ミーのいない朝

著者 :
  • 河出書房新社
3.57
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本棚登録 : 18
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309012797

感想・レビュー・書評

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  • 先日の訃報を聞かなければ稲葉真弓という一人の作家を知らなかっただろうと思う。
    このエッセイを読んで確信した。
    私、絶対この人の書く小説が好きだ。
    作家の死で初めてその世界に触れる機会を得るなんて。

    このエッセイは稲葉さんと愛猫のミーが一緒に暮らした20年間を綴ったもの。
    夫とは別れてもミーと離れて暮らすことなどこれっぽっちも考えなかった。
    まだミルクも上手に飲めない小さな小さな仔猫だったミー。
    年老いて足腰が弱り排せつもままならない老描になるまでミーと寄り添い続けた。
    率直な飾らない文章と時折差し込まれるミーを綴った詩。
    二人(人間と猫だけど)の関係があまりにもまっすぐで切なくなる。

    ミーの死んだ後、他の猫を飼う気になれなかったという作者。
    そうだろうなと思う。
    たった一匹の猫と20年、それもその大半は二人だけの生活だったのだ。
    他に家族がいた場合や多頭飼いだった場合とは思い入れが違うのは想像に難くない。
    同じような状況の人が読んだら、号泣必至でしょう。

    本書に載っているまだ若いころの稲葉さんがミーを抱いている写真がとっても素敵。
    すごい美女なのである。
    今頃こんな風に天国でミーは稲葉さんに抱かれているだろうか。
    作家として遅咲きだった稲葉さんの死は早すぎるとは思うけれど、ミーはきっと待ちくたびれているよね。
    私はこれから稲葉さんの生前の作品を読むつもり。
    ご冥福をお祈りします。

    • vilureefさん
      円軌道の外さん、こんにちは!
      こちらこそいつも花丸&コメントありがとうございます(*^_^*)

      いいですね、アラフォーにして上京って...
      円軌道の外さん、こんにちは!
      こちらこそいつも花丸&コメントありがとうございます(*^_^*)

      いいですね、アラフォーにして上京って。
      チャレンジすることに年齢は関係ないと思います。
      頑張ってくださいね。
      陰ながら応援しています。

      さて、そうですか、 円軌道の外さんも猫ちゃんを亡くされたのですね・・・。
      1年経てばこの本も読めるかな?
      もしかしたらまだ辛いかもしれませんね。

      でもとっても素敵な本でした。
      >彼がいたから自分が自分でいられたんだと
      少しは前向きに受け止められるようになりました。
      この気持ち、稲葉さんの気持ちとまさに一緒ですよ。
      この本もきっと気に入っていただけると思います。

      我が家の猫二匹も、もうすぐ10歳です。
      まだまだ元気ですが、いつかはお別れの日が来るかと思うとしんみりします。

      2014/09/22
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんにちは♪
      レビューを読みながらうるっとしてしまいました。
      この作家さんも、この作品も知らなかっただけに、ちょっ...
      vilureefさん、こんにちは♪
      レビューを読みながらうるっとしてしまいました。
      この作家さんも、この作品も知らなかっただけに、ちょっと衝撃を受けています。
      知らないってだけで、名作はまだまだあるものですね。

      ところで、ビックリするほどの多頭飼いをしている私ですが、
      どの子が病気になっても、どの子が亡くなっても同じ悲しさ・寂しさです。
      もう立ち直れないかと思うほどガックリきます。
      ハートが頑丈じゃないと、世話も出来ないってことですかね。
      自分が死んだら、真っ先にあの子たちに逢いたい。ええ、両親よりも先に(笑)
      猫好きって、そんなものです。
      2014/09/26
    • vilureefさん
      nejidonさん、こんにちは♪

      おお、私の拙いレビューだけでうるっときちゃうなんて!
      この本を読んだら涙腺崩壊ですね。
      今までお...
      nejidonさん、こんにちは♪

      おお、私の拙いレビューだけでうるっときちゃうなんて!
      この本を読んだら涙腺崩壊ですね。
      今までお別れしてきた猫ちゃんたちを思い出さずにはいられないですものね。

      でもお別れした子が多ければ多いほど、天国で待っていてくれる子が多いと思えば今生の別れも悪くありませんね。

      今までに読んだ猫にまつわる小説やエッセイの中でもこの本は私の中で一番しっくりきました。
      nejidonさんにも是非読んでいただきたいな(*^_^*)
      2014/09/26
  • 野良猫の赤ちゃんを引き取り ミーと名付け
    20年をともに生活し 介護と看取り...
    自分の飼い猫の未来を想像し
    涙、涙で読み終えました。
    こういう本を読むたび 覚悟をしておかなければ
    と 痛感します。

著者プロフィール

1950年、愛知県生まれ。作家。著書『エンドレス・ワルツ』『琥珀の町』『抱かれる』(いずれも河出書房新社)、『ホテル・ザンビア』(作品社)ほか。

「1994年 『自殺者たち 一日一死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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