アブサン物語

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 74
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309010298

感想・レビュー・書評

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  • 『詩に踏まれた猫』からの繋がり

  • 著者が愛猫アブサンとの日々を綴った本。
    飼い猫のことを書いてるけど親バカ全開な感じはなく、本の中でも言っているようにアブサンを伴侶として尊敬の念も抱いていたことが伝わってくる文章が気持ちよかったです。

  • 著者と飼い猫のエッセイ。出会いから大往生まで。

  • 著者の相棒猫「アブサン」との出会いから、数々のエピソードを経て、21歳で大往生を描いたエッセイ。さすがに大小説家村松友視の描くエッセイは、そこいらの可愛い自慢ペットエッセイとは違う。最終章でのアブサン臨終は純文学にも劣らない大感動。

    著者とカミさんとアブサンとの三角関係がエッセイの核をなす。それにしても、カミさんはアブサンのことどう思ってたんだろう。その謎がこのエッセイに深みを与えてくれている。

    ちなみに猫と水島新司の野球マンガとは何の関係もない。

  • 作家・村松友視さんとカミサンが猫・アブサンと暮らした21年を作者の独特な目線で書かれている。

    猫好きもそうじゃない人も読んで面白いかと。
    淡々と語っているようだが、愛情あふれる作品だと思う。
    作者の皮肉めいた言い回しや、少し子供っぽいところがクスリとさせられた。
    アブサンを『猫』としてでも『人間』としてでもなく、アブサンは『アブサン』として扱っているのに共感を覚えた…きっと作者はアブサンを尊敬してるんだろうと感じた。
    『やっぱり、アブサンに捧ぐ。』…この言葉に尽きる。

  • そういえば村松友視というと、どちらかというと、キラキラ輝く屈託のない明るさがまぶしい、いっけん放埓な真弓(美郷)という女性を凛として演じた夏目雅子の姿が忘れられない、映画にもなった直木三十五賞を得た『時代屋の女房』も見事な小説でしたが、私にはそれよりも、『百合子さんは何色 武田百合子への旅』や『トニー谷、ざんす』、あるいは『黒い花びら』 (水原弘の評伝)や『ヤスケンの海』 (安原顕の評伝)などの伝記ものが優れて印象的な作家として、強烈に記憶に刻まれています。

    彼も作家生活30年を超えてすでに140 冊以上の著作があるなかで、プロレス関係を除いた100冊近くを、いつか読もうと思って集めてはいるけれど、まだほとんど手をつけていませんでした。

    今回、たまたまきまぐれにこの本を手にしたのは、他でもありません、数日前わが家の愛猫が先に旅立ってしまったからです。

    人が亡くなるのは、親戚縁者や知人・作家など数千人の経験があり、それなりの覚悟とか哀惜の情を持つことなどの蓄積がありますが、こと愛猫が逝ってしまうという体験はまったく初めてなので、哀悼の方法というか、どうにも抑制・制御など対処の仕方を知らず、母と私は、ただただオロオロするばかりで、何故もっと早く病気に気づいてあげられなかったのかなどという悔恨の念を持ったりしています。

    律儀にも正月三が日を過ぎたあと発病した彼女は、三週間あまり毎日病院通いをしましたが、点滴やら介抱などの甲斐なく、日ごとに見る見るうちに衰弱していき、とうとう悶絶してピクリとも動かなくなってしまいました。

    本書は、猫好きで知られる村松友視のアブサンと名付けられた愛猫について書かれた名作ですが、彼と猫との関係は、単なる人間とペットとの間柄を超越した、もっと深い愛情にもとづいた愛と情の物語といえるものですが、これは動物に擬人化以上の存在として接した経験のある方ならどなたでも共有できる体験談として、自分の物語として読めるものです。

    ああ、でも、なんということでしょう、少しは哀しみが和らぐ一助になるかしらと思って読んだ本によって、また新たなより深い哀しみに覆われるとは思ってもみませんでした。

  • 猫の話。

  • 日比谷公園で拾われた一匹のオス猫"アブサン"の一生を書いたエッセイです。(by みのる)

  • 21歳と云う大往生な猫生を全うした、著者の相棒アブサンとの交流を
    著者・奥様・アブサンのありのままの日常をテーマに綴ったエッセイですが、
    個人的に好きな本です。
    最後は2人に甘えるような「らしさ」を見せるアブサンにホッとする作品。

  • 猫本紹介で見かけて読んだ一冊。ええ、私猫大好きです。猫に会いたくて近所の公園に行ったりしてます。だから家猫のいる生活って羨ましいですね〜。日向ぼっこしてる姿をじーっと眺めたり、猫に物書きの邪魔されたりしたいです。そういうしぐさを聞いただけでも至福を味わえるのが猫のステキなところ。でも猫飼うには自然のままに生かせてあげたい葛藤もあるんですよね。猫のためを思うのと自分のエゴじゃないかと思うのと、いっつも挟まれても飼いたいと思える人じゃないと飼っちゃいけないのかもしれない。最終章はうるうるきてしまいました。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。慶応大学文学部卒。『時代屋の女房』で直木賞、『鎌倉のおばさん』で泉鏡花賞受賞。著書に『アブサン物語』『北の富士流』『アリと猪木のものがたり』『猪木流』『老人の極意』『老人流』等。

「2022年 『ゆれる階』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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