江戸東京のみかた調べかた

  • 鹿島出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306093072

作品紹介・あらすじ

江戸の古地図を手に、東京のまちの成り立ちや景観を調べてきた「東京のまち研究会」の著者らが、西欧都市とは本質的に異なる江戸東京のまちの基層を解き明かした研究成果の集大成である。西欧の都市が手本で、アジアの都市は遅れている、という見方の呪縛から解かれる時代がやってきた。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸東京の街は、不思議のワンダーランドだ。いろいろなテーマパークがあり、人々を引きつける。




    今回の本は、「秋のホンまつり」で偶然見つけた古本だが、今読んでも面白い。




    著者は江戸東京を「双六都市」と称している。江戸時代に名所双六があり、 江戸の各地を遊びながら知ることができた。明治に時代が変わっても「名所の集積、場所の連鎖として都市を捉える発想」は変わることがなかったと述べている。




    渋谷と言えば先週の「ブラタモリ」で道玄坂やスクランブル交差点などを取り上げていた。渋谷の特徴はスクランブル交差点から道玄坂の高低差だが、渋谷の街の他の特徴もある。




    それは時代ごとに渋谷の顔となる所が全時代の中心とは別の場所で花開くことだった。かつて花街として知られた円山町花街、そして百軒店(ひゃっけんだな)、渋谷センター街と移ったが、渋谷の中で収まっていたので、渋谷が色あせることはなかった。




    その渋谷でも一歩奥に入ると違う空間が広がっている。「喫茶店の空間人類学」で渋谷にある「ライオン」を取り上げている。百軒店は、関東大震災から立ち上がっていた時期に、計画的に作られた一画で、ミニ歓楽街だった。




    現在のライオンの建物は戦後に元の建物をまねて立て直した。著者は「閉ざされた個人の内面世界に籠もることのできる場が、きわめて都市的な喫茶店という形をとって現れたのが興味を引く」と述べている。




    渋谷をはじめとして都内各地で再開発が進んでいる。10年たったらどんな東京になっているのか興味がわいてくる。

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著者プロフィール

陣内秀信(Hidenobu Jinnai)1947年福岡県生まれ。東京大学大学院工学係研究科博士課程修了。イタリア政府給費留学生としてヴェネツィア建築大学に留学、ユネスコのローマ・センターで研修。専門はイタリア建築史・都市史。現在、法政大学特任教授。著書に『イタリア海洋都市の精神』(講談社)、『ヴェネツィア―都市のコンテクストを読む』(鹿島出版会)、『都市のルネサンス〈増補新装判〉』(古小烏舎)ほか多数。主な受賞にサントリー学芸賞、地中海学会賞、イタリア共和国功労勲章(ウッフィチャーレ章)、ローマ大学名誉学士号、アマルフィ名誉市民、ANCSAアルガン賞ほか。

「2022年 『トスカーナ・オルチャ渓谷のテリトーリオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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