ビルディングの終わり、ア-キテクチュアの始まり: 10 years after any

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  • 鹿島出版会
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306045316

作品紹介・あらすじ

本書に収録された磯崎新、浅田彰によるテキストは、1991年から2000年まで世界の諸都市で開催された、建築と哲学を討議する"Any Conference"のために共同で執筆されたものである。巻頭に、現在の建築状況を解読する磯崎新の書き下し論考を収録。

感想・レビュー・書評

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  •  磯崎新さんのこれまでのヒストリーをドラマ風に説明すると、父親が事業に失敗して莫大な借金を作り、次いで母親が突然蒸発(『空間へ』,1971)。それがきっかけにグレ始め、地元の暴走族に加入(『建築の解体』,1975)。しばらくは荒れた生活をしていたものの、このままでは駄目だと思い、とり合えず土建屋に就職。何も考えず二十年間ドリル片手に汗水垂らしていたが (『手法が』,1979) 、むかし仕事帰りに立ち寄ったおでん屋の味がどうしても忘れられず、ドリルを串に持ち替え、土建屋で培った精神力で自分の店をオープンさせる(『造物主議論』,1996)という流れで、だいたいはまとめられると思う(磯崎先生ごめんなさい)。   

     冒頭に収められている「〈建築〉/建築(物)/アーキテクチュア または、あらためて造物主義」では、その後の経営状態、つまり磯崎新さん自身(あるいは九十年代以降の建築)を取り巻いている諸問題をある程度は把握できるのではないだろうか。特に最近の「イコン」、「漢字」、「アルゴリズム」(分からない人はおでんのネタだと思ってください)をめぐる磯崎さんの建築の構想には舌を巻く。

     ちなみに本書で言われているAnyコンファレンスとは、磯崎さんらが中心となって一九九一年から二〇〇〇年までに毎年行われた国際的な建築会議のことで、その記録はAnyシリーズとして書籍化されている。本書は、コンファレンスで磯崎新さんと浅田彰さんがコンファレンスで発表したものだけを一冊にまとめたものである。Anyシリーズは十冊もあるため、磯崎さんのところだけを拾い読みするには、とても便利。(T.N)

  • ビルディングの終わり、アーキテクチュアの始まり―10 years after Any
    (和書)2011年06月25日 20:04
    磯崎 新, 浅田 彰 鹿島出版会 2010年1月


    彼らは、寡頭性としてのエリート(民主主義への憎悪)なのか?それともアナーキスト的なのか?

    浅田さん自身が、一切の諸関係を覆そうというのなら分かるけど、それにしてもちょっと衒学的だなーって思うことがある。でもそれは単に柄谷さんと比較してしまうとそう見えてしまうだけで実際は違うのかも知れない。

    磯崎さんは、建築家だから言えることと思う部分がある。そういう視点を持てるのは羨ましくもあるけど、こないだのシンポジウムではアーキテクトという言葉がどういう使われ方をしているのかいろいろ示していた。アーキテクト批判(吟味)ということだろうと思う。本人がしているから超越論的ということか?

    最近は、柄谷さんの本に書いてあった、抑圧されたものの回帰、互酬交換の高次元での回復ということを考えています。それは自分にも言えることだし、自分以外にも言える。柄谷さんがいう統整的理念は否定されても、執拗に否定されても、否定し抑圧されても、否応なく回帰するものだと書いてあった。回帰すると信じることが統整的理念なのだろう。

  • 磯崎新と浅田彰の論考集。

    なら100年会館が磯崎新の中で結構重要な作品だったってのは意外だった。
    繋がりで「モル的メタボリズムから分子的メタボリズムへ」は面白かった。

    まぁでも最後の浅田彰の「われもまたアルカディアにー近代建築の天人五衰」が何より興味深い。
    フィリップ・ジョンソンについて書かれているわけだが・・・。
    嗅覚って大事ですね。

  • 建築論の部分はすっきりするけれど建築物の話になると途端にすっきりしなくなりましたが、年代を整理しながら読むと、小学生の時はこんな議論してたのかって所から現在の私までつながって、十数年の論を追体験できる面白い書でした。

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著者プロフィール

磯崎新(いそざき・あらた) 1931年生まれ(85歳)。建築家。代表作「つくばセンタービル」でポストモダン建築の旗手と目された。1996年ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞受賞。

「2017年 『空間へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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