猫の客

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著者 : 平出隆
  • 河出書房新社 (2001年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309014302

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猫の客の感想・レビュー・書評

  • 向田邦子は愛猫家だったが、そのはじまりは、知人宅にてコラット種という銀青の毛並みをもつ猫に「感電」したことだったという。

    「猫に感電する」という言い回しはたいそうすてきだ。猫のばねのような筋肉と、しなやかな身のこなしと、自らをのみ主とする誇りとが、うまく表れているようで。
    平出隆が「稲妻小路」にてチビ猫に出会ったのも偶然のこととは思われない。

    あちらからこちらへ、境を越境する猫。「うちの」猫、というときの「うち」って一体どこなんだろうか。

    土地を分筆するという言葉を覚えました。

  • 「存在すること」と「所有すること」の間に横たわる、かぐわしい魂と景色。せつなくて温かい無常感。

  • 詩人 平出隆の私小説的エッセイ。
    作者夫妻が隣家で飼われている
    チビというネコに魅了されるも
    借家を退去せざるを得ない状況に
    チビとの別れを嘆き 突然のチビの死に悲しみ
    転居先でも また野良猫たちに思いを寄せて...
    と ネコにまつわる話が中心ですが
    詩人の方らしく とても美しい文章で
    情景描写がすばらしく清々しい気分になりました。

  • つくづく、猫は危ない生き物だと思った。
    ある日いきなり生活の中に現れあっという間に居場所を広げ
    そしてある日いきなり姿を消す。
    その生き方を巡って思わぬ人と意見の相違でギクシャクし、
    光の量によって変わる瞳に心を根こそぎもって行かれる。
    外に出て行けば何事も無く帰るように祈るのみ。
    外に出たがる猫に無理強いをすることができない。

    私の猫は完全室内飼いで、交通事故に遭う確率は
    ほぼゼロと思われるが、
    閉ざされた部屋の中で関係性はより濃密になっている分、
    必ずいつか訪れる別れに今から胸を締めつけられる。

    作者の選ぶ言葉はとてもきれいだと思った。

  • 稲妻小路の光の中に登場し、わが家を訪れるようになった隣家の猫。いとおしい訪問客とのこまやかな交情。しかし別れは唐突に訪れる。崩壊しつつある世界の片隅での生の軌跡を描き、木山捷平賞を受賞

  • 猫と主人公夫婦の距離感が心地良く、読み終えたときに切なくなる。

  • 派手な話ではないし、クライマックスがまっているわけでもない、ただ静かな日常をゆったりと描いているだけ。でも、これがとてもいい。文庫も買った。

  • こんな、密かな宝石のように美しい言葉で綴られる猫は幸福だ。

  • 遊びにくる隣の猫に、どうしようもなく惹かれてゆく中年夫婦の話。
    鳴かず、決して抱かせようとしないが多くの時間を夫婦の家ですごすようになるが、
    隣の家の猫であるから、どんなに愛しくても、いつまでもお客さんである切なさが書かれている

    猫を飼っている人だったら、そんな不思議さを持つ猫を想像するのはそんな難しくない。

    猫が全くでてこない装丁が、ものすごくかっこいい。

  • 詩人だからか、ひとつひとつの風景描写に光や風を感じる。静かな生活のなかに迷い込んできた仔猫が次第に心の奥まで入り込んでいく過程が丁寧に描かれ、猫好きの心理が理解できる。心静かに読ませてくれる。

  • 小説の美しさというものを最も体現しているものの一つとして、その重要性からもっと読まれなければならない小説であると言えよう。日常生活の中に潜む出会いと別れ、そして感情の揺れと振る舞い。文句なしに極上の逸品。こういう出会いがあるから、書店に行くことに意味を見いだせる。

  • 猫好きにはきゅんとする一冊。
    ノラや的なおはなしです。

  • 自伝的小説というものを読むのはあまりなくて、でも個人的にこの本はとてもお気に入りになった。平出さんは詩人ということもあって、文章が大変美しい。話の中に出てくるたくさんの猫たち。主人公夫婦の猫への接し方がとても好き。確かに「猫」を相手にしてはいるのだけど、心のある生きものとして(そこは人間に対するもののような)の接し方、とか。

  • しみ渡る文章。妻と、猫のチビと大家が良い。
    とうとうと注がれる慈しみの眼差し。

  • 稲妻採り、若い夫婦、猫、なんだかせつなくなる

  • 淡々とした時間の流れの中に感じられるリアルななにか。

  • 猫は家をいくつか持つという話をきいたことがあるけれど、まさにこの本で謎が解けました。
    飼い主ではなくとも、こんなにも愛情をそそげるものなのですね。
    これなら、他に家を持っても文句は言えません。
    猫を客として迎えた著者の着かず離れずの関係がとても気持ちいいです。運命的な猫との出会いから、猫の神秘を最後まで美しく描いた随筆です。
    読めば表紙の渋さにも納得。

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