インストール

著者 :
  • 河出書房新社
3.12
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本棚登録 : 4397
感想 : 640
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  • Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309014371

作品紹介・あらすじ

女子高生と小学生が風俗チャットでひと儲け。押入れのコンピューターからふたりが覗いた"オトナの世界"とは!?最年少・17歳、第38回文芸賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 最近読むことが増えている綿矢りささんのデビュー作。

    月並みな言葉選びしかできないのが残念だけど、表現力が本当に豊か。
    例えば
    P. 12 私の中で不意に目覚めたずるい完璧主義が、塵一つない完璧な、シャープに四角い部屋をいたずらに欲しがる。
    とか、
    P. 14
    マンションの中にいた時は健やかに息づいていた物も、ポリ袋に包まれてここに落とされた途端、光を失い音楽を失い、淋しく死ぬ。
    など。

    新鋭の表現力のある作家の登竜門である芥川賞の受賞は納得。
    一方で、ストーリー性に面白みを感じられるかといわれれば、はっきりとうなずけるかは個人的に微妙で、最近の綿矢さんの作品の歳を重ねて人としての厚みがわかる文章や物語がやっぱり良いと思ってしまうかもしれない。

    年齢を理由に評価することは個人的に好きではないけど、ひとりの作家として当時の綿矢さんの力量を見せつけられたな、と素直に思うことができた。
    それよりも、17歳で受賞しこの本で注目を浴びて大丈夫だったのかな、とそっちのほうが気になってしまった。
    (小学生とチャットレディをしたり、性的な言葉もかなり出てくるので)

  • サラッと読めた。
    この女子高生に共感はできないなあと感じたが、この青臭い感じは割と好き。
    高校生の時に読んでいたら、もう少し楽しめたかなと思う。

  • 2001年当時に「有料アダルトチャット」という切り口で小説を書こうと思い立った点だけでもその才能が伺え知れる。ネットを素材にした小説として、色々な意味でパイオニア的存在と勝手に思っている。

  • 初めて綿矢さんの本を読む。
    何か懐かしい青春の感じがヒシヒシと伝わってきます。
    と感想を書くと自分も年をとったなと思います。

    インストールというタイトルはこの本が出される少し前に放送されていたコレクター・ユイの世界を思い出しました。
    また、雅といえばケイゾクを思い出してしまったのは名前のせいかな。

  • 図書館借り出し

    今になって初めての綿矢りさ。
    いやーすごい。この歳でこれを書けたのか。
    年が近くて、同じような年代を過ごしたからか共感が多くてめちゃくちゃ読みやすかった。文章がかわいいなぁ。

  • 感想
    ネットに潜む楽しさと人の悪意。子供達にはこの世界を体験させたくないが、経験値としては有用。現在は楽しく便利なネット利用ができてるだろうか。

  • 「あんた、私のこともインストールしてくれるつもりなの?」
    ー野口朝子


    作者が17歳で書いたという作品。
    読みやすかった。

  • 同年代の作家が書いたというのを知り、高校時代に読破。今思うと、それほど普及していなかった10数年前にネットを題材としたというところが斬新だったなと感じる。

  • 女子高生が一か月学校に行かず、小学生と風俗チャットのお仕事をする話。

    勉強は真面目にこなし、変わり者に憧れる朝子。ふとしたことで高校に通うのを一時中止し、掃除しまくった挙句、小学生男子かずよしと出会う。

    かずよしは朝子が捨てたパソコンを直し、メル友の風俗嬢から風俗チャットの仕事を持ちかけられる。朝子もその話に乗り、秘密のお仕事が始まる。


    学校とは別の、自宅から近い場所で、自分の知らない世界を覗いてしまうこの世界観。
    子どもがエッチな本を見つけて本能的に理解するようなあの感じ。
    冒険って感じがする。すごく素敵。

    これを書いてるときニュースが、大阪の高校生が体罰を苦に自殺してしまった事件で、暴力をふるった顧問教諭が懲戒免職処分になったと伝えている。
    この事件により、世間は体罰全面否定になった。自分もそうあるべきだと思う。
    でも、自殺で世界を変えられるなんて思って欲しくない。

    たしかにこの亡くなった男子高校生のおかげで教育は正常化へ向かう。でも死ぬことはなかった。死ななくても変えられたはず。
    先日は小学生の男の子が電車に飛び込んだ。小学校統合への抗議だったらしい。死んでいいわけない。アルマゲドンの見過ぎなんじゃないだろうか。死ぬくらいだったらやめちゃえばいい。本当にそう思う。

    この小説の主人公は別に死にたいわけじゃなかったけど、ぼんやりと学校に行くのを止め、これまでの生活では見つけられなかった世界と出会った。彼女は自分の世界を自分で広げた。自分で変わった。

    自殺で世界を変えるより、現状をやめて、違う世界を覗いて可能性を広げたらいい。

  • なぜ賞をとれたのか、ちょっと疑問に思いました。私の読みが浅いのか・・・何を言いたいのか全くわからなかったです。
    朝子の精神年齢は幼く、正直成長が見られないし、それを容認している周りの大人が不自然すぎる。内容が薄いように感じました。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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