アメリカ大都市の死と生 (SD選書 118)

  • 鹿島出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306051188

感想・レビュー・書評

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  • 通りの使い方が分散されることによって、特殊化されたサービス機関や商店もうまくやってゆける
    下町こそ人間のためのものだ
    近代都市計画は巨人のチェス遊び・垂直型田園都市(高層ビル)の弊害
    都市は多様性が必要
    多様性が成立する要件:街区ブロックが小規模、人口が高密度に集中している
    住居の高密度(面積あたりの住居数)と住居の過密(一軒あたりの人口)を混同するな
    都市はすべての市民のために市民がつくりあげたものであるときのみあらゆる人に対して何らかの役立つ能力を持つ
    理想的な生活(下町でみられる風景):子どもたちは歩道を歩いている人や窓から見ている大人たちの目に守られて、思い思いに色々な歩道での遊びをやったり、キャアキャア騒ぎながら追いかけっこをすることに熱中する。
    遊び場をきれいな公園に切り離さず、子どもを通りで遊ばせろ
    歩道と建築、商店と住宅、人と車、広場と道路、それらが互いに補い合う作用こそ、多様性の機能(近代都市計画理論の基礎にある、機能の単純化と逆行する)

    しかし、これらの意見を実現する建築理論は発展途上

  • 2008-08-12

    名著といわれますね.

    翻訳は元共生党党首で昨年逝去された黒川紀章先生
    死人にむち打ちますが,翻訳は・・・ツライです.
    内容はいいのですが超読みにくかったっす.
    (原著にあたるべき??)



    しかし,街作りや都市計画において,非常に重要な視点を与えてくれます.

    まだ,学問的にはその域には私たちは達していませんが,都市とは創発的実体であり,行政は箱物を作ることは出来ても,
    活動を生み出す事は出来ない.トップダウンには,さまざまな制度を通して周縁制御する事しかできない.

    都市には多様性が必要であり,それは各経済活動の補完的なビジネスによって徐々に形成されていく.

    一つの地区は複数の用途をもっていなければならない.



    都市とはなんとシステム論,学問的にチャレンジングな存在なんでしょうか.



    ジェーン・ジェイコブスの言うところによると,「街のたばこ屋」はすごい重要,

    それから,住人達の視線がそそぐ街路も重要.



    都市計画家やデベロッパーは静的・グラフィカルな田園都市像をつくりだして,理想の街をハコモノとして作るが,往々にして,
    理想的な場所は最悪の場所になり,みんながわざわざ出てきて遊ぶはずの公園は荒廃する.

    描かれ大きな区画でトップダウンに作られた都市に,実際に人を入れると人々にとっては,居心地の悪さが感じられる.

    これは現在もマンションや,新興の土地,ATRのある新祝園やBKCのある南草津でも見られることですね.

    人間の経済活動を要素として捉え,その動的性質を上手く活性化させることで生き生きした都市を造る,「育てる設計論」なんてのは,
    結局まだだれも持ってない.

    これなくしては政策も場当たり的にならざるをえんし,効率もわるいわな.

    ジェーン・ジェイコブスの警鐘は未だに大きな意味がある.

    しかし,黒川紀章が後書きにも書いているように,それはまだ設計論には結びついていないのだ.


    現在,まちづくりにおいて,「公」としての行政に任せるのではなく,NPO,諸企業によるコミュニティ・
    ビジネスによりボトムアップに形作っているアプローチが注目されているが,

    特に日本人は公のことは「お上」に任せ,なにか問題あれば「お上」=「官僚」「役所」「政治家」
    のせいにするという非民主主義的な根性が強いので,現在のこういう風潮はとりあえずはいいことだと思う.

  • 日本語はこなれていない。しかし、都市とはどういう場所であるべきかという主張には強く共感できる。

  • 異端児による都市論として名高く、一度は目を通しておこうと思っていた本である。原著が悪いのか訳が悪いのか僕の頭が悪いのかよくわからないところも沢山あったが、まあよしとしよう。

    人工的な都市計画論に反対し、下町こそ人間のための町だという主張をし、その特徴である多様性を生み出すための4条件について描き出す。学問的厳密さにややかけるが面白い。

    キャンベラのあまりの人口としっぷりに辟易として、チューリッヒや下北沢のような下町をブラブラ歩くのがこの上なく好きな僕としては、同じ趣向を持った人間と話すような楽しさを味わった。(ああ、チューリッヒまた行きたい!)

    多様性の要件としてるのは以下の4つである

    1.混用地域の必要性
    地域が住宅地やオフィス街など単一の用途しか持たないのではなく、2つ以上の機能を持っていること:近代都市計画の単調なゾーニングに対する批判
    2.小規模ブロックの必要性
    いくつものルートが利用できることで、そのつど新しい発見がある(チューリッヒがまさにそうだった)
    3.古い建物の必要性
    新しい建物ばかりでは、儲けの多い事業しか存在できなくなってしまう(古い建物も残した多様な都市のイメージ):再開発により一気に街が更新されてしまうことへの批判
    4.集中の必要性
    高い人口密度で、子供、高齢者、企業家、学生、芸術家など多様な人々がコンパクトな都市に生活していること

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 出版社/著者からの内容紹介
    ハワード、ル・コルビュジエにつづく近代的オーソドックスな都市計画と都市再開発の理論を攻撃し、アメリカ大都市の近隣築を自ら探り、街路の多様性などから新しい都市計画の原理を求める。


    出版社からのコメント
    アンチ近代都市!ジェイコブス女史の下町論が炸裂。多様性のデザインの必要を叫ぶ衝撃の一冊。

  • 内容は色々と面白かったり発見があるのだが、翻訳が酷いという

  • アメリカのジャーナリスト、ジェーン・ジェイコブスが語った、都市論。
    1970年代の新宿のようなスーパーブロックの都市開発批判になっている。

    近年、日本でもコンパクトシティ政策bが取り上げられ、
    彼女の都市論が再考されている。

    訳者は黒川紀章。
    4章構成の原著から、第2章までをこの著書で訳している。
    ジャーナリストだから専門用語を知らないのか、
    紀章の訳が下手なのか、少々読みにくい部分があるが、
    アメリカの実際の地区を事例に語っている。

    しかし、
    「この本に図や写真がないのは、あなたがたの身の周りの光景のすべてがこの本の図や写真なのだ」
    と、ジェイコブスは語ってしまい、
    日本で読むのは事例の空間が想像できないので、
    若干の辛さがある。

    アメリカにいったらこの本を読みながら街を歩くといいかもしれない。

  • ジェーン・ジェコブスの本が読みたくて買った。もう少し社会よりな都市計画の話かと想像していたが、歩道など実際の都市のパーツの設計の話が多く、設計者むきかもしれないと思った。

  • 卒業研究のため読んだ本。
    田園都市、輝く都市をすぱっと切っていた切り口に一人でうなった本。
    非常に興味をそそった本だけど、字が多くて大変でした。

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ジェーン・ジェコブスの作品

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