだ……!
男装して宮中にあがり、帝の愛をめぐって姉と争う少女の物語絵巻。

男性だけが成仏できるとされた時代、女性はどのように生きたのか―。
人物絵の隣に台詞が書かれた「室町時代のマンガ」とも言える、ユニークな佳品。マンガ的吹き出しつき現代語訳に加え、絵巻全体を写真で紹介。本作品が持つ意義も多方面から、あますところなく伝えます。

『新蔵人』絵巻は中世に多く作られた短編の物語絵巻の一つ。 絵は墨線のみによって描かれ、絵巻の縦寸法は約11センチの小型です。 絵の中には言葉が書き込まれていて、通常、それは場面説明や登場人物たちの台詞を表しているものですが、『新蔵人』では画面説明が一切ありません。すべて登場人物たちの名前と会話だけで成り立っているのが特徴です。 絵の前には、詞書という文字テクストだけで成り立っている部分が存在し、交互に展開することで物語は進んでいきます。 少女が男装するといった物語の筋をとってみても、まさに室町時代の「マンガ」! 『とりかへばや』などの系譜に連なりつつ、独自の結末を迎える『新蔵人』の世界をご堪能ください。
本書では、上巻をサントリー美術館本、下巻を大阪市立美術館本を底本にしています。

感想・レビュー・書評

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  • 室町時代に書かれた「新蔵人」。話は女子が男として出仕して、帝に見そめられて男のまま子供を産む。既に帝の子を産んでいた姉の子として扱い、その姉に嫉妬。帝に飽きられ出家!というやつでした。面白いのが、吹き出しのある絵巻。セリフが生き生きしてました。
    翻訳も原文も解説もあり、全部まとまった読みやすい本でした。

  •  室町時代に作られた白描小絵『新蔵人』絵巻についての解説本。
     
     自らの意志で男装して出仕した女君が、先に出仕した中君を出し抜いて帝の寵愛を受け、男宮をもうけるが、その後、見限られ、元の性に戻ることなく、大君の尼寺で出家遁世する物語。
     
     物語としては深みが足りない気もするが、「あこはただ、男になりてぞ走り歩きたき」「変成女子(へんじょうじょし)」と語る姫君は、「意識的に性別やジェンダーの枠を飛び越えようとした新しい女主人公像」であり魅力的。
      
     絵巻自体を見せ、会話は特に吹き出しで現代語訳する方法はとても分かりやすかった。
     それだけでなく原文、解説をあわせ収録しているのも嬉しい。
     山口藍のカバー絵も魅惑的。
     
     あとがきに「より広い読者に開かれた書物を」との狙いがあったとありますが、確かに門外漢にも優しい本でした。

  • 室町時代のマンガですって!

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    http://kasamashoin.jp/2014/09/post_3023.html

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